64: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 11:19:07.18 ID:iX/HvtXE0
この頃、確かに私たちはお互いに夢中になっていた。
しかしそれは必ずしも自堕落で無制限な生活に落ち込んでいたことを意味しているのではない。
むしろ私たちは、この愛を成熟させるためにますます賢明であろうとした。
それは結果として、私たちのもう一方の生活をも、より善い方向に発展させていった。
あの日以来、ドラマの撮影はすべてが順調に進んでいた。
本番初日の悪夢は本当にただの悪い夢に過ぎなかったのだと、私はまるで病床から快復した人のように、癒えた後ではそれがどんなに辛かったかも忘れてしまうほどだった。
かつてスタッフの方々を幻滅させた私のおろおろした態度は二度目のロケの時点ですでに見る影もなくなっていた。
カメラが回れば堂々と主役を演じてみせ、急な演出の変更にも難なく応じた。
そうして私は、過去に被った汚名を返上するのみならず、その仕事ぶりにおいても、監督を含めた多くの方から改めて高い評価をいただいたのである。
こうした著しい変化は私自身をも驚かせた。
あの日、紗枝ちゃんと一夜を過ごし、そこに私たちの新しい巣を築き始めた瞬間から、世界はまるで違ってしまったようだった。
何もかもが――少なくとも私と紗枝ちゃんを中心とした物事のすべてが――うまくいった。
私は、ともすれば尊大になりがちなこうした全能感をも自らの意志で……いや、正しくは紗枝ちゃんへの忠義において律し、分別をつけ、何よりも優先すべき彼女との時間を守るために、かえって他のあらゆる瑣末事に真剣に取り組むようになったので、自分でも思いがけないくらいに充実した毎日を送るようになったのである。
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