水本ゆかり「人形の檻」【ゆかさえ】
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138: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:53:06.14 ID:iX/HvtXE0

この日の夜、お母さまから電話がかかってきた。
今週末、私の演奏会を見るためにわざわざ青森から来てくださることになっていて、その確認の連絡だった。

「……うん。じゃあその時間に、駅に迎えに行くね。一応、電話もしてね……ふふっ、迷子になりそうだなんて、前も一度いらしたことあったじゃない。……え? 私が? そんなことあるかなあ。だって、あの駅は何回も使ったことあるよ……ああ、地下鉄……そういえば、そんなことあったかも。……うん、……はい。じゃあ、また……はい。おやすみなさい」

電話を切り、私は腰掛けていたベッドにごろんと寝転がって天井を仰いだ。
心地良い疲労と重力が身体にのしかかって、頭の中では今日何度も吹いたフレーズがリフレインしている。
そうしてじっと天井を見つめていると、今度はお母さまのお顔が目に浮かんで、お会いしたら何を話そう、どこか良い店でお食事でもしようかしら等々、そんな雑多な考え事が次から次へと移っていった。

そうして気を抜いていると本当に眠ってしまいそうだったので、私は大きく息を吸うと「えい」と掛け声をかけて身体を跳ね起こした。
今日はシャワーを浴びたらすぐ寝よう、そう思ってそそくさとお風呂の支度をした。
そして、寮の共用風呂に向かう途中のことだった。

紗枝ちゃんとばったり会った。

私は思わず「あ」と声に出て、足を止めてしまった。



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