57: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 11:10:37.43 ID:iX/HvtXE0
七
翌朝、ベッドの中で目を覚ました。
カーテンの隙間から夏の太陽が射して枕元を輝かせていた。
私はうとうととまどろみながら薄い肌かけ布団をたぐりよせ、それから部屋に冷房が効いていることに気が付いた。
ふとベッドの脇を見ると、紗枝ちゃんがいた。
膝をかかえて床に座り、薄暗い部屋の壁に寄りかかっている。
どうやら手持ち無沙汰に携帯を弄っていたらしかった。
彼女は私が目覚めたことに気付くと「おはようさん」と言って微笑んでみせた。
「よう眠れた?」
「……はい……でも、どうして紗枝ちゃんが私の部屋に……?」
「ふふっ、また寝ぼけて」
紗枝ちゃんは立ち上がると私の方へ歩み寄り、ベッドに腰かけた。
「だいぶ疲れてはったみたいやね」
「……なんだか、とても気持ちのいい夢を見ていたような気がします」
私はそうして夢うつつのまま紗枝ちゃんの眼差しをぼんやりと見つめ返していた。
彼女の黒く美しい瞳はこの暗がりの中でさえ星のように輝いていた。
何かを言いたげに、けれど何も言わずに私をじっと見下ろしている……。
ふいに彼女が、寄りそうようにベッドの上に半身を横たえた。
私の上に、羽毛のように覆いかぶさる彼女の身体の重みは心地よかった。
彼女はしばらくそうして眠るように私の首元に頭を乗せ、私のはだけたシャツの鎖骨のあたりをゆっくりと指でなぞっていた。
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