エルフ「ダンジョン荒らして金稼ぎ!」戦士「不安しかないが……」

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201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/09(水) 23:12:56.14 ID:D3g4hYJSO


赤魔「よしっ!」


盗賊「ふう……」



戦士「エルフは大丈夫か!」


商人「は、はい。今、気付薬を飲ませます」クイッ


エルフ<<グビッ


エルフ「へびゃぁっ!?」バッ


エルフは復活した!


エルフ「まっず!? まっずーッ!?」


戦士「良薬は口に苦いからな」


エルフ「やかましいわ! ちゃんと私を庇えよ! なに麻痺ってんだ!」ゲシッ


戦士「すまんな……」
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/09(水) 23:15:58.67 ID:D3g4hYJSO


盗賊「……」


赤魔「おい盗賊! どうして勝手に船を降りたんだよ!」


盗賊「あの黒石が置かれてないか気になったのよ」


商人「黒石……昨日見せたあの欠片ですか?」


盗賊「そうだ。あれに心当たりがあってね。ずっと追いかけているヤツと繋がってるはず」


赤魔「それって……そうだったらお前だけの問題じゃない!俺たちの問題だ! 俺たちは親友だろうが!」


盗賊「…………」


エルフ「取り敢えずもう少し詳しく説明してもらえる? 私たちも探索ついでに黒石探すのを手伝うからさ」


戦士「ああ……」ぼろぼろっ


盗賊「あ、ああ。……大丈夫か?」


戦士「ああ。丈夫な体だけが取り柄だからな」


盗賊「……そう」



203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/09(水) 23:20:08.85 ID:D3g4hYJSO

・・・

盗賊「転移石。それが例の黒石の名前だ」


商人「転移というと……別の場所に移動することができると? 未知の魔物たちは石が生み出してるわけでなく、別の場所から移ってきたと?」


盗賊「まあ、大体そう考えていい。ただし重要なポイントが二つある」


戦士「何だ?」


盗賊「一つは原則として転移が機能する場所がごく限られていること」


エルフ「ダンジョンでしか使えないの?」


盗賊「それは十分条件だ。ダンジョンが出現しうる場所でしか反応しないんだ」


赤魔「とびきりエネルギーが溜まりやすい場だな」


盗賊「そういうこと」


エルフ「そういえばダンジョンってそうだよね。魔法が使いやすい」


戦士「そうだったのか」←魔法の才能皆無
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/09(水) 23:21:35.78 ID:D3g4hYJSO


商人「それが何故かも気になりますけど、もう一つは何ですか?」


盗賊「もう一つは転移石による転移の対象は異世界の物質に限るということだ」


エルフ「うお、ブチこんできたね」


戦士「異世界……?」


盗賊「この世のものじゃないアイテムやら魔物やらがどんどんと湧いてくるのもダンジョン自体が異世界から移動した異物で、未だに異世界との接点となってるからだ。むしろ異世界が存在しない方がよほど不自然だろう」


商人「異世界はないのが不自然ってすごい言葉ですね。でも、まあ確かにそうかも」


エルフ「そんで? そのナントカ石が何だっていうの?」


盗賊「転移石は人工物なんだ。そして転移石を作ったのが、私の探してる人間だ」


商人「ああ、それでもし石があればその探してる人の手がかりが見つかるという話になるわけですね。痕跡が残ってたらだとか」


盗賊「察しがよくて助かるわ」
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/09(水) 23:23:48.77 ID:D3g4hYJSO


戦士「なんでその人を探してるんだ? 大切な人なのか?」


盗賊「……まあ、そうね」


赤魔「……」


エルフ「あれでしょ? 探してるのは元カレで未練タラタラで元サヤ狙いか復讐なんでしょ?」


商人「ソープオペラですね!」


赤魔「きゅ、急に下ネタ言うなよ!」


エルフ「いや、下ネタじゃないから。戦士がよく行く“たまたま”女性と出会ってイイコトしてもらうお風呂屋さんとは無関係だから」


戦士「行ったことねえよ!」


エルフ「え、まだ童貞なの?」


戦士「なぜそうなる……いや、ノーコメント」


商人「(戦士さん……)」
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/09(水) 23:28:02.14 ID:D3g4hYJSO



赤魔「……ど、童貞とかそういうのは声を大きくして言うことじゃないだろ」カァァ…


エルフ「カマトトぶってるねぇ……それで探してる人とはどう言う関係?」


盗賊「今の話の流れで言うのはちょっと憚られるわ」ハァ…


エルフ「あーあ、戦士のせいだよ」


商人「戦士さん……」


戦士「なんでだよ!? 俺は悪くないだろ!」


赤魔「そ、そんなことより先に進もうぜ!」カァ…


エルフ「ぷぷっ、これくらいで顔を赤くしてるとかウブだね」


盗賊「赤魔は相変わらず天使ね(さっさと進むぞ)」キリッ


商人「(これは本音と建て前が逆なあれですかね……)」」


戦士「生存率25%の危険なダンジョンだというに、どうしてこんな暢気な会話をしてるんだか……」
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/09(水) 23:31:46.80 ID:D3g4hYJSO

to be continued...



○戦士メモ

・ハンニャドラゴン:まさか麻痺させられるとは俺も情けない。簡単に崩されないように気を付けねばいけない。

・ハンニャレプタイルの群れ:四人で戦えば大したことないが、俺とエルフだけだったら手こずっただろう。

・転移石:異世界から物質を転移させる人口石らしい。使用可能場所はダンジョンのようにエネルギーに溢れている場所に限るそうだ。報告にない魔物がダンジョンに多くいるため、設置されている可能性がある。



○エルフメモ:


・気付薬:苦いのか甘いのか辛いのかはっきりしないがマズいことだけは確かだね。あれだけマズければ嫌でも目を覚ますよ。

・異世界:いきなり異世界とか言われても正直困るよ。なんでも有りじゃん……そもそもダンジョンがそうか。

・泡のお風呂屋さん:ギャンブルの借金が返せなきゃここに沈められるところだった。怖い怖い。

・童貞:戦士のことだね!
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/10(木) 00:14:18.96 ID:UkxXihqQ0
赤魔や盗賊にも鑑定士がいるな
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/10(木) 01:08:00.39 ID:5tZUrcxA0
確かにこんな戦士とはパーティー組みたくないな
一年保った奴は凄いな
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/10(木) 01:36:47.91 ID:4JhOmI4Oo

更新おわりのメモ好きやで
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/10(木) 05:49:32.68 ID:hDlD++Ddo
戦士はそういう雰囲気になっても手を出せなさそうだよな
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/10(木) 16:46:43.30 ID:Uzq9hS860
上条や士郎と同じタイプだな
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/11(金) 00:52:55.01 ID:mkTpdPNaO

・・・

商人は『瞬足シューズ』を手に入れた!

商人は『鯨油の無限壺』を手に入れた!

商人は『限定ICカード』を手に入れた!



