92: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:04:19.77 ID:iX/HvtXE0
「ま、ほんならプロデューサーはんへのお土産も買うときまひょか。お互いの分と合わせて……ゆかりはん?」
「はい?」
「もう、また小難しいこと考えてたやろ」
紗枝ちゃんが不満そうに口を尖らせて言った。
私は肩をすくめてみせながら、
「そういうのは禁止、だったね」
旅行に来ている間は余計なことは考えない……それが私と紗枝ちゃんとの約束だった。
「そそ、ゆかりはんはうちのことだけ考えてればええの」
彼女はテーブルに両肘をつき、その組んだ手の甲にちょこんと顔を乗せ、溜め息をつくように私に微笑んでみせた。
私は思わずうつむいてコーヒーカップに添えている自分の手を見ていた。
気恥ずかしさにみるみる顔が熱くなるのが自分でも分かる。
それから私は思いついたようにカップを手に取り、ぎこちない仕草でコーヒーを啜った。
ちらり、と上目遣いに正面を見ると、彼女はそんな私の様子をじっと見守るように眺めて楽しんでいるらしかった。
そうして私はますます気恥ずかしくなって、熱いコーヒーを一生懸命啜って間を繋ぐのだった。
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