水本ゆかり「人形の檻」【ゆかさえ】
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22: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 09:08:55.49 ID:iX/HvtXE0

「別になんでもあらへんのよ。……ちょっと今度のどらまのことで、先方と食い違いがあったみたいで……ふふっ、いややわぁゆかりはん、あんさんがそない心配することやないのに」

ドラマの話が出て、私がふいに深刻な表情を浮かべたせいか、紗枝ちゃんはごまかすように話題を変えた。

「これからお昼? そんなら一緒に食べに行かへん? うちもお腹すいたし」

「ええ、それは是非……でも……」

でも、と言ってから、次の言葉が出てこなかった。
紗枝ちゃんはキョトンとして私の言葉の続きを待っていた。
私はしばらく逡巡したのち、一言「なんでもありません」と言って微笑んでみせた。



近くのファミレスで昼食を済ませたあと、紗枝ちゃんの提案で一緒に買い物に出かけることになった。
私もちょうど午後は暇だったので、快く誘いにのった。

「お稽古事もええけど根詰めてばかりやと身体に悪いし、たまには気分転換も必要ですやろ? せっかくやし二人でどっか涼しい店にでも遊びに行きまひょ。ゆかりはんは何か欲しい物あります?」

「うーん……あっ、そういえば洗剤、切らしてたんだった」

ふと思いついてそう言うと、紗枝ちゃんは怒ったように口を尖らせて、

「もう、いけずなんやから……あんな、ゆかりはん。うちらあいどるなんやから、ちょっとは"らしく"振る舞わなあきまへんえ」

「らしく……?」

意味を図りかねてぽかんとする私に、紗枝ちゃんはなぜか得意そうに鼻を鳴らして言った。

「ふふん、これはうちが修行つけてやらなあかんようやなぁ」



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