131: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:40:50.65 ID:iX/HvtXE0
私はその場にへたりこんで、顔を手で覆っていた。
そんな私の腕を、彼女は乱暴に掴んで立ち上がらせた。
足に力が入らず私は、思わずよろけて彼女の腕にしがみついた。
そのコートの厚みの下には紗枝ちゃんの優しく慈しみに満ちた身体があるはずだった。
しかし私は何も感じなかった!
まるで知らない人の腕に寄りかかってしまったように、私は反射的に後ろへのけぞり、駐輪場の壁に背中を打ち付けた。
そうして壁にもたれながら私は、未だこの胸を去らない苦痛と混乱に悶え苦しんで、自分の足元の一点をぎゅっと見つめて動かなかった。
時間がむなしく過ぎていった。
冷たい風が吹きぬけて足元に落ち葉を転がしていた。
目の前にいる紗枝ちゃんは何をするということもなくただ黙ってそこに立っている。
彼女は、それだけで私をこの壁に縛り付けられると知っている。
私には反抗する力も、逃げる力も残っていない。……
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