124: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:34:29.41 ID:iX/HvtXE0
「ゆかりがお仕事で忙しゅうなったら、取り残されたうちはどうなるん? ゆかりが他の子と踊ったり、番組で楽しそうにしゃべるのを指を咥えて眺めてろ言うん? 考えるだけで耐えられへん。そんなの、うちが絶対に許さない」
「…………それでも、私はアイドルを辞めたくない。紗枝ならきっと分かってくれるって信じてる」
「馬鹿!」
紗枝ちゃんは血の気の失せた唇をわなわなと震わせ、苦しそうに顔を歪めていた。
私は、そんな彼女の姿を見ているのもつらくて、つと視線をわきに逸らし、痛々しい沈黙から顔を背けた。
何かを言えば、それだけ彼女は傷ついてしまうと思ったから。
突然、凍えるような悪寒が背筋を這った。
それは、かすかな、けれど風の中でもはっきり聞こえるくらいの、不気味な笑い声だった。
私は驚きながら彼女を見た。
その表情には怒りも憎しみもなかった。
そこにあるのはただ、残酷な、人をいたぶることに何の躊躇いもないような、冷たく激しい悪意の眼差しだけだった。
私は身震いした。
剥き出しになった彼女の本性を前に、恐れと興奮を覚えて。
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