165: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 17:06:15.68 ID:iX/HvtXE0
しかし、目の前の現実は私が想像していたよりも遥かに堅く、険しく、非情だった。
確かに、私たちのグループは一時期、大きく勢いに乗っていた。
九月の比較的大きなライブイベントを終え、一旦は落ち着いた活動も、その後、秋から年末にかけて予定されていた各種イベントのために、水面下ではそれぞれの目標に向けて課題に取り組み続けていた。
そして実際、ホワイトボードに記された十月のスケジュールには、これまで以上に多くのお仕事の予定が詰まっていた。
が、ある時を境に、ホワイトボードの空白が埋まらなくなった。
十一月、十二月の日程には、元々決まっていたイベントの他に、かろうじてひとつ、小さな劇場でのライブイベントが入ったくらいで、それ以外のお仕事は一向に増えないまま、やがて十月が終わり、私は十九歳になった。
プロデューサーさんは、私たちから見ても心配になるくらい、それこそ寝る間も惜しんで営業に励んでいたけれど、それでも目立った成果はなかなか見えてこなかった。
何より、この時期になると各プロダクションから次々に新グループがデビューし、劇場やライブハウスの取り合いになるので、そもそも個別のライブイベントを開催すること自体が難しかったのである。
そこで大抵の場合、イベントは合同という形で組まれるのだけれど、それも私たちのグループに声がかかることはほとんどなかった。
私たちは少しずつ焦りはじめていた。
プロジェクト全体が思うように進んでいない、そんな雰囲気を感じ取って、せめて勢いは落とさないようにと、ブログやSNSでファンとの交流に力を入れ、細々した小さなお仕事でも自分たちをアピールすることを欠かさなかった。
けれどもやはり、お仕事の規模はどんどん小さくなるばかりで、次第に雑な現場や過激なファンも目に付くようになり、メンバーの士気が日に日に落ち込んでいくのが私にも分かるくらいだった。
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