商人「わぁ……珍しいアイテムがいっぱいですね!」むふーっ


戦士「(キワモノばっかりな気がするが……)」


エルフ「500G草や800Gの果実はないかな」



赤魔「アイテム見つけるの早いなー、俺たちよりはるかに目敏いな」


盗賊「私たちだけだと警戒に気を割くから仕方ないわよ」



商人「あそこにもアイテムです!」


戦士「うお、本当だ」


エルフ「よくあんなの気付くね」



盗賊「……やっぱり単純に見つけるのが上手いわね」

214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/11(金) 00:55:44.85 ID:mkTpdPNaO



盗賊「ストップ。その大岩は変だ」


戦士「ん?」


エルフ「そう?」


盗賊「形状と色味が他と違う。『爆弾岩』だな」


商人「爆弾岩というと……近くに火気があると引火して辺り一帯を火の海にするトラップですね」


赤魔「こわっ……」


エルフ「もし岩陰で野営したら、大惨事だね。黒チビ、火炎使わないでよ」


赤魔「その呼び方やめろよ!」


戦士「爆弾岩が他にも存在するかもしれないと考えると恐ろしいな。さっさと岩山地帯から抜けてしまいたい」


商人「販売されている地図だと岩山地帯を抜けた辺りで途切れてますね」


エルフ「奥に謎のオブジェがあって、それを囲ってる巨大なボスがいるんでしょ」


盗賊「このルート上に報告にない魔物が多く出てくるということは転移石があるとしたらそこだろう」


エルフ「お約束みたいに奥地にあるねぇ」


赤魔「やっこさんはそれだけ転移石を壊されたくないんだろ」
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/11(金) 00:57:24.65 ID:mkTpdPNaO


エルフ「……!」サッ


戦士「敵か……!」チラッ



ヒトクイムシ<<バリッバリツ…


<<ぎゃぁぁぁ……っっ



商人「ひゃぁぁ……っ」ガクガク…


エルフ「冒険者? 数日間迷っていたのかな? あれはもう助から……」



戦士はヒトクイムシへと駆け出した!



エルフ「あ、あのバ……ッ!」パクパク…


盗賊「彼は随分と危なっかしい行動を取るな。ダンジョン冒険者には向いてないだろ」


赤魔「でも助けるのには賛成だぜ!」



エルフ「…………」


商人「(ま、魔物よりも、こ、こわ……っ)」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/11(金) 00:59:11.85 ID:mkTpdPNaO

・・・

ヒトクイムシを倒した!



戦士「大丈夫か!」


返事がない
ただの屍のようだ


盗賊「……間に合わなかったか」


エルフ「ふう……戦士くん、ちょっとお話をしましょうか」


商人「……」ガクガク…


戦士「あー……急に飛び出して悪かった」


エルフ「謝ればそれで済むと思ってるのかな?」


戦士「……すまん」


エルフ「…………ふう。君さ、自己犠牲で自尊心を満たしたいとでも考えてる?」


戦士「そんなつもりは……いや、それでいい」


エルフ「あ? ふざけんな。ちゃんと答えろ」


赤魔「(ガチギレかよ……怖っ)」

217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/11(金) 01:00:57.09 ID:mkTpdPNaO


戦士「……助けられる命は救いたい。困っているやつを助けたい。俺はそうした信念をもって生きていて、それを達成しようと努めている」


エルフ「そうした生き方をするために君は私たちを危険な目に遭わせたり、私たちを不当に傷付けるんだね?」


戦士「そんなつもりは……すまんな」


エルフ「だから謝ってほしいわけじゃねえんだよ。分かんねえのか。そうした欺瞞に満ちた利他心で行動すんのをやめろって言ってんだ。脳みそガバガバかよ」


戦士「…………」


エルフ「どうして同じ認知能力を持ってる私たちが、ここまで噛み合わないかな? 私が悪いの?」


戦士「そんなことはない。……俺たちはもう組まない方がいいかもな」


エルフ「なんでそうなるんだよ!」


商人「あ、あの……少し良いですか!?」


盗賊「(あの空気に割り込むとはやるわね)」


商人「えっと……えーっと……ちょっとだけ僕の話をさせてください」


エルフ「…………」
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/11(金) 01:03:11.39 ID:mkTpdPNaO


商人「この前、アイテムの交易のお手伝いとして港に行ったんです」


商人「そこで僧侶さんの集団に出くわしたんです。彼ら彼女らはバケツを持っていました」


商人「バケツの中には水と生きた魚が数匹入っていました」


商人「彼らはお祈りをした後に魚を海に返しました。お店の先輩によると毎週お馴染みの光景だそうです」


商人「僕は気になったから彼らに何をしてるか聞きました」


商人「『神の御許において収奪されんとした生命を救っている』と彼らは言いました」


商人「その魚は市場で10Gで買われた魚でした。彼らは10G分の死ぬ定めにあった魚たちを海に逃がしてあげていたんです」



赤魔「……えーと? どういうことだ?」

219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/11(金) 01:06:46.56 ID:mkTpdPNaO


商人「善意って美しいと思います。彼らはその信念に従って魚を助けていました。彼らの善意は本物だったと僕は思います」


商人「戦士さんがいかに捉えていようと、戦士さんの誰かを助けようとすふ行動は美しい善意に違いないも思います」


商人「同時に思うのです。彼らは毎週20Gを支払って数匹の魚を逃している」


商人「もしもその2倍のお金を漁師に払って今日は魚を捕らないでくれと頼んだら、きっと購入した以上の魚を助けられたでしょう」


商人「善意は美しいです。けれど、美しいだけじゃダメなんですよ」


商人「いっぱい考えて上手いやり方を探さなきゃダメなんです。それをしないなら……やっぱりそれは怠惰な心が生み出した自己満足になっちゃうんです」


商人「……戦士さんはそういう人じゃないと思うんです」


戦士「……つまり今の俺の行動は思考が停止した安直で非効率な自己満足に過ぎないと?」


商人「この際、自己満足とかどうでもいいんです。非効率なのがダメなんです」


盗賊「へえ……言い切るわね」
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/11(金) 01:08:18.37 ID:mkTpdPNaO


商人「せ、戦士さんの身体は一つなんです。その身体で守れるものはきっと戦士さんが思ってるよりもずっと少ないんです」


商人「それなら戦士さんは実行可能な上手いやり方を見つけなきゃいけないんです」


商人「エルフさんはそれを怠ってる戦士さんを怒ってるんですよ。出来ないことをやろうとして非効率になってるのが許せないんです」


エルフ「ん、んー……? そうなのかな……? そうかも?」


戦士「頭の悪い俺には難しいが、何となく言いたいことは分かった……のか?」


盗賊「理想は持っても良いが、もっと地に足をつけて現実的に考えて行動しろってことだろう」


商人「そ、そうです」


戦士「……なるほどな。確かにそういう考えは俺にはなかったかもしれない……そうか……」


商人「戦士さんは、話し合えば人は分かり合えると思ってるんですよね?」


盗賊「……」


戦士「ああ」


商人「僕たちももっと分かり合う必要があると思います。帰ったらチームエルフの原則を議論して作りましょう。きっと僕たちには必要なことだと思います」


戦士「そうだな……」
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/11(金) 01:09:53.40 ID:mkTpdPNaO


エルフ「暫定ルールは『チームのメンバーの命を優先する』ね。分かった?」


戦士「ああ。……エルフ、悪かった。すまん」


エルフ「……まあ、私だって戦士のそういうところ嫌いじゃないけどさ。パーティーを危険に晒して欲しくないよ。生命あってなんぼなんだからさ」


戦士「……そうだな」


赤魔「俺は戦士のそういう人情に厚いところ好きだから、無茶しすぎなきゃこれからもそのままでいて欲しいけどな」にっ


戦士「ありがとな……」


商人「(丸く収まって良かったです)」ほっ



エルフ「あと、帰ったらここにいる全員にグランドホテルレストランのフルコース奢ってね」


戦士「無茶を言うな! 破産するわ!」


赤魔「ほんとか!?」キラキラッ


戦士「無理だからな!?」


エルフ「無い袖を振ろうとしてる戦士さんに不可能はないよ!」


戦士「いや、ほんと悪かったって……」


to be contonued...
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/11(金) 01:11:31.67 ID:mkTpdPNaO
○戦士メモ

・爆弾岩:ダンジョンで大爆発の音と振動に出くわしたら爆弾岩が爆発した可能性がある。威力は凄まじく、半径100メートルにいる生物は致命傷を負うため探索の際には用心しなければいけない。

・ヒトクイムシ:イモムシのうよな大型の魔物だ。人さえも捕食する危険な魔物であるため、注意する必要がある。



○エルフメモ

・謎のオブジェ:ダンジョンの奥にあるらしいよ。ご都合主義だなあと思わないでもないけど、奥まで行って何もないというのも虚しいから良しとしようじゃん?

