44: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:56:47.90 ID:p0TmPlc30
「だけど、本来存在しないはずのあたしが生まれて、世界が動いた」
「如何にしてこの世を去ったのか、分からなくなったんだ」
志希は真っ赤に染まった掌を見つめる。
小刻みに震える拳を握りしめ、腕をゆらりと持ち上げる。
「そして・・・今、やっと・・・・・・重なった」
人差し指と親指を伸ばす。
それは、タンパク質でできた彼女のピストル。
誰よりも優しかった彼女を、真っ黒な悪意で穢し尽くした男を撃ち殺す魔弾。
氷のように冷静に、血の滴る銃口を向けた。
男に、いや、この男だけではない。
彼女の優しさに気付くことのなかった、遍くすべての無能な凡百どもに知らしめるべく。
高らかに宣告するべく、ゆっくりと息を吸った。
その時、一瞬雨が遠ざかり、風が弱まった。
「宮本フレデリカは・・・」
この世全ての時計が止まり、赤子が泣き止んだ。
誰もが何かを感じて口をつぐみ、天を見上げた。
世界が彼女の発言の為に、一瞬だけ口を閉じた。
この世でたった一人、彼女だけが大きく口を開いた。
「キミにナイフで刺されてこの世を去ったんだ!」
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