14:名無しNIPPER[saga]
2019/10/13(日) 16:42:34.97 ID:Bh2qsw+10
ばちん、と頭のどこかで音がなった気がする。それは思考の線路のポイントが切り替わった音で、一面バラエティ色だった脳のマッピングが瞬く間にだだ黒い欲情に塗り込められていって、その色がさっき空回りした獣欲の再来だと気づいた時、
「あ、は………………ぁ?」
俺は友紀を抱きしめていた。
笑い声はやみ、絞った雑巾から落ちた汚水が床を叩くような音が、閉めきった浴室に木霊する。小さな唇に胸元を吸わせ、胸は肋で押しつぶすような塩梅で、屹立は臍の窪みと触れ合わさって、
友紀の気配も、変わる。
これまでの経験から、俺がどうしたいか、自分がどうされたいか、これからどうなるか、思考を飛ばして本能でたどり着く。
男に抱かれている『あたし』は女なのだと、思い出したのだとおもう。
顔が見えなくてもそれとわかる躊躇の空白。
読み違えていないか。独りよがりでないか。ただの欲しがりみたいじゃないか。
けれども、結局欲がその手を動かす。
静かになった女体が、羞恥に錆び付いた速度で、俺の背に手を回してくる、
瞬間、
待っていたかのようにーーいや実際それを待っていたのだがーー彼女の身体を引き剥がした。
彼女を見下ろす。
「…………え?」
何が起きたのかわからないという表情の空白、
が瞬く間に、橋の下に置き去りにされた子供のような哀の色を帯びてゆく。その目を見る、観る、みる。
その寂寥を見たかったというのは、我ながら意地が悪すぎるとは思う。
あ、あはははは、
痛々しい愛想笑いの半分が換気扇に、もう半分が排水溝に吸い込まれる。
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