・善意:商人のエピソードは基本的にパクリだそうだ(戦士にはナイショ)。まあ、商人にしては叙情的だったしそんな気はしてたよ。


○商人の鑑定

・瞬足シューズ:売値15G。ゴテゴテした意匠のスポーツシューズ。小学生男子垂涎の逸品です。コーナーで差をつけろ!

・鯨油の無限壺:売値50G。手のひらサイズの小瓶ですが、鯨の油がこれでもかというくらい出てきます。成分的には食用には適さないため、ランプや松明として使うのに適しています。

・限定ICカード:売値10G。限定と言われていますが、むしろ通常版の方が流通数が少なかったりします。そのデザイン性からコレクターが少なからずいます。端を削って武器として使えないこともないかも?
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/11(金) 01:12:26.33 ID:7uSaTHBso

戦士が痛い目見る前に丸く収まって良かったわ
これから痛い目みないとは限らんが
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/11(金) 01:27:01.80 ID:plXhoa4A0
今回助けに行ったときに爆弾岩作動させて残ったメンバー傷付いていたら戦士も理解できたかもな
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/11(金) 01:40:49.74 ID:6W+Iqlso0
丸く収まってよかった(´・ω・`)
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/11(金) 06:06:47.56 ID:9RY12aRgo
戦士は話し合いのあとも内心あんまり納得行かなくてエルフの片腕吹き飛ぶくらいしないと考え方変わんないと思う
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/12(土) 22:45:17.28 ID:WboWBQuVO


・・・

盗賊「ところでさっきの冒険者がこんなアイテムを持っていた。懐の奥に隠していたから汚いが、レアアイテムだったりしないか?」


戦士「遺体から追い剥ぎするなよ……」


盗賊「そう言われると思ったから、ここまで黙っていた」


商人「これは『真実の鏡』です。幻などを見破り、また防ぐことができます。値段が付けられないほど貴重なアイテムです。大事にしてください」


エルフ「(むむ……解析マシンと一緒の扱いか。あっちに取られたの痛いな。商人も馬鹿正直に答えなくていいのに)」


盗賊「真実の鏡……大層な名前ね」


赤魔「かっけー!」


戦士「何処かで必要になるかもな」


エルフ「はいはいフラグフラグ……」
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/12(土) 22:47:02.78 ID:WboWBQuVO

・・・
【異形の島・フロンティアライン】


商人「ここが異形の島の地図最奥です。ここから先は冒険者がまだ入っていないということになっています」


赤魔「なんでこれより奥に行かねえんだろうとは思ってたけど納得だぜ」


<<ドロドロ……


盗賊「ここを越えていくにはあの銀色のヘドロを倒さないと無理ね。見事に道を塞いでやがる」


戦士「回避しようにも左右は急崖だからな、どうしても無防備なところを狙われる」


エルフ「逆に言えば、こいつを倒せば奥にある未知のお高いアイテムに出会えると……」


戦士「あれに勝てる算段がつかないが……」


盗賊「……! オブジェの上に転移石があるわね」


赤魔「どれどれ……うへ、あのヘドロに完全に覆われてるじゃん」


商人「あそこに到達するのは大変そうですね……」



転移石<<ズブズブ……



エルフ「ちょうど魔物が転移してきたみたいだよ。こっち来ないといいけど……」
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/12(土) 22:50:26.75 ID:WboWBQuVO

ハンニャレプタイル<<ズブズブ……ボタッ


ジュプゥゥ……


赤魔「うおっ? 魔物がヘドロに食われてぞ……」


エルフ「助けようとか考えないでよ?」


戦士「そこまで無差別でもないって」


商人「エルフさん、強さを測ってみましょう」


エルフ「やれやれ、見たいような、見たくないような」スッ


ステータス解析マシン<<カシャッ……ピピッ……ピロンッ


エルフ「どれどれ……」


・悪食粘獣
HP:9999
こうげき:1000
まほう:0
ぼうぎょ:9999
すばやさ:100



悪食粘獣<<ドロドロ……


エルフ「ううん……?」


戦士「なんだこのふざけたステータスは?」


商人「どうも正攻法じゃ無理みたいですね……」
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/12(土) 22:51:48.91 ID:WboWBQuVO

盗賊「おそらく隙はある」


赤魔「えー、ほんとかよ?」


盗賊「転移石から出てきただろう魔物が実際にダンジョンの中にいるならあのヘドロが転移石から離れる瞬間があるはずだ」


エルフ「他の場所にも黒石がある可能性は?」


盗賊「それもあり得るが……しかし新種魔物の移動方向を見るにあのヘドロから生存してる確率が大きい」


戦士「暫く観察してみるか」


商人「帰りはどうしましょう……」


エルフ「結構な数の魔物が出てきてるから割と時間はかからないかも。……まあ、日没前に小島まで戻りたいからあまり時間はないけど」


赤魔「夜に寝てるとかだったらどうしようもねえな……」


戦士「祈るしかないな」
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/12(土) 22:55:39.48 ID:WboWBQuVO

・・・

悪食粘獣<<ズズズズズズ……



戦士「オブジェの中に入って行ったぞ……」


エルフ「これは隙だらけなのかな? ちょっと怖いね」


盗賊「……私が行く。おそらく私なら不意打ちでも回避できるはずだ」


赤魔「おいおい……!」


盗賊「大丈夫だ。無茶はしない」


戦士「俺も行く」


盗賊「気持ちだけ受け取っておく。鈍足は足手まといだ」


戦士「……」しょぼん…


エルフ「へっ」


商人「き、気を付けてくださいね……」


エルフ「(というか、今ならダンジョンの奥に進めんじゃない? ……ヘドロの引きこもりが頻繁に起きるならこいつを避けるのはそこまで問題にならないはず……奥にもっとヤバいのがいるのかな)」
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/12(土) 22:56:43.29 ID:WboWBQuVO


転移石<<ブブブブ……


盗賊「……」


盗賊の『加速蹴り』!


転移石には効果がないようだ……



エルフ「やっぱり物理的な攻撃じゃ壊せないみたいだね」


商人「それで飛竜も転移石自体は放置していたんですね」


戦士「やはりこの転移石も壊しておくべきだろう」


エルフ「そう? 放置してたらアイテムの価格が更に高くなっていいんじゃない?」


赤魔「それだけこのダンジョンが更に危険になるってことだろ?」


エルフ「リスクをとる代わりに儲ける仕事なんだからそれくらい仕方ないじゃん」


戦士「……まあ、俺に壊せない上に危険な以上は無理強いはできない」


商人「戦士さんにもそういう分別があったんですねー」


戦士「お前は俺をどんな人間だと思ってるんだ……」
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/12(土) 22:58:36.12 ID:WboWBQuVO


盗賊「すまない、待たせた」


戦士「何か手がかりは?」


盗賊「……転移石に名前が刻まれていた。私が追っている奴の名前だった」


赤魔「……そうか」


エルフ「そいつはなんでダンジョンに転移石を設置してんの?」


盗賊「……分からない。ただそいつはおそらく多くのものにとって望ましくないことをするだろう」


戦士「盗賊がその人物を追っている理由は……」


盗賊「正義のためとかじゃない。復讐だよ」


エルフ「血生臭い話? 見つけ出してコロコロするぜ的なノリ?」


盗賊「……そうね」


赤魔「むう……」


234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/12(土) 23:01:33.65 ID:WboWBQuVO


悪食粘獣<<ズズズ……


戦士「おっと」


商人「わわ、また出てきちゃいましたね」



悪食粘獣<<ボコボコボコボコ……!



