【R18鬼滅の刃】胡蝶しのぶ「藤花夜話」【義勇×しのぶ】
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3: ◆K1k1KYRick[saga]
2019/07/10(水) 19:22:02.33 ID:NFrGelFa0
「……一つだけ約束してほしい。俺たちは仲間だ、決して一人で突っ走るな」

「はい」

その時向けた彼女の笑みはどこか寂しく儚げだった。

「……それで、俺を呼んだ訳は?
 まさか服毒の手伝いをさせるためでもないだろう」

「……」

しのぶは心なしか顔をうつむかせ、言い出しかねているようだった。

「逝く間際に姉に言われました……鬼殺隊を辞めるようにと。
 私に剣士の素質がないという事だと思いますが」

「……」

「それに、……姉は普通の女の子として私に生きてほしいと思っていたんです。
 私が、屋敷の女の子たちに思っているように……
 姉の遺志に逆らったまま死地に赴く、これが私の大きな心残りです。
 普通の女の子としての幸せを一日だけでも感じられたら
 姉への免罪符代わりになるのではないかと……」

冒頭の彼女の申し出を、結局義勇は受け入れた。

それが志半ばに散った彼女の姉、そして覚悟を決めた若い同僚に対する情というものだ。

   #  #  #

しかし、思うように時間は取れなかった。

本当の恋人のように気の利いた小旅行の一つでも計画出来たら良かったのだが

生憎鬼殺隊の任務は二人にそれを許さない。

結局ある日の夕刻から明け方までの半日を使う事で妥協した。

場所は蝶屋敷だが、間の悪い事にその日は負傷者が多く

本来女主人が寝所に使う場所を開放して患者を寝かせた。

……逢引の場所は風呂場しか残されていなかった。

屋敷には大勢が入れる大きな檜風呂があり、男は女よりも後に入るしきたりがある。

義勇は誰もいなくなった湯船に一人で浸かり、しのぶが現れるまで天井の木目を見ていた。


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