79: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 11:40:44.80 ID:iX/HvtXE0
「んっ」
紗枝ちゃんの短い叫び声が私の唇に塞がれて止まった。
一瞬の出来事だった。
気付けば私は彼女の身体を強く抱きしめていた。
紗枝ちゃんの驚きに見開かれた瞳が目の前で瞬いている。
次いで、怒り、それから、苦悶の表情へ……
私の両腕はその細い身体を砕きかねないほど強く締め付けていた。
彼女の喉からくぐもった声が漏れ、二つの鼓動が重なるように胸に響く。
その手は乱暴に私の制服や髪の毛のあちこちを掴み、引っ張って、もがいている。
「……!」
はっと我に返って、咄嗟に唇を放した。
一体、私は何をしているんだろう……目の前の紗枝ちゃんの困惑した表情、怯えたような唇のわななき、そして私を呆然と見つめるばかりの潤んだ瞳に、私は自分がしでかした事の恐ろしさを少しずつ、やがてはっきりと理解し始めた。
「紗枝ちゃん、私……」
そう言いかけて、今度は紗枝ちゃんが、私の声を塞いでしまった。
私は慌てて彼女から離れようとした……しかし彼女はそうして逃れようとする私の首に素早く腕を回し、ぶら下がるようにしがみついて、一切の言い訳を許さないとでも言うように、その熱っぽい唇で私の口を封じたのだった。
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