33: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 09:22:14.85 ID:iX/HvtXE0
ドラマの話題はそこで打ち切られた。
コンビニの前を通りがけに紗枝ちゃんがちょうど用事を思い出したと言って、それで私も一緒に寄っていくことにした。
どうやらお金を引き落とすらしかった。
ATMはすでに年配の方が一人、先に使っていたので紗枝ちゃんはその後ろでしばらく待つことになった。
私はその間、日用品の棚を眺めながら何か必要なものを思い出そうとしたけれど何も思いつかず、それから手持ち無沙汰にお菓子の棚を見てまわった。
が、結局何も買う気が起きないまま、なんとなく雑誌コーナーの前で適当な本を手に取り、紗枝ちゃんを待った。
彼女の番はなかなか回ってこなかった。
私はそうして雑誌のページをめくりながら内心そちらの方ばかり気にかけていた。
急に、何か悪い予感に迫られでもしたかのように、私は無造作に顔を上げて彼女の方を一瞥した。
それが思いがけず焦れったいような素振りになってしまったので、私は慌ててごまかすように視線を逸らした。
ところが彼女は私の少し近いところの通路に並んで突っ立ったまま、何もない壁をぼうっと眺めやっているのだった。
その横顔はなにやら考えに耽っているらしかった。
私は再び雑誌に視線を落とした。
しかし手はずっと同じページを開いたまま、意識の上にはそれとは別の風景を浮かべていた。
なぜあんな風に考えもせずきっぱり答えてしまったんだろう、まるで知ったように決め付けて……そんな後悔が頭のうちに目覚めつつあった。
そのため後に、用事を済ませた彼女に声をかけられた時、私があたかも雑誌に夢中になって気が付かなかった風を装ったのも、そうした不安と焦りとを彼女に悟られまいとする無意識の作用か、あるいは私自身への罰のつもりだったか知れない。……
192Res/249.13 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20