【デレマス(デレステ)】黒埼ちとせ「私の望みは――」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 00:10:55.14 ID:iNeaJ/HC0
ちとせ「あなたの望みは、なぁに?」

ちとせ「あなた、私が欲しいんでしょ?」

ちとせ「アイドル? ……あはっ、楽しそう」

ちとせ「いいけど、いくつか条件を守ってね。できる?」

ちとせ「ひとつは、私を退屈させないこと」

ちとせ「ふたつめ。私に嘘をつかないこーと」

ちとせ「みっつめは……なーに、その顔。もう待てないの?」

ちとせ「じゃあ、契約しよっか」

ちとせ「もう、後戻りはできないよ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1558883455
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 00:15:28.20 ID:iNeaJ/HC0
以前書いた
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1554736389/
(これはSS速報Rなので注意)と世界観を共有していますが、続編というわけではないので、特に読まなくても支障ありません。時々、上記リンクの作品におけるセリフとリンクすることがあります。
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 00:17:47.49 ID:iNeaJ/HC0
あ、ここに出てくるPはhttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1554736389/のPとは異なる人物です。
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 00:26:44.32 ID:iNeaJ/HC0
モバP(以下、「P表記」)「ちとせの人気も徐々に上がってきているな、よし」

ちとせ「徐々に、なの? 私としては、急激に人気が上昇したほうが楽しいかな♪」

P「何を言ってるんだ。新人にしてはこの人気の伸びはすごいほうだぞ。あまり高望みをするもんじゃない」

ちとせ「ふうん。ま、いいけど」

P「なんだ、退屈か?」

ちとせ「まさか。あなたのおかげで毎日が楽しいわよ」

ちとせ「もちろん、私の人気があなたの仕事のおかげだってことも――ね」

ちとせ「ねえ、もっと私を楽しませてくれる?」

P「ふっ、望むところだ。お前も、バテるんじゃないぞ」

ちとせ「それはどうかなー、ほら、私、体弱いし」

P「……そうだったな。無理は、するな」

ちとせ「もうっ、真剣な顔しちゃって。ちょっとからかっただけだってば。私は大丈夫だよ」

ちとせ「あなた、ちょっと可愛いところあるけど、やっぱり堅物がすぎるんじゃない?」

ちとせ「それも、お勉強のしすぎのせいかなー?」ナデナデ

P「くっ、やめろって。大人をからかうんじゃない」バッ

ちとせ「もう、いけず」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 00:36:22.39 ID:iNeaJ/HC0
P「だいたい30代半ばのおっさんが女子高生に撫でられてる画って、いろいろとだめだろ……」

ちとせ「そう? 私はキュートでファニーだと思うな」

P「俺がキュートでファニーになってどうする」

ちとせ「んー、私が喜ぶ?」

P「その需要は求めてない」

ちとせ「つまんないの」

P「つまんなくていい」

ちとせ「私が退屈しちゃってもいいの? 約束、忘れた?」

P「……忘れてなんかない」

P「退屈させない、嘘をつかない、そして――」

P「――あれ、3つ目って……」

ちとせ「はーい、ストップ。真面目にならない。別にあなたが約束を破るだなんて思ってないから」

ガチャ

千夜「お嬢様。ただいま戻りました」

ちとせ「あっ、私の可愛い僕ちゃんのおでまし」

ちとせ「おかえり、千夜ちゃん」

千夜「はい、お嬢様」

P「ちょうど良かった。千夜、ちとせを連れて帰ってくれ」

千夜「お前に言われなくてもそうするつもりです。さ、お嬢様」

ちとせ「えー、つまんないのー、私はもっとお話したかったのになー」

P「千夜が相手になってくれるだろう。俺には仕事が残っている。それじゃあな」

ちとせ「冷たいのね」

P「なんとでも言え」

千夜「お嬢様、こんなの放っておいてさっさと帰りましょう」

ちとせ「仕方ないなー、今日のところはあなたの言うことを聞いておいてあげる」

ちとせ「それじゃあねー」

バタン

P「……」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 00:44:10.85 ID:iNeaJ/HC0
ちとせの家


