101: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:12:52.11 ID:iX/HvtXE0
その洋館は駅からバスに乗って二〇分のところにあった。
こうして町の方から上って行くと、本当に人里離れた山の中にあるのだと感じる。
バスの窓に流れていた景色は明るい家並から徐々に薄暗い森へと移り変わっていた。
道が細くなり、いよいよ鬱蒼としだした窓の外は、やがて明るい木立とそこにひっそり沈んだような別荘らしき建物とを、まばらに私たちの目に認めさせた。
そうしてそれらのひとつひとつが、今となっては憧れよりももっと切ない感情で私たちの思い出を上書きしていくのだった。
バスに揺られている間、私たちは一言も発さないまま、ただすがるように窓の向こうをじっと見つめてばかりいた。
その先のどこかに失われた季節がひょっこりを顔を出すのではないかと虚しい希望を抱いて……。
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