水本ゆかり「人形の檻」【ゆかさえ】
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83: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 11:44:26.41 ID:iX/HvtXE0

「あんな、ゆかりはん。うちはもう、自分のことも、他人のことも、どうでもええの……けどな、ゆかりはん。あんさんだけは、うちのそばに居てほしい。遠くに行って欲しくない。ずーっと、いつまでも……うちの言ってる意味、分かる?」

「うん……分かるよ」

しかし彼女は相変わらず私の顔を切なそうに見つめたきり、その手を離そうとはしなかった。

歩道沿いに並んだ店の柔な明かりが、ずぶ濡れになった私たちの表情を淡く照らしている。
そうして道の真ん中で突っ立ったままの二人と、足元に転がっている傘とを、通行人たちが訝しげに避けて歩き過ぎていく。

「帰ろう?」

私は彼女の両手をそっと剥がして言った。
それでも彼女はすがるような目で私を見つめるのをやめなかった。
以前、ベッドの中で泣きながら私に抱きついてきた時と同じように……そして結局、私が傘を拾い上げ、その手を取って歩き出すまで、彼女は放心したようにその場から動こうとしなかった。
私はそうして私以外の何物も見ていないような彼女の、その危なげな足取りを介助してやりながらなんとか帰路についたのだった。


寮に着いて、私は紗枝ちゃんを連れてそのまま自分の部屋に帰った。
部屋の扉を閉めてすぐ、私たちは濡れた服を脱ぎ散らかしながらお互いの汗と唾液と愛液を貪るように求め合った。

この瞬間、私たちはもはやセックスすることしか頭になかった。
それこそベッドに行く手間すら惜しんで、部屋の入口に立ったまま、床に散らかった服や下着を蹴飛ばしながら、それでも尚、そんなことは気にも留めずに、お互いの肉体を獣のような欲望で満たしていった。



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