千夜「お嬢様。一つお伺いしたいことが」

ちとせ「なぁに? 千夜ちゃん」

千夜「お嬢様はなぜ――あの男、プロデューサーにあそこまでかかわろうとするのですか」

千夜「いつもお嬢様のことを煙たがっているように見えますし、あの男が仕事において有能なのは知っていますが、お嬢様のほうから絡もうとするのが私にはわかりません」

ちとせ「うーん、なんで、か」

ちとせ「やっぱ、可愛いから、かな♪」

千夜「か、可愛い……? あの男が、ですか?」

千夜「あまりお嬢様に楯突くような意見は述べたくありませんが、それはいかがなものかと……」

ちとせ「千夜ちゃんはあの人につんけんしすぎなのよ。私みたいに優しく、時に意地悪に接してあげれば、きっと可愛い一面を見せてくれるわ」

千夜「優しく、時に意地悪に……」

千夜「……」

千夜「……遠慮しておきます」

ちとせ「なんだ、つまんない」

千夜「つまらない僕で申し訳ありません、お嬢様」

ちとせ「って、謝らないの。本気で言ったわけじゃないわよ。そりゃあ、あの人にデレる千夜ちゃんが見れたらすっごく楽しいかもだけど!」

千夜「デレっ……って、やめてください。想像したくありません」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 00:46:04.54 ID:iNeaJ/HC0
千夜のちとせに対する呼び方が「お嬢様」ではなく「お嬢さま」らしいので、後者でいきます。
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 00:57:37.81 ID:iNeaJ/HC0
ちとせ「ねえ、千夜ちゃん。ワイン開けてくれる? 例のやつ」

千夜「はい。お嬢さま」

コトッ

キュ……ポンッ

トトトトト

千夜「どうぞ」

ちとせ「ありがと」

ちとせ「……うん、良い香り」スンスン

ちとせ「それじゃあ、一口」

ちとせ「……っ」

ちとせ「ふふっ、おいしい」

ちとせ「こんなもの飲んでるってあの人に知られたら、怒られちゃうかも♪ なんて」

千夜「……」

ちとせ「どうしたの? 千夜ちゃん。変な顔してるよ?」

千夜「いえ……お嬢さまはあの男の話ばかりするな、と」

千夜「っ! あ、その、別にそれが駄目だというわけではなくて――なんていうか、その……申し訳ありません。出すぎたことを」

ちとせ「別に気にしなくていいよ、千夜ちゃん」

ちとせ「なんで私があの人の話ばかりするのか、ね」

ちとせ「うーん……」

ちとせ「千夜ちゃんは、さ」

ちとせ「男の人に対して、何か特別な感情を抱いたってことは……ないの?」

千夜「ありません。私は物言う人形。お嬢さまに仕え、お嬢さまの役に立つ以外の価値はありません」

千夜「ゆえに、恋愛の必要も感じません」

ちとせ「まーだそんなこと言ってるんだ。私、千夜ちゃんのそういう考え、嫌いだよ」

千夜「き、嫌い……」

ちとせ「あらやだ、嫌いって言われて落ち込む千夜ちゃん可愛い……」

千夜「い、いえ……お気になさらずに、どうぞ」

ちとせ「千夜ちゃんは価値のない人形なんかじゃないよ。私の存在を抜きにしても、ね」

ちとせ「私は、千夜ちゃんに人間として人生を楽しんでほしいけどな」

千夜「その言葉だけで十分嬉しく思います。ですが、私は、お嬢さまにお仕えして、役に立てるだけで、幸せですから」

ちとせ「……そう」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 01:07:14.34 ID:iNeaJ/HC0
同じ頃、事務所のPの部屋


