74: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 03:32:36.14 ID:zJUkddjZ0
「……?」
何があったのか。目はもう使い物にならないのに、反射的に目を凝らそうとする。すると少しずつ色を認識できるようになってきた。
「これは……いったい」
目と鼻の先に、翡翠の瞳を涙で赤くはらしながら、驚いた顔で俺を見ているマリア・アッシュベリーの姿があった。
雨は止み、地に沈む寸前の燃えるような夕焼けが辺りを包み込む。どんよりとした闇が炎に浄化されたかのような景色の中で、ひときわ輝いているのがこの身であることに気が付く。
体が黄金の輝きに包まれている。驚きからくる反射に、動かないはずの両腕が反応してみせる。
何が起きているかわからず、ただマリアと共に黄金の光を呆然と見続ける。光は徐々にその輝きを弱め、夕日が沈み辺りが暗くなると同時に消え去った。
淡い月光の下で、輝きが消えた体を見つめる。体に緑色に変色していなければ、膨れ上がってもいない。えぐられた脇腹の傷もふさがり、折れた骨がなおっている。
こんなことはありえない。何かしらの超常の力が働いたとしか考えられない。しかし魔法のようなおぞましい力が働いた気配は無かった。すると自然に、一つの答えが浮かび上がる。
「まさか……これは」
あり得ない答えだった。今から千年前に、最初で最後の使い手がいたのみ。しかしどうしてもそれしか答えが残されていない。
「――奇跡。聖女、マリア」
――千年前になる。一度世界は滅びかけた。
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