エルフ「ちょいちょい……どんどん膨張してるんだけど……!」


赤魔「……なあ、この辺りに草が生えてないのって、そこまでがこいつの生息域だったりしないよな?」


盗賊「……いや、岩山地帯は生物がいたから違うだろう。だがこの辺りは……」



悪食粘獣<<ーーーードッバァァッッ……!



エルフ「に、逃げろー!」



エルフたちは逃げ出した!



to be continued...

>>236コンマ2桁
ゾロ目:バトル・メイドロイド
ゾロ目以外:通常進行
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/12(土) 23:03:40.56 ID:WboWBQuVO


○戦士メモ

・悪食粘獣:巨大で不定形な銀色の魔物だ。普通の攻撃では倒せないため、何かしら工夫が必要だろう。



○エルフメモ

・ステータス:しかしこの数値ってどれだけアテになるんだろう? このステータスは今の強さを表すだけで時間と共に変わっていくと思うんだよね。あと多分特殊な能力とかが測れてないんじゃないかな。何にせよ参考程度だよね。

・復讐:そんなことしてる暇があったらお金を稼いでゼイタクしたい。



○商人の鑑定

・真実の鏡:売値は貴重なため付けられません。悪意ある幻を打ち消し、真実を人にもたらします。ところで、その鏡が定義する真実と僕たちの信じる真実が食い違ったとき、それは本当に私たちにとっての真実になり得るのでしょうか。
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/12(土) 23:50:28.93 ID:Llo3JZqqO
ほい
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 00:51:11.65 ID:B/PStSVk0
ぞろ目の展開気になる(´・ω・`)
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 09:51:52.05 ID:fOFy/gLjo
そのままバトル展開だと確実に負けイベントっぽそう
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/13(日) 12:19:29.37 ID:liAPTBDy0
>>131
鏡が必要になりそうなダンジョン
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 12:25:48.82 ID:Ashw4SsBO
まあ街だろ
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 13:28:49.89 ID:6lLjpqMA0
>>239
荒れるからsageろよ
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 15:26:16.88 ID:iSsEKLf1O
ただ戦士にはまだ痛い目に見てもらわないとな余りにも甘すぎる心では思ってても行動出来ない位のトラウマ受け付けないと
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 17:23:49.56 ID:PbKt6SB4O
>>241
sage厨が荒らしてる自覚持とうなw
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 17:45:25.95 ID:GQXhHK9yo
>>243
俺もだけどいちいちそういうのに反応するから荒れるんだよ
つまりお前が荒らしてるも同然
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 19:30:48.38 ID:Yra3CovBO
無限ループかな?
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 21:01:17.41 ID:Gf0seSxgO
面白い
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 21:31:35.85 ID:bPSk5Nbm0
世界樹みたいで面白い
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:10:08.30 ID:WqzGoYryO
・・・
【翌日・帰還船内】



戦士「今回の帰還者も俺たちを除いて僅か数名か……」


商人「そろそろ噂になってるかもですね」


エルフ「この調子だと生存率が下に変動しそうだね」



赤魔「あの銀色のヘドロさえいなけりゃ転移石を壊してやっても良かったんだけどな。そうすりゃ強い魔物も出てこねえだろうし」


盗賊「場所は分かってるんだ。何とでもなるだろう」


エルフ「このダンジョンは暫くいいや。他の冒険者に襲われたり散々だったしぃ」


戦士「……あいつらは結局ダメだったようだな」


商人「自業自得ですよ」


戦士「……あいつらも生きる為に仕方なくやってたのかもしれない」


エルフ「知らん知らん。そんなこと言い始めたらキリがないし後味が悪い」


戦士「そうか……そうだな」
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:14:08.53 ID:WqzGoYryO

赤魔「そういや、エルフ。勝負は俺の勝ちだな!」


エルフ「何の話かな」


赤魔「ダンジョンに来る前に勝負しようって話しただろうが! より高いアイテムを手に入れた方が負けた方の言いなりになるって約束でよ!」


エルフ「ああ、そういえば……どうして君たちの勝ちになるのかな?」


赤魔「こっちには『真実の鏡』がある! 値段がつけられないほど貴重なアイテムなんだから俺たちの勝ちだ!」


エルフ「おいおい、値段がついてないってことは0Gに等しいだろ?」


赤魔「はあ!? むしろ∞Gだろ!」


エルフ「私たちは実数値の中で争ってるつもりなのにプライスレスだから価値とか言われてもねぇ……」


赤魔「んな……」


エルフ「というわけで、やっぱり私たちの勝ちでしょ?」


赤魔「いや待てよ! 俺たちのは貴重アイテムなんだぞ!?値段もつけられないほど貴重なんだ! やっぱり私たちの勝ちだ!」


エルフ「駄々をこねないの」


赤魔「なんで私が間違ってるみたいに言うんだよ! そもそも実数値だけなんて条件付いてなかったろ!」


エルフ「いや、そこは暗黙裡にさぁ……」
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:16:25.30 ID:WqzGoYryO


戦士「引き分けでいいだろ、もう。実際に価値はあっちの方が上のようだしな」


エルフ「むむむ……」


盗賊「死体から取ったものだからあまり威張れたもんじゃないだろ」


赤魔「うぐぐ……」


商人「仲良くグランドホテルのレストランで食事しましょう! 戦士さんの奢りで!」


戦士「それ本気だったのかよ!?」


エルフ「ごちそーさまでーす♪」


戦士「無理だっての!」


赤魔「あそこのパイ包みは貴族もうなるって聞いたぜ!」キラキラッ


戦士「いや、あの……」


盗賊「肉料理が楽しみね」


戦士「…………」



紹介状なしでは入店できませんでした
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:18:52.47 ID:WqzGoYryO

・・・
【大衆食堂】


エルフ「まさかお金があっても紹介状なしでは入れないとは……お高くとまりやがってぇ……」


戦士「俺は助かった……」


エルフ「ちっ、戦士がもっとコネを持ってたらなぁ……はぁー、エルフちゃん不幸で可愛そう」チュー…


戦士「さいですか」グビッ


エルフ「おらっ!」ズゴッ


戦士「頭突きはやめろ! 飲み物が溢れるだろ!」


盗賊「こいつらはいつもこうイチャついてるのか?」


商人「一緒に暮らしてるくらいですからね」


赤魔「んなっ! そ、そういうのってどうなんだよ……!」カァッ


盗賊「何赤くなってるのよ。可愛いわね」


エルフ「好き勝手言ってるけどイチャついてないからね! ふざけんな!」


戦士「俺のセリフだ……」


エルフ<<ズゴッ


戦士「無言の頭突きはやめろっての!」
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:22:43.59 ID:WqzGoYryO


エルフ「はーい! 戦士くんの説教会を始めまーす!」


戦士「もう説教はさんざんされたような……」


エルフ「まだまだ反省が足りないからダメですぅ!」


戦士「お前、もしかして酔ってないか?」


エルフ「はあっ? 酔ってないなんかないれすぅ!」



盗賊<<グビッ


盗賊「……しまったわね。これがエルフのジュースで私のサワーがそっちか」


赤魔「色が同じだから間違えたんだな」



エルフ「戦士のあほやろー!」ヒック


戦士「またメンドくさいやつが酔ったな……」


商人「お酒弱いんですね」


エルフ「戦士はもっと可愛いエルフちゃんを特別扱いしろこらー! 他のやつ守ってる暇があったら私を守れこらー! もっと私に構えこらー!」ヒック…


戦士「はいはい」


エルフ「なんだその生返事はー!」ズゴッ


戦士「なんでそんなに頭突きが好きなんだよ!」



ぎゃーぎゃー……!
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 22:25:27.38 ID:Ashw4SsBO
砂糖吐きそう
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:26:14.26 ID:WqzGoYryO


