20: ◆swglAuXS56[sage saga]
2020/02/24(月) 23:12:12.04 ID:EqlApZsio
「マーディン、お前よぉ、泣くやつがあるかよ」
「だって俺感動したんスもん! なんて良いお方なんだ…王女様…」
「まぁな…、俺は売り飛ばされてこの国に来た人間だから、なおさら思う。
ここはいい国だ、女房も貰えたし、娘を授かった」
「あ、ヘルベルト先輩…、すんません、俺、知らなくて…」
「別に気にすんなよ。
元奴隷の人間なんてこの国じゃ珍しくねぇ、むしろこの国に導いてくれたことを女神ネイト様に感謝しなくちゃな。
…それより、お前の手の怪我、あとで医務室で見てもらえよ、雑菌が入ったら面倒だぞ」
「ああ! 大したことねぇっすよ! こんなもの唾つけとけば治る…!?」
ふと自分の手の甲を見たマーディンは先程まであった擦り傷が跡もなく綺麗に治癒していることに気がついた。
それどころか、夜勤明けの身体が軽くなっているし、眠気もない、そして猛烈に腹が減った。
まるで身体を回復するための栄養補給を必死に訴えているようだった。
「ヘルベルト先輩! 仕事終わったら飯いきましょう!」
「おお…別に構わねぇが、急にどうした?」
「とにかく腹が減っちまって! 新しく出来たステーキ屋にしましょう!
すげー美味い肉を分厚く出してくれるんスよ!!」
「お、いいねぇ。
いっちょ、精をつけていくか!」
「ういッス!!」
マーディンは強烈な空腹感で、傷のことはさっぱり忘れてしまっていた。
だが、ソフィアがまじないを唱えた瞬間に起きたことはシルフたち魔法を生業にする者にははっきり分かった。
魔法の根源 ”マナ”の躍動、聖職者が長い修練の末に獲得する治癒魔法を彼女はたった五歳という年齢で無意識に放ったのである。
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