【安価】怪異を犯してマンションに住まわせる
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331:イッチ[saga]
2026/10/04(日) 10:52:54.52 ID:sfB4AF/l0
チョウロウ曰く、この里には「姫」という存在がいるらしい。
里の統率者であり、みんなのアイドル、そして里の誰よりも強く、強力な神通力を扱うと言う。
俺の包帯の下に塗り込まれているのも、その「姫」特製のガマの油らしい。
どおりで治りが早いわけだ。
……会ってみたい。
いや下心とかは全然なくてね!!!
D「ここは農業が盛んなんだな。しっかり手入れの行き届いた田畑、近代的なビニールハウス、井戸もそこら中にある。……電気とか水道が通っているのか……?」
チョウロウ「ええ。ここで消費する食料は、全てここで生産しておりますからね。電気は『力場』の力や、風や太陽光で発電しております。近代的な物は、姫様が私たちの生活を良くしてくださるために、ニンゲンの町で仕入れて来てくださった物です。水は、地下に膨大な水源があり、山の上にも雨水を溜める貯水池もありましてな。里のタヌキが使う分には、絶対に困らないのです」
D「ほえー」
いやぁ、なんと住みやすいところだ。
マンションが無ければここに移り住みたいくらいだ。
たまにサナとサチを連れて里暮らしを体験するのもいいかもしれない。
D「…………」
……と、思っていたが。
チョウロウ「……どうかされましたかな?」
D「……いや」
……。
D「チョウロウ」
チョウロウ「なんですかな」
D「…………農業をしているタヌキがいないな」
チョウロウ「……」
D「1人もいない。なんだか、里全体がなにかの準備をしているようだな」
チョウロウ「……」
D「みんな、農具の手入れに忙しいようだ。鬼気迫る表情で研いでいる。……おや、あのタヌキは『竹槍』のような形の農具を手入れしているな。あんな農具は、俺の知る限り、見たことないな〜」
チョウロウ「……ニンゲン殿」
俺は立ち止まった。
D「…………チョウロウ。ぜひとも、姫を一目見たい。少し話がしたい」
チョウロウ「申し訳ない、ニンゲン殿。それはなりません。里は、祭りの準備をしているのでございます。姫は祭りの準備で手一杯でございます」
D「ほぉ、祭り……ずいぶん、物々しい祭りなんだな」
チョウロウは俺の顔を見上げる。
チョウロウ「ええ。ニンゲン殿には少し危ない部分もございます。悪いことはいいませぬ。そろそろ、里を出られてはいかがでしょうか」
D「いや、今夜は泊まる。今決めた。その祭りってやつを見なければ、帰るに帰れん」
チョウロウ「そうですか……では」
チョウロウが手を挙げた。
チョウロウ「皆の者、ニンゲン殿がお帰りだ。『丁重』にお帰り頂きなさい」
そう声を上げると、周囲で農具の手入れをしていたタヌキたちが、やれやれ、といった様子で、農具を構えながら俺を囲んだ。
タヌキA「……すまねぇな」
タヌキB「あんたのためなんだ」
みな、キッ、となにかを覚悟したような良い目をしている。
手が震えている者もいた。
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