84: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 11:46:10.08 ID:iX/HvtXE0
夕食も、シャワーを浴びるのも忘れて、私たちは愛し合った。
彼女の細い指が私の一番深いところまで潜り込んで、ゆっくりと掻き回した時、同時に舌を吸われながら私は、お腹の底から幸福感に満たされていくのを感じた。
また、私がその燃えるように熱い肉膣を愛撫しだした時の、彼女の淫らな表情といったら!
だらしなく口を半開きにし、虚ろな眼差しで快楽に身を悶えさせる彼女の姿はほとんど半狂乱だった……いや、狂っていたのは私も同じだった。
私たちは素肌を空気に晒しながら家具や壁のあちこちに身体をぶつけ、汗とも愛液ともつかない汁をそこらじゅうに撒き散らしながらセックスに没頭した。
そうして何度目かの絶頂の果てに、とうとう力尽きて身動きの取れなくなった私たちは、気付くと床の上に重なるようにしてぐったりと横たわっていた。
紗枝ちゃんのベタついた身体が私の下敷きになって苦しそうに喘いでいる。
彼女の心音が、押しつぶされた乳房の柔らかな感触の向こうにどくどくと響いている。
疲れきってぼんやりした頭で私は、彼女の汗ばんだ肌の火照りを、手のひらに、腕に、足に、胸に、全身に染みるように感じ入っていた。
やがて私は気だるい身体をやっとの思いで動かして、仰向けになっている彼女の表情を覗き込んだ。
彼女は虚ろな瞳で天井を見つめ、深く息を吐きながら、まだ身体の中に残っている絶頂の波に震えながら浸っていた。
「紗枝ちゃん」
そう呼びかけてようやく我に返った彼女の身体を、抱き起こし、引きずるようにベッドまで連れて歩く。
そのままもつれるように布団の中に倒れこむと、疲労と倦怠がにわかに私の身体にのしかかってきた。
……いつの間にか夢を見ていた。
嫌な夢。楽しい夢。怖い夢。……過ぎ去った記憶の欠片が、フィルムのように瞬いては消え、現れては移り、そうして残された微かな匂い、景色、感情……雪のように儚い思い出たち。ずっと昔の、お母さまの笑顔。小学校の校舎、クラスメイトたち、そして、フルートの先生、プロデューサーさん。それから、スキャンダル、非難、罵倒、東京で出会った人たちの、失望の声……
最後に見たのは、故郷の夢だった。
家族に囲まれて、幸せに暮らしている。
するとそこへプロデューサーさんが、紗枝ちゃんを連れてやってくる。
紗枝ちゃんが私に微笑みかける。
振り返るとお母さまが、吹雪の中に泣き崩れている。
私は選択を迫られる。
そして……。
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