136: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:51:39.67 ID:iX/HvtXE0
……あれから、紗枝ちゃんとはまともに会っていない。
最初のうちは通知が鳴り止まないほどひっきりなしに連絡してきた彼女も、年が明けた頃からようやく落ち着いてきて、お正月に「会いたい」とメールが来たのを最後に、その後のやりとりはなかった。
もちろん、これまでまったく顔を合わせなかったわけではなかった。
同じ寮の同じ階に住んでいたから廊下ですれ違うことも二度三度あったし、何より彼女自身、私を取り戻そうとやけになっていたので、出先で待ち伏せされるなんてことも少なくなかった。
私はそのたびに困ったように笑ってみせて、忙しいからまた後でね、とか、もうこんなことやめよう、などと言ってあしらったりしていた。
そして、それでも彼女が引き下がらなかった時の、私の言い分はこうだった。
「私たち、もう少しゆっくり考える時間が必要なんだと思う」
けれど紗枝ちゃんは、ある日は泣いて謝ったり、ある日は脅すように威圧したり、ある日は情に訴えかけたり、そうやって私の心を繋ぎ止めようとすることに必死で、私の言葉なんかまるで聞こうとしなかった。
それでも私は粘り強く耐えた。
彼女が私を諦めないのと同じように、私もまた彼女の考えが変わることを諦めなかった。
そうしているうちに一週間が過ぎ、半月が過ぎ、クリスマスを迎え、気が付けば年が明けていた。
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