233: ◆ujHylXatJU[saga]
2019/08/15(木) 22:22:42.60 ID:JCL7tHIi0
丸山はこちらに虚ろな視線を向け頷く。これでこの場は纏まったかと思いきや、それを崩す言葉が一つ。
「……イヤ!」
「優季?」
「人を殺すなんて絶対イヤ!なんでみんなそんな事が言えるの!」
そう、はっきり言ったのだ。いつもの掴みようのない柔らかな声はその存在を封じ込まれている。
「……でも、ここは自衛隊に囲まれているんでしょう?」
「うん。逃げようとしたら殺されて、戦死扱いだって。で、降伏しても……」
「さっきの通りと……やっぱり生きるには、ここで戦うしかないんだよね」
「そういうこと、になるね」
「優季ちゃん、一回落ち着こう。それしかないんだよ、生きるには」
「イヤ……なんでみんなそんな事が言えるの?自分が人を殺すんだよ?そして自分が殺されるかもしれないんだよ?もう既に死んだ人もいるんだよ!」
宇津木は席を倒し、自動的に立った。説得をかける澤や山郷の顔を、恐れとともにせわしなく見回す。
「……仕方ないんだよ。そうせざるを得ないんだ……」
「イヤ、そんなのイヤ。いやあぁぁぁ!」
縛りを引きちぎった人形は、全力で5人に背を向けた。ただこの集団、大洗女子学園戦車道から離れる方へ。
「あっ……待って!」
「ど、どうしよう……梓!」
「……え、えっと、佳莉奈とあやは優季をすぐに追いかけて!」
「あいあいあーい!」
阪口と大野はすぐに宇津木を追いかけ始めるが、半分野生を解放しているその背中を捕らえるのは厳しい。
「私が報告に行くから、あゆみと沙希は戦車の準備を」
「戦車を?戦車で追うの?」
「確かに危険かもしれないけど、もし追いつけなかった時のために。速度はそっちの方が出せるから」
「……分かった」
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