P「ふう……書類が多かったな、今日は」

コンコンコン

P「どうぞ」

ちひろ「失礼します。プロデューサーさん、お疲れ様です」

P「お疲れ様、千川さん」

ちひろ「夜遅くまでご苦労様です。プロデューサーさんのおかげで、ちとせちゃんも千夜ちゃんも人気が伸びているそうですね」

P「ああ、おかげさまでね。まあ、千夜に関して言えば、もう少し自分というものを持って欲しいと言うか……このままだと人気が伸び悩みそうなんだよな」

ちひろ「千夜ちゃん自身、ちとせちゃんが人気になればいいと思っていますからね。あの子が変わるのはなかなか難しいかも」

P「どうすればいいんだろうな……」

ちひろ「……はい、お仕事の話終了! もう11時です、深夜ですよ、深夜。休みましょう」

P「はは、そうだな」

ちひろ「実は私、こんなものを持ってきたんです」ガサゴソ

ちひろ「じゃーん、山田錦の大吟醸です」

P「なんでそんなもの持ってるんだ……」

ちひろ「楓ちゃんがお土産にってくれたんです。最近、彼女と飲みに行ったりしてるんですよ?」

P「な、なるほどな」

ちひろ「というわけでプロデューサーさん、今夜は飲みましょう!」

P「って、ここでか? 俺の部屋とはいえ、事務所の部屋を酒臭くするのはな……」

ちひろ「細かいことを気にしちゃだめですって、プロデューサーさん。それに、もうあなたは偉い人なんですから、文句の一つでも言われたらねじ伏せてやればいいんですって」

P「ちひろも言うようになったなぁ――って、すまん、千川さん」

ちひろ「わざわざ言い直さなくてもいいですよ――」

ちひろ「――Pさん」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 01:08:04.01 ID:iNeaJ/HC0
とりあえずここまで。
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/27(月) 02:21:32.32 ID:oFV8PVjDO
あー、そーゆー仲ね
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/05/27(月) 10:37:31.83 ID:AlTUWQtK0
浮気女だっけ
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 23:11:36.21 ID:iNeaJ/HC0
事務所


P「ちとせ、仕事とってきたぞ。土曜昼のバラエティのゲストだ」

ちとせ「あら、楽しそう。おしゃべりしてるだけでいいの?」

P「そうだが、そうじゃない、というべきか。確かに、基本的には会話してるだけだが、その内容はただ自分だけが楽しめばいいってものじゃいけない」

P「自分が楽しいのはもちろんのこと、それを聞いた人たち、見た人たちをも楽しくさせる、そんな内容でなくちゃいけない」

P「プロとして当然のことだ」

ちとせ「もう、わかってるって、それくらい。ただ好き勝手やるだけがアイドルってわけじゃないもんね」

P「そうだ」

ちとせ「ねえ、私にはもうちょっと優雅な仕事もあって良いと思わない?」

P「偉そうなこと言うなよ」

ちとせ「偉そうじゃなくて偉いの」

P「はいはい」

ちとせ「あぁん、冷たい。私、メンタルやられて死んじゃうかも」

P「119番はいつでも呼べる。安心しろ」

ちとせ「……そういうことじゃ、ないんだけどな」

P「あ、そうだ。この仕事は――」

コンコンコン

P「――っと、どうぞ」

「失礼します」

ガチャ

千夜「何の用でしょうか……って、お嬢さま……」

ちとせ「はぁい♪ ちーよちゃんっ」

千夜「お嬢さまは本当にここがお好きなのですね」

ちとせ「うんっ、好きだよ」

千夜「まあ、いいですが」

千夜「それで、お前、私に何の用ですか」

P「仕事だよ。ちとせと一緒のな」

千夜「!」

ちとせ「あら、もしかして」

P「そう。このバラエティのゲスト、VelvetRoseの2人として呼ばれてるんだ」

P「まあ、基本的にはちとせがしゃべってくれるだろうが、これはVelvetRoseの宣伝にもなる大きなチャンスだ。ふたりとも、お互いのサポートを頑張ってくれ」

千夜「お嬢さまのためならば、命を賭しても」

ちとせ「それじゃあ、私は千夜ちゃんの可愛さを世間に知らしめてあげよーっと」

千夜「お、お嬢さま……お戯れが過ぎますよ」

P「いや、それでいい。千夜の知名度も上がってきた頃だ。ちとせ、頼んだぞ」

ちとせ「はーい」

千夜「お前……覚えているがいい」

P「ああ、忘れないともさ」

千夜「……」

ちとせ「はいっ、険悪ムード終了! ふたりとももっと仲良くしなきゃだめだよ?」

千夜「お言葉ですが、私はこの男と相容れる気がしません。仲良くなろうと努力することに意味はないかと」

P「俺はビジネスとしてお前らの価値を引き出し売り込むことが仕事だ。それ以上のことは求めてない」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 23:20:32.79 ID:iNeaJ/HC0
ちとせ「はぁ……まったくこの堅物ふたりには手が焼けるわね」

