175: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 17:15:26.07 ID:iX/HvtXE0
熱を計ると、三十八度あった。
この時期だと、インフルエンザという可能性もある。
病院に行こう、そう言うと、彼女はふるふると首を振って、「保険証、持ってへん」と答えた。
私が、それでも、と説得しようとしたら、彼女は何を思ったか、急に身体を起こして、
「やっぱし、帰る。これ以上、迷惑かけられまへん……」
ぶつぶつとそんなことを呟きながら、ベッドから起き上がろうとした。
「だめ!」
私は悲鳴を上げ、彼女をベッドに押し戻した。
「迷惑なんかじゃない。それより、もう私に心配かけさせないで。お願い」
そうして叱りつけるような口調で諭すと、彼女は観念したように目を閉じ、再び苦しそうに呼吸しだした。
夜間診察は、移動手段を考えると彼女の体力的にも厳しそうだったので、病院は明日連れて行くことにした。
私は彼女にベッドで大人しくしているよう言い聞かせ、土砂降りの雨の中、コンビニへ出かけた。
スポーツドリンクと冷却シート、それからマスクを買い、ふと店内の時計を見ると、すでに零時を回っていた。
陽気なクリスマスソングが雨音に混じって寂しく流れていた。
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