宮本フレデリカは如何にしてこの世を去ったのか
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39: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:52:05.31 ID:p0TmPlc30
蒸し暑い日の夕方、一人の女性が路地を歩く。
彼女の名前は「一ノ瀬志希」。そう呼ばれていた。
つまらなそうな顔で曇天を見上げてスンスンと鼻を鳴らし、
雨の匂いを感じた彼女はどこかの喫茶店にでも避難しようと考えていた。
ポケットに手を突っ込み、ぼーっと歩いていた時。
木陰に座る黒猫と目が合った。
数秒間見つめ合うと、彼女は猫を抱きかかえた。
それに意味などなく、猫もまた嫌がる様子もなく受け入れた。

「ズブ濡れ確定かな」

喫茶店に入るという選択肢がなくなった彼女はけだるげに呟き、路地を抜ける。
すれ違う通行人の視線を気にもせず、猫を撫でながら歩く。
やがてぽつりぽつりと降り出した雨に打たれながら、
彼女はただ目的も無く真っ直ぐに歩き続けた。
右手で猫の頭を雨粒からかばいながら街を進むと、
『ペットとの入店大歓迎!』との立て看板が置いてある小さな喫茶店が目に入った。
滴る雨を払いのけ店の扉を開くとコロコロと鈴が鳴り、
ウェイトレスらしき金髪の女性が振り返る。
彼女の胸には「宮本フレデリカ」と書かれた名札が付いていた。
彼女は志希を見ると驚いたように両手を挙げ、志希の前に駆け寄った。

「いらっしゃいませ〜♪雨大丈夫?タオル持ってきますので少々お待ちくださいませ〜♪」

「野良でも大丈夫ですか?」

それを聞くと彼女はまたも両手を挙げ、猫を見つめた。

「ワオ、野良ちゃん?」

じーっと猫と見つめ合うと、フレデリカは優しく微笑んだ。

「う〜ん、この子なら大丈夫!たぶん!」

フレデリカは指を差し出すと、猫はチロッと舐めた。
彼女は嬉しそうに笑うと、タオルを取りにスタッフルームに入った。
戻ってきた彼女は志希にタオルを手渡し、猫を優しく拭く。
猫はされるがままに目を瞑っていた。


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