P・千夜「一緒にするな」

千夜「……チッ」

P「……」

ちとせ「……ばっかみたい。ふふっ♪」

P「ん、時間か。悪いがふたりとも席をはずしてくれ。miroirのプロデューサーと話がある」

ちとせ「miroirって……あの双子の姉妹のユニット? あの子たち可愛いよね、食べちゃいたいくらい♪」

P「吸血鬼として、か?」

ちとせ「……なーんだ、冗談も言えるのね」

P「……早く行け」

コンコンコン

P「どうぞ」

ガチャ

miroirP「失礼します。今度の自分がプロデュースしてるユニットの仕事について相談がありまして」

P「ああ、いま資料を用意するよ」

P「さあ、悪いが、また今度な」

ちとせ「“また今度”、か。嬉しいこと言ってくれるね」

千夜「お嬢さま、行きましょう。ここに居る理由はありません」グイグイ

ちとせ「ひっぱらないでー……じゃあ、またね、あなた」

ガチャン

miroirP「仲良いんですね」

P「そうか? それに、アイドルとの仲が良いのはお前のほうじゃないのか」

miroirP「さあ、何のことだか」

P「……そうだな。さ、仕事の話だ――」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 23:21:17.58 ID:iNeaJ/HC0
>>14 訂正

P・千夜「一緒にするな」 →P・千夜「一緒にするな(しないでください)」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 23:28:32.72 ID:iNeaJ/HC0
千夜「今日はレッスンもありませんが、この後はどうされますか?」

ちとせ「うーん、特にしたいことないなぁ。あの人は、なんだか今日はいつもに増して仕事モードな感じだし」

千夜「あの男はいつもあんな感じでしょう」

ちとせ「わかってないなぁ、千夜ちゃんは。あの人はね、ああ見えて日によってキャラが違うのよ」

ちとせ「それで、これは私の推理だけど、恐らくあの人の本来の姿はもっと遊び心のある感じだと思うの」

ちとせ「ほら、時々冗談も言ってくれるでしょう? なんだかんだ、人と接するのが好きな人なんだなって思うな」

千夜「お嬢さまのお考えには時々驚かされますが……こればかりは全く理解できません」

ちとせ「それは、千夜ちゃんがあの人に近づこうとしないからでしょ」

千夜「別に、そうしたいとも思いませんから」

ちとせ「ふぅん、まあ、いいけど」

ちとせ「あ、これからどうするか、だったっけ」

ちとせ「ちょっと寄りたいところあるんだけど、いい?」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 23:36:37.00 ID:iNeaJ/HC0
都内某所、CDショップ兼楽器屋


ちとせ「うーん、どこかな」

千夜「何かお探しですか?」

ちとせ「うん、ちょっと前の歌のCD」

ちとせ「すっごく有名ってわけじゃないから、ふつうのお店にはないかなーと思って、ここに来てみたの」

千夜「どんな歌なのか教えてくれれば、私も一緒に探せるのですが」

ちとせ「まあ、それはそうなんだけどね。なんていうか自分の力だけで探してみたいって気分なの♪ 宝探しみたいな感じ」

千夜「はぁ……そうですか」

千夜「……それは、どのような曲なのですか」

ちとせ「この前ね、あの人の部屋にあったCDを適当にプレイヤーに入れてかけてたの」

ちとせ「そしたらね、決して派手ではないんだけど綺麗な声で、すっごく心に沁みるメロディの歌が流れてきたの」

ちとせ「いままで聞いたことがなかった歌だったから、あの人に聞いたの。なんて曲? って」

ちとせ「そしたら、歌手名と曲名を教えてくれて。なんか、ちょっと昔にうちの事務所にいたアイドルの歌なんだって」

ちとせ「……ここ、かなぁ」

ちとせ「! あった! あったよ! 千夜ちゃん」

千夜「良かったですね、お嬢さま」

ちとせ「うんっ! さっそく買っちゃおっと」

千夜「ふふっ」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/28(火) 00:00:59.03 ID:1yh4+5ql0
1ヵ月後、ロケに向かう道中、社用車車内


