108: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:18:47.67 ID:iX/HvtXE0
「……ゆかり? 大丈夫?」
異様な胸騒ぎに襲われ、言葉を失っていた私の耳に、紗枝ちゃんの心配そうな声が聞こえた。
私は軽い眩暈を覚えてベランダの手すりに寄り掛かった。
深呼吸し、気分を落ち着かせ、私は外の林の奥にじっと目を凝らした。
そうでもしていないと本当に倒れてしまいそうだった。
横で再び紗枝ちゃんの声が聞こえた。
「具合、悪いん?」
しかし私は彼女の方を見ることができなかった。
私は怯えていた。
ただ黙ったまま、意識の底にこびりついた予感を拭おうとして頭を振ることしかできなかった。
すると、そんな私の様子のおかしいことに気づいたらしい紗枝ちゃんが、欄干に乗せた私の手の上に、慰めるようにそっと手を重ねて置いた。
「……!」
私の手が、紗枝ちゃんの手を振り払った。
反射的な、無意識の行動だった。
自分でも何をしたのかすぐには理解できなかった。
192Res/249.13 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20