67: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 11:21:02.73 ID:iX/HvtXE0
特に顕著だったのは、彼女が不機嫌になった時である。
仕事か、お稽古事か、あるいは勉強か、いずれにせよ何か嫌なことがあると彼女は静かに怒りを溜め込み、さりげなく私にその不満をぶつけることがあった。
それは愚痴で済む場合もあれば、時には暴力めいた行為となって襲い掛かる場合もあった。
もちろん、手を上げたり、直接傷つけたりするというわけではない。
ただ、そう……たとえばセックスをする時など、いつもより激しくなったり、痛いくらいに愛撫するのをやめなかったり、それこそ私が疲れ果ててぐったりしていてもお構いなしに、執拗に責めてくるようなことが少なくなかった。
そんな時私は、しばしば彼女の目にひどく冷たい残酷な表情を発見した。
喉を締め付け、血を凍らせるような殺意に満ちたまなざしが、ほんの一瞬だけ彼女の表情を横切るのだ。
しかしそれは決して私たちの関係を脅かすようなものではなかった。
むしろ私は、彼女の不可解で掴みどころのない心が、そうして星のように小さく燃え出す瞬間、彼女の冷たい炎が私の影を焦がすその瞬間にこそ、私たちの永遠の絵が刻まれていく、そんな気持ちがするのだった。
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