102: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:13:50.34 ID:iX/HvtXE0
「――……ここに来るのも久しぶりだね」
「だいぶ感じ変わって見えるなぁ」
「なんだか、前よりも小さくなってない? 建物」
「ゆかりがおっきくなったんとちゃう?」
「私、そんなに背伸びたかな?」
「精神的に成長したんよ、きっと」
私たちは広い庭園を意味もなくぶらつきながらしゃべっていた。
かつてここを一面覆っていたラベンダーだのバラだのといった花々はもはやすっかり身を潜め、後にはただぼそぼそした緑の植物が広がっているだけだった。
そして私たちの目の前にはあの威厳に満ちた城郭が建っているはずだった。
太陽の光の中に、友のように寄り添っていた木々と青葉の中に、老いてなお誇りを失わずにいる眠れる戦士のように私たちの再訪を迎えてくれるはずだった。
しかし実際、この淋しい感じはどうだろう?
その肌はまるでひび割れた化石のように私の目に映った。
鮮やかなコントラストを描いていた白と黒の外壁は今やただのぼやけた灰色だった。
冷たい秋風がその身を枯らしてしまったように、彼は周囲に対して卑屈に背をかがめていた。
彼は孤独だった。
しかも彼は彼自身が単なる背景のひとつでいることに何の不満も抱いていないらしかった。
それが余計に私には切なかった……。
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