9: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 08:53:33.03 ID:iX/HvtXE0
途端に、私はひとりになった。
故郷が、ずんずんと、おそろしい速さで遠ざかっていくのを、私は急に焦るような気持ちで眺め出した。
外はこんなにも天気が荒れているのに、家族を置いて、私だけがこうしてぬくい座席に座り、故郷を見捨てようとしている、そんな思いがした。
両手にはめたお母さまのお気に入りの手袋が、ここでは暑すぎるくらいだった。
そして駅のプラットホームでのお母さまのご様子を思い出して、私は、この手袋を私にお譲りになったせいで、お母さまのお手が冷えて、それであんなになってしまわれたのだ、と思った。
急に、さびしくなった。
いますぐお母さまに会いたいと思った。
そう思うと、目から涙が溢れて止まらなかった。
新幹線が暗いトンネルに入って行った。
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