42: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:54:28.06 ID:p0TmPlc30
「レディー、エーン、キャーット!」
どこに用意してあったのか、小さな照明がフレデリカを照らす。
志希に向かって笑いかけると、マイクを持って口上を述べた。
「今日は足下の悪い中ご来店ありがとうございまーす!」
流れるようにウィンクをしてピースサインを決める。
「ここでお会いできたのも何かのご縁、心ゆくまでご堪能あそばせ♪」
足下のラジカセのスイッチを押し、軽快なメロディとともに彼女は踊り出した。
観客は志希と猫だけ。薄暗い雨の日のライブ。
だけれど彼女はとても楽しそうに笑っている。
何故なら──
志希が口元を押さえ笑っていたからだ。
「ン・・・フフフ・・・・・・」
たった一人と一匹の為に。無愛想で雨に濡れて迷惑な輩の為に。
彼女は最高の笑顔と歌と踊りを披露した。
自身も辛くて辛くて仕方がないはずなのに。
「人を喜ばせるのが大好きなんだなあ」
小さく小さく呟く。
パリ、恋の都を少女が歩く。
楽しく、優しくなれる・・・彼女らしい曲。
悲しい曲なんかではないのに、志希の目からはぽろぽろと涙が溢れ出た。
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