6: ◆OBrG.Nd2vU[sage]
2019/10/21(月) 19:44:21.45 ID:6wKwUsfM0
「冬優子ちゃん! うち、どうしたらいい? このままじゃ誰かに奪られちゃうかもしんない!」
誰も取らねーよそんな変態。
そう言い切れないのがプロデューサーの魅力だった。確かに変態かもしれないが、彼は誠実で仕事熱心で優しい。長身でルックスだって決して悪くない。
そんな彼が、もしセックスレスで溜まっているなんて知れたら、事務所中で誘惑合戦が始まるだろう。
「あいつってみんなからも結構好かれてるしね。ふゆも嫌いじゃないし……」
ガシッといきなり肩を掴まれて冬優子は硬直した。その瞳に映ったのは先程までの辛そうな「少女」の表情とはガラリと変わって、凍てつくような視線をこちらに向ける「女」の表情だった。
「うち……冬優子ちゃんのことは信じてるから」
底冷えしそうなえらくドスの効いた低い声。いつもの人懐っこい彼女とは違うもう一人の神秘的な雰囲気の彼女に近かった。妙な迫力の前にさすがの冬優子も涙目になって頷くしかなかった。
普段温和な彼女が疑心暗鬼になってしまうのも無理はなかった。283プロには袖のほつれを決して見逃さない女、ポイント制の雨女、平行世界でも隣にいようとする女など、極めて獰猛で狡猾な肉食雌獣どもがひしめいているのだ。隙を見せればあっという間に食われてしまう。だからこそ彼女は焦る。冬優子の肩を掴む手にも力が入る。
「いだだだだだだだ! 愛依! 手ぇ離して痛い! 痛いってば!!」
「冬優子ち゛ゃ〜ん゛!!」
「じゃ、じゃ、じゃあ! じゃあ! こういうのはどうよ?」
冬優子が苦し紛れに出した提案は愛依にとって目からウロコだった。どうしてもっと早く気付かなかったのだろうかと思わせた。
「サンキュ! 冬優子ちゃん大好き♪」
万力のような戒めから解放されてホッと胸を撫で下ろす冬優子。一難去った彼女にまた一難やってくるのはまた別の話である。
そして一週間後、勝負の夜はやって来た。
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