千夜「……お前」

P「なんだ?」

千夜「なぜ、私一人で町歩きの番組に出る仕事なんてとってきたんです」

P「それが良い仕事だと思ったからだ」

千夜「お前の目は節穴ですか? 私のような価値のないつまらない人間が、町を歩いて食に対する思いを述べるなど、なんの得にもならないと思うのですが」

P「そう思うんだったら、目が節穴なのはお前のほうさ。まあ、自分のことを一番よくわかってないのは自分だという話だな」

千夜「どういうことですか」

P「確かに千夜は無感情な部分がある。だがな、リアクションというのが要求されるこの世界において、それを出さない出演者というのは目立つんだよ。だから注目される」

P「それに、お前は食レポに向いている。おそらく、いままで黒埼の家で良いものを口にしてきたからだろう。グルメ番組でお前ほど冷静に分析して語るヤツはいないさ。社交性もあるしな」

千夜「……そういう、ものでしょうか」

P「そういうものだ」

P「それにな、お前がつまらない人間だったらそもそも仕事なんてもらえないんだよ。そりゃあ、無価値でつまらない人間を番組に出してくれって言ったって門前払いだろうが、対偶で考えれば、番組に出してもらえるんだからお前は価値があるかつまらなくないのいずれかってことさ。まあ、アイドルとして悪くない、ってことだよ」

千夜「……」

千夜「……お前」

P「なんだ」

千夜「お前は、私のことをどう思っていますか」

P「は? どういうことだよ、それ」

千夜「あっ、いや、変な意味じゃなく! か、勘違いしてもらっては困る!」

P「勘違いも何も、お前が一人で勝手に盛り上がってるだけだろう」

千夜「〜〜〜〜!」

千夜「っ……その、最近、考えることがある」

千夜「私という人間は、何のために生きているのだろうかと」

千夜「もちろん、お嬢さまに忠誠を誓っている。お嬢さまにこの身を捧げることが私の生きる意味だと思っている」

千夜「それには、何の疑いもない……でも」

千夜「お嬢さまという存在なしで、私という人間を語ることが、果たして出来るのだろうか、と」

千夜「このアイドルという仕事……お嬢さまのついでではじめたのがきっかけですが、VelvetRoseとして出演する仕事じゃない限りは私とお嬢さまは離れ離れ……」

千夜「私自身、ここまでお嬢さまと一緒じゃない時間を過ごすのははじめてなのです」

P「そういえば、ちとせが遠方のロケで1週間泊まりだったこともあったな」

千夜「あのときは気が気でなかった……お嬢さまの家で帰りを待つあの感じは、なんというか、違和感の塊でした」

P「お前もなかなか受け入れてくれなかったからな。ちとせの体調が安定していないのは俺にだってわかっている。あの時はどれだけ万全の体制でスタッフを送り込んでるかまで丁寧に説明してようやくお前を説得できたからな」

千夜「当たり前です。信用に足る環境でなければお嬢さまをそこに置くことなどできません」

P「まあ、それを決める権利は、お前にはないけどな」

千夜「っ……」

P「あいつだって……まあ、ヤワではあるが、お前が心配するほどではないと思うぞ――って、こういうことを言うと、「お前に何がわかるのですか」って言われるのかな?」

千夜「見透かしたような言動は好きではありません」

P「でも、プロデューサーだから、見透かそうとはする。それがプロデュースする上で欠かせないプロセスだからな」

P「千夜は、さっき、ちとせの存在なしで自分はどのように語られるのかと言ったな」

P「俺は、千夜のことをちとせなしで十分語れる。それで千夜をドン引きさせる自信だってある」

千夜「いきなり何を言い出すのかと思えば……」

P「これだけは言っておこう。俺は、千夜ひとりに取ってくる仕事の営業のときには、ちとせのことは一切言及しない」

千夜「!」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/28(火) 00:21:23.56 ID:1yh4+5ql0
P「それは、俺が千夜のプロデュースはちとせの存在はなしに成立すると確信を持っているからだ」

