宮本フレデリカは如何にしてこの世を去ったのか
1- 20
41: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:53:36.15 ID:p0TmPlc30
運ばれてきたパンケーキにナイフを入れる。
歪な形にカットしたその一片を口の中に入れる。
それまで面白くなさそうに仏頂面を浮かべていた志希だったが、
そのパンケーキの美味しさに思わず顔を綻ばせた。

「へえ・・・」

当然のように目の前に座っているフレデリカはその様子を見て
心の底から嬉しそうに尋ねる。

「どうどう?おいしい?アタシが作ったんだよ?」

「美味しい。今まで食べた中で一番美味しいよ」

「そんなにー?やったー!!」

両手を挙げて喜ぶ彼女を見る。
人形のように整った顔。誰もを和ませる声。美しい金髪。
そこから伸びる枝毛。目元の隈。首筋の絆創膏。
異様な親しみやすさ。時折見せる憂いを帯びた表情。
志希は何かを考えながらオレンジジュースをストローで吸い上げる。
フレデリカは自身を見つめる彼女を不思議そうに見返すと
不意に良い事を思いついたようにピンと人差し指を立て、パタパタと小走りで姿を消した。
志希は彼女の後ろ姿をぼんやりと眺めると、最後の一切れを口の中に放り込み窓の外を眺めた。
窓の外では若木が顔を覗かせていた。
木の葉に溜まった雨水が、降ってきた滴とぶつかり弾ける。
吸い上げたオレンジジュースが空気と混ざり、ズゾゾと
厭な音を立てた時、急に店内が暗転した。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
61Res/62.52 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice