水本ゆかり「人形の檻」【ゆかさえ】
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100: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:12:20.73 ID:iX/HvtXE0

駅に着き、コインロッカーに荷物を預けたあと、私たちは適当なカフェに入って軽くランチを済ませた。

「これから行くところなんだけど……」

食後のデザートが運ばれてくるまでの間、私は秘密を打ち明けるように彼女の方へ近寄り、小さく呟いた。
というのは、その提案が紗枝ちゃんに喜ばれるかどうか、はっきり言って自信がなかったのである。

私が今回の旅行で訪れるべきか迷っていた場所は、夏休みに何度も行ったはずの、ドラマの舞台となった例の洋館だった。

「ふぅん、ええんやない?」

思惑から外れて、紗枝ちゃんは何のこだわりも見せずにそう答えた。
渋られるか、それでなくとも理由くらいは聞かれるだろうと予想していた私は「いいの?」と念を押すように彼女に確認した。

「だって、うちらの思い出の場所やろ? 文句なんてあらしまへん……ちゅうか、どうせ行くんやろなぁって思てたくらいやわ」

彼女は全部お見通しとでも言いたげにふふんと鼻を鳴らした。
私は拍子抜けして、それからちょっと恥ずかしくなった。
いつも、彼女の方が一枚上手なのだ。



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