43: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:55:47.54 ID:p0TmPlc30
「ぐっ・・・うっ、はっ・・・あ」
志希は壁によりかかり、歯を食いしばる。
脚を震わせ、噴き出す血を押さえながら立ち上がった。
男は驚き目を見開く。
「あたしを・・・だれだ、と・・・思って・・・」
絞り出すように声を出す。
「キミなんかじゃ、どうにもならない、ギフテッド・・・」
「フレちゃんの友達の、一ノ瀬志希だ・・・!」
男は苛立たしげに口角を下げ、瞼をピクつかせる。
「本当にお前は・・・」
男が凄むと、志希は負けじと睨み返した。
その反応に男は思わず唾を飲む。
彼女の周りの空気が少し歪んだ気がした。
男を睨み付けたまま、志希は傷口から手を離す。
ナイフの隙間から溢れ出る血を気にもせず、口を開いた。
「それは、誰かが口にするまでもない客観的事実だったんだ」
「家族を殺され、自身を犯され、ナイフで刺され・・・」
「孤独の中、苦痛に染まり、絶望に顔を歪ませて死ぬ」
男は意味も分からず志希が淡々と語るのを聞いていた。
だが確信めいた予感があった。何かが起こる。この天才に勝手なことをさせてはならない。
「やめろ、一ノ瀬!何のつもりだ!!」
分かっているのに動けない。
志希の射殺すような眼光が男を貫く。
今にも倒れそうだというのに、地響きが聞こえるような気迫が彼女に宿っていた。
男は額から冷や汗を吹き出し、大きく息を切らす。
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