P「価値がない人間だって? とんでもない。そもそも価値がない人間はうちの事務所に雇われない」

P「千夜ほど17歳で食に通じているアイドルはいないし、千夜ほど人間をよく観察しているアイドルもいない」

P「千夜はうちの事務所にたくさんいるアイドルのなかでも運動が抜群に出来るほうだし、要領もいい」

千夜「でも、それだけなら私じゃなくても……」

P「それを決めるのは俺であって千夜じゃない」

千夜「!」

P「確かに、スペックだけなら千夜と同じかそれ以上のアイドルはいる。でも、それは、何の利益も不利益ももたらさないただの情報に過ぎない」

P「俺はお前たちを見透かそうとしていると言ったな。もう少し高尚な言い方をすれば、お前たちの才能を見抜こうとしているんだ」

P「そして、それを仕事という形で反映させる。もちろん、需要があると見込んで、だ」

P「で、結果として売れた。これが重要だ。価値のあるものは売れる」

P「この結果を踏まえた上で、まだ自分が価値のない人間だと思うなら、俺が何度でもお前の価値をお前に教えてやる」

千夜「……」

P「なあ、千夜」

千夜「……なんですか」

P「アイドル、楽しいだろ?」

千夜「!」

P「いままでこんなこと、なかったろ?」

千夜「それは……」

P「無価値だと思っていた自分が、価値があると認められている――お前はそれに気づいているんじゃないのか」

P「だから、いままでちとせに忠誠を誓って仕えてきた自分と、自分の価値を認められて一人の少女として生きる自分との間で葛藤があるんじゃないのか」

千夜「……」

P「別に、どちらかを選べと言っているわけじゃない。どちらが良いとも悪いとも言ってない」

P「だけど、これだけは言える」


P「千夜は――アイドルを、人生を、楽しんでいいんだぞ」


千夜「っ――」

千夜「――私は……」

千夜「あ、あれ?」ポロッ

千夜「なぜ……こんな……」ポロポロ

P「……」

千夜「だめ……止まって……お願いだから……」ポロポロ

千夜「なんで……」ポロポロ

P「……化粧崩れなら気にするな、現地にスタイリストがいる」

千夜「……ふふっ、ふふ……」ポロポロ

P「な、何を笑ってるんだ」

千夜「いえ……お嬢さまなら、きっと、そういうことじゃないんだけどなーっておっしゃると思って」

P「なんだよ、またちとせか。千夜はちとせばっかりだな」

千夜「……ぐすっ。はいっ、私は、お嬢さまに忠誠を誓っていますから」グシグシ

千夜「けど……そうですね、私の意見としては――」


千夜「――お前は、本当にどうしようもない男ですね」ニコッ
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/28(火) 00:22:06.56 ID:1yh4+5ql0
とりあえずここまで。
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/28(火) 05:11:25.23 ID:d2jEsvoDO



いいね、もっと強さも弱さも見せてちょーだい
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/28(火) 23:48:55.77 ID:1yh4+5ql0
後日、事務所、Pの部屋


