169: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 17:10:31.57 ID:iX/HvtXE0
……しかし一方で私は冷静だった。
私と紗枝ちゃんの関係はすでに終わったものだと、もはやかつてのように純粋に愛し合える日は来ないのだということを、頭でははっきりと理解していた。
だから、私は紗枝ちゃんその人ではなく、私の中に住み着いている郷愁と愛慕を救わなければならなかった。
この誓いは、あるいは偽りの救済、偽善的な自己満足にすぎないものだったけれど、それが今の私にできる精一杯の贖罪だったのだ。
そして、それは同時に私の希望でもあった。
私は、この新たな誓いに自らの希望を託すことでようやく自分の人生の第一歩を踏み出せると思った。
紗枝ちゃんを諦め、彼女を大切な思い出として心の中に住まわせる事こそ、私の目指していた幸福の形なのだと……あとは私が、その事実を受け入れさえすればいいのだと。
そう、思っていた。
少なくともあの日、紗枝ちゃんが私の元を訪れる時までは。
それは、冷たい雨の降る夜、クリスマスイブのことだった。
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