348: ◆ujHylXatJU[saga]
2019/09/09(月) 21:48:04.50 ID:/t/1GWRS0
「立ちなさい」
できるだけ低い声で鋭く、そう伝える。聴きながら私自身こんな声が出るのか、との驚きを隠していた
「はい?」
「立ちなさい、と言ったのです。貴女がたの身柄が私たちに委ねられていることはご存知ですよね?」
「……はい」
膝の土を払ってから彼女は直立の姿勢に戻る。その姿勢が整った時、私は彼女の襟首を掴み上げ、まだ土の残る額にぶつからんばかりに自分の額を寄せた
「……」
目線をずっと合わせたまま動かさない。彼女の方は何をされたか分かってないようだ
「お、おい西住、何を……」
「ここは私に」
河嶋さんには悪いが、ここは私と彼女が話す場となった
「……まず交渉の仕方として、こっちの手札を読む前に自分の手札を曝け出すのは阿呆のやることです。副隊長の貴女の命、その札を使うのはすぐではないはず。違いますか?」
「……いえ、ここは交渉の場ではありません。懇願の場です。そもそも貴女がたと私たちが対等に話せるはずがないのですから」
「では何故そもそも貴女は自分の命を手札に使うのか、答えて差し上げましょう。安斎さん、いえアンチョビさんの方が宜しいでしょうか、その方を死なせておきながら、自分だけ生きて帰る訳にはいかない、などと考えているのでは?」
足がしっかりついてないせいか、一際大きな振動が腕を通じて伝わってくる。図星か
「そんな事を考えている人間を殺す価値はこちらにはありません。少なくともそれを対価に全員解放など問題外です。貴女が実質この捕虜の集団を束ねていると考えて、選択肢という温情を与えましょう
一つはこのままこちらは何もせず全員解放する。もう一つは全員殺さない程度まで痛めつけた上で身包み剥いで解放する、です
どちらにしますか?」
「……前者を」
「宜しいですね?」
「……はい」
私は手をパッと離した。向こうは少しバランスを崩したらしく、少しよろめいた
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