14: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 08:58:36.22 ID:iX/HvtXE0
「そないじっと見つめられたら恥ずかしいわぁ」
紗枝ちゃんがいたずらに微笑んで言った。
私は自分の考えに熱中するあまり、いつの間にか彼女の瞳に見入っていたらしかった。
私は慌てて視線を逸らして、
「暑くなってきましたね」
とごまかすように首筋の汗をぬぐいながら言った。
「うちも汗かいてもうたわ」
紗枝ちゃんはTシャツの胸元を少しおおげさすぎるくらいに仰いでみせた。
そうして私たちは冷房のきいた部屋に戻り、こんな時間だから夕食も是非ご一緒に、というような話をして、それからまたしばらく時間を潰していた。
その間、私の部屋のテーブルに開きっぱなしにして置いてあった、私と紗枝ちゃんとで持ち寄った故郷のアルバムを、ふたたびお互い何とはなしにめくりながら、それぞれ他愛もない感想を言い合ったりしていた。
波長が合う、とでも言うのだろうか。
紗枝ちゃんと一緒にいると、不思議と安心できた。
沈黙している時でさえ、私たちの間には自然な心地良いリズムがあった。
この何かにつけて急かされるような日々においては、彼女と作り出すそんな雰囲気が、私にはとても貴重なもののように思えた。
その気持ちはきっと紗枝ちゃんも同じだったに違いない。
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