水本ゆかり「人形の檻」【ゆかさえ】
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66: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 11:20:29.17 ID:iX/HvtXE0

そして実際、そのアンモラルな冒険はひどく私を興奮させた。

彼女はまるで手品か魔法のように私たちの秘密を神秘のベールに包み、どんなに危険な賭けに出ても肝心の証拠が人々の目に留まることはなかった。

それこそ最初は、彼女のそうした愚かな振る舞いに不信感すら抱いたこともあったけれど、やがてそれが彼女の未知の力によって守られた安全な遊戯にすぎないと分かると、私もつい甘えてしまって、しまいには彼女とのそんな無邪気な戯れにすっかり身を投じてしまったのだった。


とはいえ、それで私の中にある疑念のすべてが拭い去られたわけではなかった。
疑念、あるいは不信感……
いや、むしろ彼女に対する信頼と尊敬の念は二人で生活を共にするうちにますます確かなものになっていった。

にもかかわらず、私にとっての『小早川紗枝』という人物は、その声を聴き、その肌に触れ、その心を知ろうとすればするほど私から遠ざかっていくように思われた。

彼女は、自身を包む神秘の霧の向こう側から私に声をかけ、手招きし、美しい幻影をちらつかせながら、そうして魔の森へ迷い込んでしまった私をあざ笑う、いたずら好きの妖精のようだった。

つまるところ私が抱いた疑念というのは、彼女の気まぐれな振る舞いに対する戸惑いであり、友人同士だった頃には知り得なかったもの、彼女の謎めいた素顔に対する戸惑いなのだった。



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