53: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 11:07:15.17 ID:iX/HvtXE0
「心当たり、ないん?」
「……分かり、ません」
「ふぅん……」
紗枝ちゃんは曖昧な返事をした。
そして私の頬を冷やしていた手をさりげなく耳元へ向けて、次にその指を私の髪の毛に深く絡ませた。
私は何か大事なことを思い出そうとしていて、そうして彼女が私の髪をいたずらに梳くのをさせるがままにしていた。
やがて彼女はその手を私の汗ばんだ首筋へ、肩へ、腕へ、最後は私の手のひらへ、身体の輪郭を確かめるように、ゆっくりと沿わせていった。
なんだか、頭がぼうっとする。
気分はとうに落ち着いているはずなのに、今日の撮影を思い出そうとすると、もやがかかったように思考が散ってしまう。
ふと、テレビの電源がオフになっている事に気が付いた。
さっき私が消したんだろうか?
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