71: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 11:23:34.65 ID:iX/HvtXE0
外に出ると、街は今にも雨が降り出しそうな気配だった。
私はふと往来の中に手をかざして空を見上げた。
そして何気なく、
「雨の匂いがする」
と呟いたら、紗枝ちゃんが「なにそれ」と小馬鹿にしたように言うので、それから事務所に着くまでの間、私は雨の匂いについて彼女に長々と説明する羽目になった。
……と言いつつ、私も匂いの正体なんて分からないから、結局は自分の子供時代の思い出ばかりしゃべっていたけれど。
「あ。そない話してたらほんまに降ってきた。ほら……」
今度は紗枝ちゃんが手をかざして空を見上げた。
すると私の頬にも小さな雨粒が当たるのを感じた。
私たちはおしゃべりするのをやめて早足に道を歩きだした。
幸い、すでに会社の近くまで来ていたので、建物に駆け込んだ時には服と髪の毛をほんの少し濡らしたくらいで済んだ。
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