P「――という企画があって、千夜に出て欲しいんだが、どうだ?」

千夜「……問題ありません」

P「そうか、じゃあ、頼んだぞ」

ちとせ「最近、私たちVelvetRoseとしてより、個々で仕事をすることも増えてきてるわね。これも、あなたのやり方?」

P「意図的にお前たちが別行動をするようにしているわけじゃないが、お前たちはユニットでなくても十分仕事ができると思っている」

P「いまは、ユニットとしての仕事と個々人での仕事が半々くらいになっているだけだ。他意はない」

ちとせ「ふーん。でもさ――」

ちとせ「――今回あなたが千夜ちゃんに持ってきた仕事、『ドSなメイドさんに叱られるコーナー』のメイドさんなんだけど?」

千夜「……」

P「だからなんだ」

ちとせ「べっつにー? これがあなたの趣味なのだとしたら、笑えるなーって思って♪」

P「な、何を言うんだ」

P「笑えるのはその考え方のほうだな。千夜はほら、なんていうか、ズバズバと物言うだろ。それにメイドでもある。それらを踏まえた上で需要があると判断したまでだ」

ちとせ「つまんないのー」

ちとせ「でも良かったね千夜ちゃん。“プロデューサーさんが”千夜ちゃんのメイド姿が良いって言ってくれて」

千夜「なっ! ……お嬢さま、このような者に劣情を抱かれてるかのような言い方はやめてください」

P「そこまで言う必要はないだろ。もう少し愛嬌ってもんを千夜は覚えたほうがいいな」

千夜「ばーか。お前に言われなくたって、それくらい仕事なら演じることができますから」

P「そうか? じゃあ、“期待して”収録終わりのお前を待っていてやろう」

千夜「言っておけ」

ちとせ「……」

ちとせ「……なんか、さ」

ちとせ「ふたりとも、仲良しになった?」

千夜「!」

P「……」

ちとせ「ねえねえ、だってほら、千夜ちゃんのあなたに対する言葉、棘があるにしてもどこか可愛らしい感じがすると思わない?」

ちとせ「それに「ばーか」ですって! まったくもう、千夜ちゃんは本当に可愛いんだから」

千夜「〜〜///!!」ゲシゲシ

P「おい、なぜ俺を蹴る。やめろ」

千夜「私はレッスンがありますので、失礼します」スタスタ

ガチャ、バンッ

ちとせ「……あのさ」

ちとせ「どんな魔法を千夜ちゃんにかけたの?」

P「……魔法なんて、かけてないさ」

P「ただ、生きることを楽しめ、と、そう伝えただけだ」

ちとせ「……そっか」

ちとせ「あの子、そういうの、いままで欠けてたから」

ちとせ「私が何を言っても、自分には価値がないだとか、人形だとか、言い続けるんだもの」

ちとせ「あなたに会って、千夜ちゃんは変わったわ」

ちとせ「ありがとね」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/28(火) 23:58:21.47 ID:1yh4+5ql0
ちとせ「千夜ちゃんは私の僕ちゃんじゃなくていいの。一人の女の子として、未来のある希望を抱いて生きていて欲しいの」

ちとせ「あの子は、私とは違うんだから」

P「ちとせ……」

ちとせ「……ごめんね、ちょっとしんみりしちゃったよね」

ちとせ「私だって、歌とかビジュアルで頑張るからさ。もちろん、私のプロデュースも手を抜かずにやってよね♪」

P「当たり前だ。中途半端な仕事はしない主義でな」

ちとせ「仕事、ね」

ちとせ「前から気になっていたんだけど、あなた、仕事じゃないことにはどういう人間になるのかしら」

ちとせ「私、すごく興味あるんだ」

P「……」

ちとせ「ねえ、こんなに近くに、こんなに綺麗な女の子がいるのに、ドキドキとか、しないの?」

P「しないと言えば嘘になる」

ちとせ「素直じゃないのね。でも、そういうところも可愛い♪」

ちとせ「ますますあなたに興味が湧いてきちゃった」

ちとせ「その鉄仮面でも隠せないようなくらい、あなたを魅了してあげたくなっちゃう……」

ちとせ「……そして、あなたを食べちゃうかも、ふふふっ」

ちとせ「……」

ちとせ「じゃ、これから私、レッスンだから。また、ね」スタスタ

ガチャ

ちとせ「……Je t'aime comme tu es, なんちゃって、ね♪」

P「……」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/29(水) 00:10:58.12 ID:i5UWtqsC0
コンコンコン

