52: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 11:06:21.97 ID:iX/HvtXE0
もう一度、ベッドが揺れた。
と思うと、今度はすぐ横にぴったりと寄り添って、私の身体の震えを押さえ込むように、そっと肩を抱くのが分かった。
「なぁんにも、迷惑なんてあらしまへんえ」
紗枝ちゃんはそう言って、とうとう涙を零しだした私の熱い頬に優しく手を添えた。
私はしばらくそうして彼女に涙を拭わせるままにしていた。
「ゆかりはんは真面目すぎなんどす。ちょっとやそっと失敗したくらい、だーれも気にしまへん……」
「…………」
「けど、不思議やなぁ。ゆかりはん、本番に弱いようには見えへんかったのに」
不思議……そう、確かに不思議だった。
あれは本番撮影の直前だったと思う。
何か言葉にできない違和感のようなものが視界の隅に……あるいは頭の隅に、ちらちらと舌を出し始めたのは。
その時ははっきり意識していたわけではないけれど、今、思い返してみれば、あの奇妙な影は撮影中もずっと私の周囲にまとわりついていた気がする。
一体、あれはなんだったのだろう? なんだか大事なことを、忘れているような……。
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