赤魔「酔っ払いの相手は大変だな」


商人「戦士さんは対処とか介抱とか慣れてそうですけどね」


盗賊「注文。テキーラダブルでストレートで」


<<か、かしこまりましたー


商人「そ、そんなに強いの呑んで大丈夫ですか? 」


赤魔「大丈夫だろ。こいつが酔ったところなんて見たことない」


盗賊「そこそこ飲める体質だ」


商人「うへぇ……あ、僕はお茶ください」


赤魔「一応成人済みだろ? 飲まないのか?」


商人「下戸なんですよ」


赤魔「あはは、見た目通りだな」


商人「ほっといてください……赤魔さんは?」


赤魔「俺は未成年だし」


商人「ああ、年下なんですね……」


255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:28:38.68 ID:WqzGoYryO


エルフ「……」すぴー


戦士「好き放題言うだけ言って眠りやがった」


盗賊「それだけお前の死に急ぐような様が心配なんだろう。少し自分の行動を省みることだな」


戦士「……まあ、な」


赤魔「盗賊だって自分勝手な行動しただろ。俺だって怒ってるんだからな!」


盗賊「悪かったわよ。ほら、唐揚げ食べていいわよ」


赤魔「いえーい♪」


商人「(赤魔さんは単純だなぁ……)」


赤魔「一緒にダンジョンから帰ってきてこうして食事の席を囲んだのも何かの縁だ。またダンジョン行くならする時は声をかけてくれよ」にっ


戦士「ああ。そっちも困ったり人手が必要な時は頼ってくれ」


盗賊「あまり群れるのは好きじゃないが……まあ、お前たちならある種の信頼は置けそうだ」


商人「お金が絡めば喜んで協力しますよ」


赤魔「これからよろしくな!」



赤魔と盗賊がチームエルフに加わった!



エルフ「勝手に話をすすめんなこのー……」むにゃむにゃ…
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:32:38.42 ID:WqzGoYryO

・・・
【戦士(とエルフ)の部屋】


エルフ「せんしー、お腹すいたー」ゴロゴロ…


戦士「一日中ごろごろしてお前は猫かよ……」


エルフ「えー、だって出歩く用事ないしー……私可愛いから悪いおじさんに攫われそうだしー」


戦士「……。ダンジョンにでも行ったらどうだ?」


エルフ「流さないでよ。だって戦士マネーで暮らしてるからお金に困ってないしねー」


戦士「あ、1000G返せよ。この前もなんだかんだだいぶ稼いだろ。取り敢えず500Gでいいからさ」


エルフ「……」もぞもぞ…


戦士「なんで布団の奥に潜った。おい」


エルフ「稼いだ大金……うっ、頭が……!」


戦士「おい、まさかお前……!」


エルフ「今度こそ巨乳の姉ちゃんをアヘアヘさせてやろうと思ってたんだけどなぁ……」


戦士「おま、おまえぇ……!」


エルフ「まあ、戦士が養ってくれるから問題ないよねっ」


戦士「ギャンブルやめろこのバカやろー!」
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/13(日) 22:35:05.08 ID:liAPTBDy0
そのカジノ店側がイカサマしてるだろ
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:35:09.11 ID:WqzGoYryO


戦士「なんなのお前……なんでそんなに金遣い荒いの……?」


エルフ「宵越しの銭は持たない主義なのさ」


戦士「ふっざけんな! 貯蓄の悦びを覚えやがれ!」


エルフ「戦士だって家族への仕送りや、周りにご飯をたかられたりして、そんなに蓄えがあるわけじゃないじゃん?」


戦士「だからだろうが! お前、いざという時大丈夫かよ……」


エルフ「エルフちゃん可愛いから何とでもなるよ!」


戦士「幸せになれんぞお前……」


エルフ「まあ、この前までの生活費と今月分までの生活費は払ったし、いいじゃん? 今回は新しい借金も作らなかったし?」


戦士「お前……はあ、俺だって今は金がないん……やべっ」


エルフ「は? なんで?」


戦士「…………」


エルフ「うん、取り敢えず言ってみようか?」

259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/13(日) 22:37:50.54 ID:liAPTBDy0
新しい装備でも買ったか?
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:43:11.61 ID:BV/FX+53O


戦士「いや、困ってるやつがいたらさ、助けざるを得ないだろ」


エルフ「はー、ほんとバカだね! お金がもったいない!」


戦士「うるせー! ギャンブルよりはマシだろうが!」


エルフ「そいつが詐欺師だったら増長させるだけでしょ! ギャンブルより最悪じゃん!」


戦士「うぐ……いや、どうせ胴元だってロクなところと繋がりがないからそっちのがよくない!」


エルフ「はあ!?」


戦士「なんだよ!」



エルフ「…………」


戦士「…………」


エルフ「この虚しい言い合いはやめようか」


戦士「そうだな……」
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:44:58.42 ID:BV/FX+53O


エルフ「誰にいくら貸したかとかちゃんとメモしてる?」


戦士「……してない」


エルフ「君さぁ……そう言うの相手のためにもならないと思うよ? 返すものは返すという規律付けがない世の中はダメだよ」


戦士「それをお前が言うかぁ……?」


エルフ「何より私だけ催促されるのもムカつく!」


戦士「本音はそれかい」


エルフ「はあ……君はカタギの仕事は向いてないね。連帯保証人とかになっちゃダメだよ? あと家計簿もつけた方がいいよ?」


戦士「お前に言われても説得力がないぞ……」


エルフ「客観的な意見だから説得力しかないよ」


戦士「いやそれは……まあ、いい」


エルフ「君それ好きだよねー」
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:47:33.02 ID:BV/FX+53O


戦士「しかし商人に金銭管理を任せた方がいいんじゃないか俺たち……」


エルフ「お小遣い制なんていやだ! 私は自由にお金を使いたいんだ!」


戦士「でも使い方がヘタ過ぎないかお互い。俺はさすがに無い袖は振らないしお前だって余裕がなきゃギャンブルしないだろ……少なくとも今はまだ」


エルフ「じゃあ戦士だけそうすればいいじゃん」


戦士「そうすっかなマジで……いや待て。お前も自分の金で住むだけの貯金を貯めろよ」


エルフ「えー、いいよ。どうせ一人暮らししてもまたすぐに追い出されて戦士のお世話になるし」


戦士「次はねえよ!」


エルフ「あはは、戦士はいかにそう言っても私が困ったら助けるもん」


戦士「おま……」


エルフ「助けるでしょ?」


戦士「ぐっ……なんてヤツだ……!」


エルフ「あはは、こういうのを動学的不整合っていうんだってさ」


戦士「知るかぁ!」
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:55:22.46 ID:BV/FX+53O


戦士「今回はかなりの稼ぎだったのにな……」


エルフ「あはは、私たちがその気になればお金稼ぎなんて楽勝だよ」


戦士「んなことはねえだろ……またダンジョンにでも潜るか……」


エルフ「あ、そうそう。実りの良さそうな話を例のパイオツーがカーデーのチャンネーから聞いたよ」


戦士「普通に喋ろ普通に」


エルフ「君の好きな人助けさ」


戦士「……何だよ」


エルフ「今度武装集団の制圧をするんだってよ」


戦士「武装集団……?」



エルフ「過激派の少数民族をコロコロするんだよ」



to be continued...
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:59:04.27 ID:BV/FX+53O

○戦士メモ

・紹介状:グランドホテルのレストランが高級店なのは知っていたが、まさか紹介状が必要だとは思いも寄らなかった。代金の請求が後日になるため信用がある者しか入店させないらしい。つくづく庶民とは縁遠い。

