75: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 11:28:04.86 ID:iX/HvtXE0
ドラマの大筋は、主人公ノラが、そのわんぱくさと無邪気さゆえに友人ハルの病態を悪化させてしまい、罪悪感と自責の念に苦しみながらも、一方では自分が傷つけたはずのハルによって救われていく、というものだ。
要するに、ある平凡な少女のささやかな青春譚である。
このドラマではそうした大まかなストーリーを中心に、他の生徒たちや先生との交流、あるいはちょっとした事件などが描かれていて、お話自体はそこまで複雑ではない。
ただ、主人公ノラが物語を通してどのように罪の意識を克服し、また愛を知るようになっていったのか、その内面が劇中でははっきりと示されないのである。
それはもちろん、私の演技が未熟なために伝わっていない、という部分もある。
しかしそれを別にしても、抽象的な会話が多かったり、ところどころ説明が省略されていたりするので、特に主人公ノラの心の機微を理解するためにはひとつひとつのシーンを注意深く追っていく必要があった。
逆に言えば、注意深く見ていないと、ノラが単なるわがままで奔放な子供という印象のまま終わってしまう可能性すらある。
そういう意味ではむしろ、『愛を伝える少女』ハルの健気さの方がよっぽど人物像として分かりやすい。
精神的に幼く、まだ発展途上にあるノラがその未熟さゆえに周囲から徐々に孤立していくのに対し、病床に伏しているハルだけが唯一、彼女の味方になってくれる。
その優しさに満ちた心こそ、まさに人々が思い描くような理想の愛の形ではないだろうか?
そしてハルの優しさはけっして臆病から来ているのではなかった。
彼女はたとえ相手が大人だろうと自分の主張を曲げようとしない頑固な一面もあった。
その点においてハルとノラは似た者同士だった。
が、ハルのやり方はノラが子供のように駄々をこねるのとはまるで違っていた。
毅然と相手の目を見つめ、言葉少なに、我慢比べでもするかのように、静かな情熱で空気を支配するのである。
この、己の信念に対する厳しさもまた、ハルに備わっている愛の素質の一端であり、そして紗枝ちゃんが彼女らしい芝居で見事に表現してみせた、ハルの魅力の本質でもあった。
そう、確かにハルは魅力的だった。
人々を愛し、あるいは愛を伝える役目を担いながら、それと同じくらい、彼女はみんなから愛されるべき人物だった。
事実、作中においても、施設の誰もがハルを慕い、彼女に好意を抱いていたのだ。
ただひとり、ノラを除いては……
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