57: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 18:10:17.88 ID:p0TmPlc30
男の口から声にならない声が漏れ出す。
その時男の胸にあった感情はなんだろうか。
怒りではない。悲しみとも違う。恐怖、焦燥、絶望いずれでもない。
喜びだった。深い深い喜びに彼は包まれていた。
自らを陥れ、絶望に閉じ込め、復讐の為に全てを捨てさせた彼女に
皮肉たっぷりに褒められ、あろうことか彼は喜んでしまったのだ。
「ち・・・が・・・う・・・ちがう・・・・・・!」
そしてその感情は、彼の怒りが、彼の絶望が・・・
「喜んでなどいない、俺は!!喜んでなど!!」
彼の復讐が、彼の努力が、彼の計画が、
「違う!!違う!!違う違う違う違う違う違う!!」
彼の人生が、彼の命が、彼を構成する全てがどうしようもなく、
どうしようもなく下らないものである事の証明となる。
「うぐああああああああああああああ!!!」
61Res/62.52 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20