宮本フレデリカは如何にしてこの世を去ったのか
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38: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:50:19.72 ID:p0TmPlc30
彼女は誰をも愛し、誰からも愛される人だから。
誰よりも優しくて、誰よりも人の事を考えて…
誰よりも、楽しそうに笑っている。

だから、彼女は一人で泣いていた。
シーツを掴んで苦痛に耐えるしかなかった。
タオルで擦って嫌悪感を洗い流すしかなかった。
便器を抱えて不満を吐き出すしかなかった。
誰からも愛される「宮本フレデリカ」だから、誰にも頼る事ができなかった。

彼女は常に、自分はいつ間違えたのだろうと自問する。
やはりあの雨の日の夜だろうか、幾度となくそう考えた。
あの日の選択で、彼女の人生は大きく狂った。
だがやり直したいかと問われれば、彼女は首を横に振るだろう。
彼女は、雨の日の来客を決して無碍にはしない。
100回やり直しても、彼女は男を受け入れるだろう。
なら、何が間違いだったと言うならば。
自らの人生が崩れ去るような出来事をを回避できず、しようとも思えないのならば。
もはや、「生まれてきた事自体が間違いだった」と言うほかない。

やがて疲れ果てた彼女は、昔は思いもしなかった事を願う事になる。
「この世から完全に消えてしまいたい」
そんな彼女が、あの女性と出会うのは必然だったのかもしれない。
いとも簡単に姿を消した、とある一人の女性との出会い。


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