161: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 17:03:27.69 ID:iX/HvtXE0
――その後、六月のデビューイベントを成功させた私たちは、勢いにのってトークイベント、握手会、フェスのゲスト参加等、精力的に活動を続けていった。
九月には二枚目のシングルも発売し、スケジュールにはライブの予定が次々に舞い込んできて、しかもそのうちのひとつはチケットが完売するという、昔の私なら考えられないような事態が起こり、そこで私はようやく、自分たちが注目されてきているということを実感した。
相変わらず学業と折り合いをつけるのは大変だったけれど、そうした苦労がきちんと結果に結びついていることが何より嬉しくて、少しくらいの忙しさは全然、気にならなかった。
それに、大変なのは私だけではなかった。
むしろグループの他の子たちの方が、経験が少ないぶん私より苦労しているはずだった。
私は、レッスンもお仕事もなるべく彼女たちをサポートするように立ちまわって、危なげなところは都度、フォローしたりしていた。
その甲斐あってか、メンバーからはずいぶん慕われるようになった気がする。
これまでに個人的な相談に乗ってあげたことも一度や二度ではない。
相談、と言えば、ある日、メンバーの子から恋愛相談を受けたことがある。
高校の先輩を好きになってしまったというので、アイドルとして、あるいは一人の女の子として、どうしたらいいかという真剣な相談だった。
この時ばかりはさすがに私も困り果てて、具体的な意見を示せず曖昧に答えてしまったのだけれど、その子に、
「ゆかりちゃんは好きな人、いなかったんですか」
と聞かれた時、真っ先に思い浮かんだのはやはり紗枝ちゃんのことだった。
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