・テキーラダブル:俺が飲むと2杯で吐く。

・少数民族:人間の民族よりも亜人を指す場合が多い。獣人やエルフなどが代表的か。多数派(人間)とは対立や迫害などが生じており問題は絶えない。


○エルフメモ

・飲酒:お酒は成人してからにしよう! ギャンブル? ……ふっ

・動学的不整合:商人がドヤ顔で言ってた。インスタンティーニアスとインターテンポラルでストラテジーが〜、とか、イクスアンテとイクスポストでオプティマリティが〜とか言ってた。商人は横文字を使いたがる病気にかかっているんだ!
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 04:59:47.83 ID:f6JuMTbn0
赤魔女だったんか……百合か
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 07:55:46.77 ID:qEmW+5Ueo
俺って言ったり私って言ったり口調が安定してないから難しい
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 08:52:53.40 ID:68lZArvEO
赤魔女の子って明示されてたっけ。
女の子の方が萌えるけど。
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 09:12:27.38 ID:0mz8xLyZO
>>254
テキーラダブルと注文したら普通ストレートなのに大人ぶる赤魔かわいい
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 09:20:09.73 ID:0mz8xLyZO
私は最初から赤魔は女と思ってたけどさssで仲間になるエルフで女以外いたためしがない気がする
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 09:32:11.92 ID:gxEWrhz9O
普通に書き間違いだろ
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 10:27:40.75 ID:Us0pEqIfo
いやもしかしたら素の一人称は私で、普段の俺呼びはキャラ作りかもしれない
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 13:45:53.55 ID:+jCGde+so
そういや服装とか描写されてないか
まあ読む奴に叙述トリック仕掛けてる訳ではなさそうだし単に書き間違いだろ
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 20:53:49.09 ID:HC5J4K7zO

・・・
【カフェ】


盗賊「武装した少数民族の討伐?」


エルフ「そうそう。3日後に北方の貴族様が傭兵使ってやるんだって。義憤らしいよ、ぎふーん」


商人「あー、もしかしてこの前の自爆テロですか?」


エルフ「そうそう。それの首謀者グループが北方の獣人の村に匿われてるから潰しに行くんだってさ」


盗賊「そのテロの首謀者が亜人という確証はなんだ? 本当に北方の村を占領をしたのか? そもそも武装しているというのすら本当なのか?」


エルフ「お? ぐいぐい来るね?」


商人「え、ええと、これはあくまで一般論で、エルフさんや赤魔さんへの悪意があるわけではありませんが、人間は亜人が怖いんですよ。怖いから嫌いなんです」


エルフ「嫌いなものを潰すのに確かな証拠はいらないよね。正当っぽい理由があればオッケー」


商人「都合のいいことは精査しないというのは、人間の悪癖ですね……」


赤魔「バカばっかりだ!」


戦士「……そうだな」


盗賊「いずれにせよ、そんな馬鹿らしいことには付き合わないわ」


エルフ「ウェイウェイ、話を最後まで聞いておくれよ。私たちは討伐じゃなくて救出をするんだよ」
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 20:57:16.58 ID:HC5J4K7zO

盗賊「……どういうことだ?」


エルフ「賭場のディーラーのお姉ちゃんが亜人らしくてね……人間にしか見えないんだけど……それで獣人たちを逃して欲しいんだってさ。村人たちは本当は何も悪いことをしてないからさ」


盗賊「……はあ?」


戦士「本当かどうか分からんが、それなりの報酬が出るし、事実だったら良いことだろう?」


赤魔「なるほど! それなら俺も協力するぜ!」


商人「やるなら、こっそりとやらないとマズイですよ……変に目をつけられちゃいます……」


エルフ「だからこうして人の少ないカフェの奥で話してるんじゃん」


赤魔「……お前ってもっときっちりしたヤツかと思ってたんだけどな」


戦士「こいつは結構適当なんだよ」


エルフ「うるさいよっ」


商人「ちなみに幾らの仕事なんです?」


エルフ「報酬は全員で2000Gだってさ」


商人「尚更怪しいんですけど……」


275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:00:29.58 ID:HC5J4K7zO

盗賊「話を戻させてくれ。腑に落ちないんだが、同じ亜人だからとそこまで肩入れするか? それに何故どうしてその村の住民が無実だと言い切れる?」


エルフ「裏稼業で諜報の仕事してるらしいよ。あ、これ秘密だった。まあ、とにかくそんな感じ」


赤魔「なんかカッコいいな!」


盗賊「どうしてそんな胡散臭いヤツの胡散臭い危険な話を呑んだのか理解に苦しむわね」


エルフ「危ないといえば危ない仕事だしねぇ……あれ、確かに怪しさしかない。なんでこんな乗り気になっちゃったんだろ……」


商人「それが天才的イカサマ師の所以なのでは? おだて上手なんじゃないですかね」


戦士「エルフ、やっぱりお前はギャンブル向いてないぞ。もうやめろ」


エルフ「むむむ……」


エルフ「(ほんとは依頼を受けたら報酬とは別に次の賭けで絶対に勝たせてくれるって約束したからだよ)」
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:02:51.01 ID:HC5J4K7zO

盗賊「……まあ、色々言ったけれど確かに気にはなるな。分かった、協力しよう」


エルフ「お、意外。黒チビを抱き込んでなし崩しにするつもりだったんだけどね」


赤魔「だから黒チビいうな!」


盗賊「私たちはもちろん慈善事業はやらないが、お金が全てというわけでもないんでね。報酬が出て興味があれば承諾するわ」


エルフ「どこが君の琴線に触れたのかよく分からないけど助かるよ。よろしく」


赤魔「俺は最初から加担する前提なのかよ……」


戦士「赤魔に協力してもらえるなら助かるさ。よろしく頼む」


赤魔「お、そ、そうか?」テレッ


エルフ<<げしっ


戦士「いてっ」


盗賊「……」


戦士「……」ゾッ


赤魔「……? どうしたんだ?」


戦士「い、いや……」


商人「はは……」
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:04:09.90 ID:HC5J4K7zO


エルフ「じゃあ5人で行くってことで」


商人「あれ? 僕も入ってます?」


赤魔「ん? 行かないのか?」


商人「いやぁ、必要ないかと。鑑定も必要ないでしょうしね」


戦士「てっきり来てくれるものだと思ったんだがな」


商人「ええと……」


盗賊「このメンバーだ。常識人が欲しい」


エルフ「まるで常識がないみたいに言うのやめてくんない?」


赤魔「そーだそーだ!」


戦士「……」


盗賊「こいつらよ?」


商人「……わ、分かりました。僕も行きます」


エルフ「心外だ!」


赤魔「そーだそーだ!」


戦士「まあまあ、落ち着け」

278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:07:27.89 ID:HC5J4K7zO

・・・
【翌日・獣人の村の途中にて宿泊中】


エルフ「行程はすこぶる順調。明日には予定通り着くね」


戦士「歩き通すのも疲れるよな。もっと楽に移動できればいいが」


商人「陸路で平地ですし御者を雇って馬をレンタルできれば良かったですね。今回は急過ぎて御者の都合がつきませんでしたけど」


盗賊「馬の扱いは心得てるから言ってくれれば良かったのに」


商人「あ、そうだったんですね……」


赤魔「ふふん! 俺の盗賊は頼りになるだろ!」どやぁっ


盗賊「私のことでイキるやめてくれない? あと私はアンタのものじゃないから」


赤魔「あはは!」


盗賊「〜〜」



エルフ「仲良しだねぇ……」
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:09:38.73 ID:HC5J4K7zO


