128: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:38:24.64 ID:iX/HvtXE0
「……けど、失敗やった。ゆかりに主役なんか、やらせるんやなかった。へんに希望持たせたばっかりに……それに、うちも甘かった。ゆかりと愛し合えるのが嬉しくて、幸せで、何もかも全部、すっかり手に入れたもんやと思い込んでた。確かに、一度はゆかりのお芝居見て、ああ、うちが間違うとったんかなって、思たことはある。この子には、人を惹き付ける才能がある、うちがそれを、自分本位な理屈で潰してええんやろか、って……けど、そんな後悔したところで今さら手放せるわけない。だって、ゆかりが……」
紗枝ちゃんの目から、ぽろぽろと涙が流れだした。
そうしてついに泣きじゃくりだした彼女は、震える喉から声を絞り出すように、途切れ途切れに叫んで、言った。
「ゆかりが、ゆかりが悪いんよ。ゆかりのせいで、うち、へんになってもうた。ゆかりのこと考えると、胸が苦しゅうて、つらい。うちはこんな汚い人間やのに、こんなうちを愛してくれるゆかりが、憎くて、愛おしくて、いっそ一緒に死ねたらどない幸せやろって、そんなんばっかし考えてまう。離れ離れになるのはいや。ゆかりが傍にいてくれへんかったら、生きてる意味ない、死んだ方がましや!」
すると彼女が一歩、私の方へ歩み寄った。そして哀願するように、
「なぁ、ゆかりはん……あいどるなんか続けて、何になるん? また昔みたいに、惨めな思いして、無様な格好晒して、つらい思いするだけやないの?」
「…………」
私は答えられなかった。
つらいことは分かっていた。
アイドルを続けても、良いことなんて何もないかもしれない……。
「これだけは言うときます。ゆかりはきっと、後悔する。あんさんみたいな真面目すぎる馬鹿が何も知らんまま生き残れるほど、あの世界は甘うない。いつか酷い目にあって、身も心もずたぼろになって、しょうもないことに貴重な人生捧げてしもたって、泣いて後悔するに決まっとる」
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