140: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:54:13.90 ID:iX/HvtXE0
――紗枝ちゃんに避けられている。
私はすぐに理解して、さあっと血の気が引いた。
あれほど熱烈に私を求めていた彼女が、ついに私を忌避しだした。
その事実に打ちのめされて、声も出なかった。
直後、激しい自己嫌悪が胸のうちで暴れだす。
なんて身勝手な感情だろう!
彼女を突き放しておきながら、いざ自分が避けられていると分かると動揺を隠せない。
私は自分の愚かしさを恥じた。
そして自らを軽蔑した、こんな醜い心を持っている私が、愛の正しさと公平さをどうして信じられるだろう?
結局、私は一方的に求められる関係に甘んじて、自惚れと思い上がりから彼女をいたずらに傷つけただけなのではないか?
彼女のやつれた、覇気のない表情と、虚空に幻影を見ているような曖昧な眼差しを目の前にして、私はそんな恐ろしい後悔に目覚めつつあった。
やがて彼女が躊躇うように後ずさり、私に背を向けた。
私は咄嗟に声をかけようと身を乗り出した。
が、よく見れば彼女は単に浴場に向かって歩きだしただけだった。
私は、自分でも何を言おうとしたか分からないような言葉をぐっと飲み込んで、彼女のあとについて行った。
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