エルフ「はいはい、作戦の復習をします。黒チビ、説明して」


赤魔「黒チビいうな! ええと……村の人が本当に悪者だったら倒す!」


エルフ「うん、それは特殊なケースだよね。戦士、悪者じゃない時は?」


戦士「村人を説得して山岳地帯を越えてドワーフの里まで避難させる。……傭兵たちが追いかけて来るんじゃないか?」


商人「ドワーフの里はかなりの税収源ですからね、気性が荒い彼らをあまり刺激したくないから流石に傭兵を引き込めるでしょう。義憤だなんだと名目上は言ってますけど、実際は世論に押されて仕方ない出兵のようですし」


エルフ「悪いやつほど合理的♪」


商人「説得に使えそうな小道具を作ってみました。爆破テロに関する新聞の切り抜きと亜人の村制圧の為の傭兵募集の偽造ポスターです」


赤魔「それ偽造なのかよ!? それっていいのかぁ……?」


商人「嘘も方便ですからね。結果的に助かったらいいじゃないですか」


戦士「(悪いやつほど合理的……)」
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:14:45.95 ID:HC5J4K7zO

エルフ「これでバッチリだね」


盗賊「これが何らかの裏工作で私たちが何かの濡れ衣を着せられそうになった場合は?」


エルフ「……そ、そんなケースはあり得ないから」


戦士「おいおい」


エルフ「そ、その時は真犯人を吊し上げる!」


商人「う、うーん……あはは……」


盗賊「……まあ、そういうケースを未然に防ぐために私がいるんだ」


戦士「頼りにしてるぞ」


赤魔「盗賊がいれば何の心配もないな!」


エルフ「じゃあ言及しなくても良かったじゃん……」むすっ
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:18:03.06 ID:HC5J4K7zO


エルフ「あとは自由時間で。まあ、この村も大して何もないけどねー」


商人「ああ、宿の部屋だが2人部屋と3人部屋が運良く空いてましたよ」


エルフ「お、ぴったりだね」


戦士「盗賊とエルフはゆったり使ってくれ。商人と赤魔は狭いけどガマンしろよ」


赤魔「おう。……おう?」


盗賊「フリーズ」


戦士「ん?」


盗賊「私と赤魔とエルフが三人部屋だろ?」


戦士「えっ?」


エルフ「……こいつ、マジか」


商人「あはは……」


赤魔「あー、ずっと勘違いされてたか……」
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:20:54.39 ID:HC5J4K7zO


戦士「……すまん、女だったのか」


エルフ「さいてー」


赤魔「いいよ。人間からしたらエルフ族は男女の区別がつきづらいんだろ? 俺も男らしく振る舞うようにしてるしな」ふんすっ


商人「(まあ、でも何となく気づきますよね。たまに素が出てますし)」


戦士「じゃあ、商人と俺で2人部屋を使わせてもらおう。悪いな」


盗賊「……商人って男でいいのよね?」


エルフ「わりと女顔だよね。近所の年上のお姉さんに食べられてそう」


戦士「えっ、商人も女だったのか……? 部屋の取り方間違えたな……」


商人「僕は男ですよ! あと変な憶測しないでください!」


エルフ「そーりー」


戦士「なんだ、よかった」


商人「まあ、戦士さん的には僕も女だった方が嬉しそうですけどね」


戦士「いや、男一人だけとか肩身狭いだろ」


商人「……まあ、実際はそうですよね」
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:22:21.00 ID:HC5J4K7zO

【翌日・獣人の村外れの川辺にて】


商人「盗賊さん、大丈夫ですかね?」


戦士「大丈夫だろう。決めた時間まで まだあるしまだ偵察してるんだろう。盗賊は慎重派だろうしな」


商人「いやぁ、でも異形の島の時は単独で……」


戦士「ま、まあ……そう何度も独断行動を取らないだろ。俺じゃあるまいし」


商人「戦士さんも慎んでください」


戦士「善処するさ」


商人「もう……」
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:24:55.03 ID:HC5J4K7zO


赤魔「エルフ、そこだ! つかまえろ!」バシャッ


エルフ「おらっ! あっ、この! 大人しく昼ごはんになれ……!」


赤魔「へたくそー!」


エルフ「うっさい! ……喰らえ! 『爆杖殴打』!」カッ


ボゴォォォ……ッッ!!


赤魔「ふぎゃぁぁっ!?」バシャシャ……ッッ


魚<<プカァ……


エルフ「最初からこれでよかったね」ふんすっ


赤魔「ば、ばかやろー! いたいだろーが!」


エルフ「めんご。てへぺろ」


赤魔「……『地震剣』!」


エルフ「ちょっ……」ぐらぐらっ


エルフ<<ぼちゃんっ


エルフ「ぶはっ……おいごらぁっ! 鼻に水入ったろうがぁ!」じゃぷっ


赤魔「へっ!」

285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:28:02.26 ID:HC5J4K7zO



エルフ「……やっぱり私たちは相容れぬ種族のようだね!」ゴゴゴ…


赤魔「 俺もそう思ってたところだ……!」ゴゴゴ…




白と黒ーー決して交わらぬ者たちの熾烈な戦いが今ーー!!





盗賊「村が近いんだから不用意に暴れるな」ゴスッ、ゴツンッ


エルフ「あがっ!」

赤魔「あう…っ!」





戦士「始まらないのか」


商人「始まっても困りますよ……」




286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:32:05.88 ID:HC5J4K7zO


盗賊「戻った」


エルフ・赤魔「……」ぐすぐすっ…


戦士「お、おう」


商人「(このパーティのカースト頂点は盗賊さんですね……)」



戦士「様子はどうだった?」


盗賊「平和な村落といったところだな。見張りもなければ、内部にも武装してる者はいなかった。村人たちも農作業するか軒先で歓談してるかといったところよ」


商人「じゃあ、やっぱりこの村がテロの首謀者グループを匿ってるというのは嘘なんでしょうか」


盗賊「完全に、とは断定できないけれど、あれだけ牧歌的な雰囲気だとやはりそうした血生臭いことはなさそうね」


戦士「それならさっさと避難してもらおう」


商人「交渉事は任せてください!」


盗賊「口八丁手八丁に頼む」


エルフ・赤魔「……」しくしく…


盗賊「いつまで泣いてるの? 早く行くぞ」


エルフ・赤魔「はい……」ぐすっ



戦士・商人「(彼女は怒らせないようにしよう)」



to be continued...
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:39:03.02 ID:HC5J4K7zO

○戦士メモ

・カフェ:最も平易な『魔物の洞穴』でコーヒー豆が取れるため、安価な値段でコーヒーを楽しむことができる。コーヒーは好物のためそれなりの頻度で行く。エルフはいつも苦くてまずいと言いながらついて来るが、本当はあいつもコーヒーが好きなのだろうか。

・獣人の村:北方に位置する獣人族の小さい村。ダンジョンから離れた内陸の村は経済発展から取り残されており格差はますます広がっていくだろう。こうして少数民族と多数派の格差は名目的にも実質的にも広がって行く……と商人が言っていた。穏やかな生活はそれ自体が貴重なものだと俺は思うのだが。

・ドワーフの里:更に北方の山間地帯に位置する大規模な里。ドワーフ族は金属の精錬に優れており、この国の鉄鉱生産の半分はこの里によるものだ。



○エルフメモ

・ディーラーのお姉さん:何を食べたらそんなに胸部が膨らむのかナゾ。むっつりスケベな戦士にはとても会わせられないね。

・義憤:ぎふーん

・コーヒー:砂糖とミルクを入れなきゃ飲めたもんじゃない。何も入れずに飲む戦士はきっと舌がバカなんだ。

・爆発漁法:とても効率がいいよ。生態系の破壊? 知るか! 私が生態系だ!

