144: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:58:34.91 ID:iX/HvtXE0
言葉とは裏腹に、その瞳に嫌悪の感情はなかった。
彼女はただ純粋な困惑から、私にそんな疑問を投げかけたらしかった。
私の真意を読み解こうとして、彼女はおそらく自分でも意識していないくらいの真剣な目つきを私に注いでいた。
そうして私は見つめられながら久しく忘れていた感動を思い出していた。
ああ、彼女の瞳はこんなにも美しかったのだと。
私は、言いたいことを全部言い尽くしてしまったように、そっとうつむいて口をつぐんだ。
そんな私の投げやりな態度を、彼女がどんな風に受け止めたかは知れない。
けれど私にはもう、これ以上話すことがなかった。
紗枝ちゃんが静かに立ち上がった。
すると私の横目にすらりとした肢が映り、そしてそれが思いがけずセンシュアルな肉感に引き締まっていたので、私は無意識のうちに彼女を見上げ、その水に濡れた艶かしい裸体に魅入った。
湯気にぼやけた彼女の表情が、切なそうに私を見下ろしていた。
そうして彼女はまるでその痩せ細った身体を見せつけるようにしばらく私の前から動かなかった……
が、それは私の錯覚かもしれなかった。
彼女の身体の美しい曲線に目を奪われて、あるいは長く湯に浸かっていたために私の頭ものぼせてしまったようだった。
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