125: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:35:10.77 ID:iX/HvtXE0
「……かわいそうなゆかりはん。なんも知らんで、えらそうに……」
まるで喉元に鋭い刃を突き付けられたような気分だった。
額に脂汗が滲み、私は、思わず逃げ出したくなって半歩、後ずさった。
しかし私は逃げなかった。
私の中に目覚めつつある何者かが私に語りかけていた。
恐れは問題ではない、ただ必要なのは、勇気だけだと。
私はその場に踏み止まって、言った。
「……どういう意味?」
「いくらあんさんがプロデューサーはんに頼み込んだところで無駄っちゅうことどす。あの企画はもう全部白紙に戻されたし、なんなら今年度いっぱい、ゆかりはんのところに新しいお仕事は来いひんようになってますさかい」
「……どうしてそんなこと知ってるの?」
「さあ、なんでやろなぁ?」
「はぐらかさないで」
「あらあら、威勢のええこっちゃなあ……けどそろそろ、ええ加減にしときや?」
私はひるまなかった。
かと言って無闇に立ち向かおうとはしなかった。
私の脳裏には、あの運命の警告が、不吉の予感が蛇のように目を光らせてうずくまっていた。
そしてそれは今も未知の怪物には違いなかった。
しかし脅威ではなかった!
私はただ受け入れさえすればよかったのだ、たとえそれが私の心を傷だらけにしたとしても、いつかは通り過ぎ、そして私自身のものになると分かっていたから。
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