・ゲンコツ:盗賊は悪魔か何かに違いない。鬼! 悪魔! ばーか! ……このメモは見られないようにしなきゃ。
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 22:04:06.91 ID:f6JuMTbn0
女子率高い(´・ω・`)
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 23:20:55.80 ID:gxEWrhz9O
エルフに愛着湧いてきた
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/15(火) 17:54:04.67 ID:RvD8JZuCO
面白い
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 22:36:48.19 ID:FrmO2CHOO
・・・
【獣人の村にて交渉中】


商人「それでは女性と子ども、一部の男性は僕たち方の子女と同伴して山稜地帯へ向かい、僕ともう一人が村で傭兵が本当に来るのか監視して、敵影を確認しだい山稜に逃走。敵影が明日中に現れなければ慰謝料として200Gと戦士さんが1日労働ということでよろしいですね」


<<ええ、それで手を打ちましょう

<<俺たちは何もしてないのに襲撃して来るってほんとかよ……

<<でも、この人たちの条件じゃ私たちを騙してもどうしようもないんじゃ……

<<人攫いにしても、流石にこんな回りくて大逸れたことしないだろうしな……


商人「僕たちは心優しい街の亜人の依頼でこうして皆さんをお助けしようと思ってるのです。失敗した時のお金は100Gを前金として預けておきます。何もなければそのまま貰ってください」


<<まあ、明日になってみれば分かるか……金も貰ったし、ちょうど農閑期だし畑の心配もないだろ

<<ほんとだったら、どうしましょう。作物はまだしも家畜が強奪されたら生きていけないわ……


商人「んー、大事なんでしょうけど家畜はどうしようもありませんね。せめて明日になったら村から離れた場所に隠しておくくらいしか手立てがありません」


エルフ「どうしてこんなデカいペットを飼おうと思ったんだか」


盗賊「家畜はペットとは違うぞ」


赤魔「エルフってわりと常識知らずなのか?」


エルフ「し、知ってたし……エルフちゃんジョークだし……」


戦士「(俺のタダ働きがいつの間にか条件に加えられてる……まあ、いいか)」
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 22:39:51.50 ID:FrmO2CHOO



エルフ「交渉、お疲れさん」


商人「ありがとうございます。それではさっそく別れましょう。先の通り僕と戦士さんは村に残ります」


盗賊「私が残って伝令役をした方が良さそうだが」


商人「まあ、そうなんですけど……多分村の女性や子どもたちが僕や戦士さんと行動すると交渉が揉めると思ったので」


盗賊「実際は差がないと思うが……まあ、心理的にその方が安心するか。仕方ないわね」


商人「そういうことです。それでは山稜地帯の方はお任せします。途中の山小屋は環境は悪いですけど、おそらく横になって寝れるそうなので」


エルフ「そっちはお布団でちゃんと寝れるのにねぇ」


商人「す、すみません……」


赤魔「商人は頑張って説得してくれたんだぞ。そんなこと言うなよ」


エルフ「けっ……いい子いい子しちゃって」


赤魔「んなっ」


盗賊「……」ゴリリッ


エルフ・赤魔「ひっ……」
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 22:41:10.51 ID:FrmO2CHOO


戦士「エルフ、しっかりやれよ」


エルフ「そっちこそ精々死なないように」


戦士「赤魔もよろしくな」


赤魔「おう! 任せとけ!」にっ


戦士「盗賊、二人をよろしく頼む。世話をかけるな……」


盗賊「そういう役回りだもの」


エルフ・赤魔「ぐぬぬ……」


盗賊「なに?」


エルフ・赤魔「な、なんでもー」ぷいっ


商人「(似た者同士ですよねぇ……)」
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 22:42:23.22 ID:FrmO2CHOO

【山稜地帯・盗賊グループ】


<<ぐーちょきぱーでなにつくろー♪


赤魔「みぎてがぐーで♪ ひだりてもぐーで♪ ゆきだーるまー♪ ゆきだーるまー♪」


<<おねーちゃん、つぎつぎー♪


赤魔「そうだなー!」


<<ぱーんち!


赤魔「うわっ!? こらっ! いたいだろ!」


<<やーい!


赤魔「こんにゃろー!」ガシッ


<<わぁぁあっ


きゃっきゃっ……



エルフ「(めっちゃちびっ子に懐かれてる……)」
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 22:46:04.88 ID:FrmO2CHOO


エルフ「(ま、赤魔も子どもだからね)」ふっ


<<おねーちゃん魔法使い!?


エルフ「ん? まあねー」


<<どうせヘッポコなんだろ!


エルフ「あーん? 『氷点零』」


<<うわ、涼しい!?

<<すげー!


エルフ「まあ、それほどでもあるね」どやっ


<<もっと見せてよ!

<<魔法はじめて見た!

<<魔法おしえてよシショー!


シショー! シショー!


エルフ「まあ、そこまで言うなら? 特別に? 伝授しないことも?」ふふん



赤魔「(仲良くやってるなー。精神年齢が近いんだろうな)」
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/15(火) 22:46:29.01 ID:bdRTNWJro
ぐーちょきぱーとか懐かしすぎる
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 22:49:37.52 ID:FrmO2CHOO

盗賊「(赤魔かわいい赤魔かわいい赤魔かわいい赤魔かわいい赤魔かわいい赤魔かわいい赤魔かわいい赤魔かわいい)」


<<はぁはぁ……


盗賊「……ご婦人、大丈夫か?」


<<いや、老人にはこたえる……足がだいぶ悪くなってしもうた……


盗賊の『回復魔法』!


<<お、おお……!


盗賊「無理は良くないわね。私が背負おう」


<<い、いや、しかし……


盗賊「問題ないわ。特別製なんでね」


<<す、すまんのう……もしかして亜人さんかい? 人間に見えるけども……


盗賊「……そうね」



盗賊たちは山小屋まで移動した!
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 22:52:39.24 ID:FrmO2CHOO

【獣人の村・高台にて哨戒中】



戦士「……」


商人「お疲れ様です。見張り代わります」


戦士「ん、もう時間か」


商人「はい。ヘトヘトでしたけど、仮眠が取れて大分楽になりました」


戦士「歩き疲れたもんな。エルフたちは立て続けに山登りだから体調を崩してたりしてないといいが……あいつらタフだし大丈夫か」


商人「パワフルな人たちですよね、ほんと」


戦士「あいつらの前じゃ言えないけどな」


商人「ボコボコにされちゃいますもんねー」


わははは……
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 22:55:30.48 ID:FrmO2CHOO


商人「あ、夕ご飯もらってきましたよ」


戦士「お、本当か。いい奴らだな」


商人「まあ、流石にまだ不審がられてますけどね。かなり動揺しているようです」


戦士「仕方ないさ」



商人「……」


戦士「……」


商人「……戻って休まないんですか?」


戦士「なあ、商人」


商人「改まってどうしたんです?」


戦士「俺の信念は間違ってるのか?」


商人「へっ?」
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 22:58:56.69 ID:FrmO2CHOO


戦士「手を伸ばせば守れるものがいる。それを守ろうとするのは間違っていることか?」


商人「はあ……」


戦士「目の前で苦しんでる人間を助けるのは偽善なんだろうか。俺は間違ったことをしているんだろうか」


商人「そんなことはないんじゃないですか? ついこの前もこんな話しましたねー」


戦士「お前が一番冷静で客観的な意見をくれると思う。だから答えて欲しいんだ」


商人「買いかぶりだと思いますけど……そうですねぇ……」


戦士「俺の知らないところで哀しんでる人や苦しんでる人がいる。それを思うととても辛い。だから、せめて行動して目の前にいる困っている誰かを助けたい。少しでも良い世界にしたいと思う。そういう理想を持つのは間違っているのか?」


商人「んー……」


戦士「正直に言ってくれ」


商人「正直に……分かりました」



ビシッ



商人「思春期か!」
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