48: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 18:00:02.77 ID:p0TmPlc30
ペットボトルの蓋を震える手で弄ると、静かに口を開く。
「今見た夢なんだけどね」
そう言うと彼女はハッとして首を振る。
「ごめん、ちがった。この前見た夢なんだけどね」
「いつもの廃墟の町。だけどその日はね」
「友達が、一緒にいたんだ。大好きで、一緒にいたら凄く安心する」
「その子が一緒にいてくれたから、月もそんなに怖くなかった」
「月に見つからないように隠れていた時も、その子がいたから心細くなかった」
「だけど…アタシが物陰から出ようって言って…」
息を切らす。声が震える。目線がぶれる。
ペットボトルを握りしめ、絞り出すように言った。
「アタシのせいでその子は、死んじゃうの」
志希は暗い部屋で虚空を見つめながら、静かに話を聞いていた。
「起きてる時も、気付いたら月の事を考えちゃって」
「何をしてても、どんなに楽しくても、すぐに冷めちゃって」
「ブレーキが掛かったみたいに、・・・つらく、なって」
フレデリカは目を擦り、いつものような笑顔を浮かべた。
「シキちゃん、本当にありがとう」
「約束したけど、今日で終わりにしよう?」
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