P「はい、どうぞ」

ガチャ

ちひろ「失礼します」

P「ああ、千川さんか。お疲れ様」

ちひろ「お疲れ様です、プロデューサーさん」

ちひろ「さっきちとせちゃんが出て行くのを見ましたよ。VelvetRoseの仕事の話でもしてたんですか?」

P「まあ、半分正解で、半分外れだな」

P「ちとせと千夜がいたが、伝えたのはそれぞれ別の仕事だよ」

ちひろ「あのふたりは、ユニットとしても、個人でも、活躍できるアイドルですね」

ちひろ「でも、そうやって彼女らが活動できるのは、プロデューサーさんの仕事が素晴らしいからですよ」

P「そう言ってもらえると嬉しいよ。まあ、俺にできることを、最大限やっているだけだがな。あとは彼女たちの努力と才能さ」

ちひろ「ふふっ、あなたらしい言い方です」

P「いつだって、俺は自分のプロデュースには不安を抱えている。それを自信という形で壁を作って、気にしないようにしてるだけだ」

ちひろ「大丈夫ですよ」

ちひろ「プロデューサーさんなら、アイドルたちを愛してあげられるって信じていますよ」

ちひろ「アイドルを輝かせることができるのは、あなた(プロデューサーさん)にしかできないお仕事ですから」

ちひろ「私たちに出来ることがあったら、言ってくださいね」

ちひろ「プロデューサーさんの夢を、私たちはお手伝いしますから」

P「俺の夢、か……」

ちひろ「はいっ。私がよーくわかっていますから、そのことは」

P「そう、だな……」

ちひろ「ごめんなさい、プロデューサーさんにとっては、思い出したくないことも多いかもしれませんけど」

ちひろ「私のことなら、気にしないでください。いいえ、私なんかを気にしちゃ駄目です」

ちひろ「今は目の前に向き合うべきものがあるのですから、それにきちんと向き合ってくださいね」

P「ちひろ、俺は――」

ちひろ「――千川さん、じゃないんですか? もうっ」

P「……」

ちひろ「駄目です、駄目ですよ……」

ちひろ「名前で呼ばれたら、私だって、Pさんって呼びたくなっちゃうから」ボソッ

ちひろ「それじゃあ、プロデューサーさん。お仕事、頑張ってくださいね」

ガチャ

バタン

P「……」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/29(水) 00:11:51.54 ID:i5UWtqsC0
一旦ここまで。
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/30(木) 00:54:31.63 ID:CL4P18aI0
1週間後、事務所内診療所


ガラガラガラッ

P「……ハッ、ハァッ、……ち、ちとせ……!」ゼェゼェ

ちとせ「……ん? あ、ああ、来てくれたんだ」

ちとせ「また倒れちゃった、あはは、今日は調子良いと思ったんだけどなー。ごめんね?」

P「謝らなくていい……それ、よりも、……大丈夫、なのか?」

ちとせ「うん、今のところは。でも、今日はもうレッスンできないかも」

P「倒れたやつにレッスンなんてさせるかよ……。とにかく、今は休め」

ちとせ「んもうっ、だから、休んでるんだってば。ほら、こうして安静にしてるでしょ?」

P「……それも、そうか」

ちとせ「あなたこそ、ちょっとは落ち着いたほうがいいんじゃない?」

P「そうだな、すまない」

コンコンコン

ちとせ「どうぞー」

千夜「失礼します! お嬢さまっ……」

千夜「……コホン、お嬢さま、体調は、いかがですか」

ちとせ「まあ、すっごく悪いってわけじゃないよ。良いわけでもないけどね」

P「千夜、すまない、俺がついていながら……」

千夜「お前――」

ちとせ「ねえ千夜ちゃん、この人は何も悪くないの、だから……」

千夜「――って、別に私は責めようだなんて思っていません。お二人が私のことをどう思っているのか、よくわかりましたが」

千夜「ただ、「お前のせいではありませんよ」と言いたかっただけです」

P「そ、そうか……」

千夜「……」

P「そうだ。ちとせ、もう帰るか? ここに残ってもすることはないだろうし、こうして千夜も来てくれてるが」

千夜「タクシーの手配なら今すぐにでもできます」

ちとせ「うーん、帰るには帰るけど、今すぐにじゃなくていいや」

ちとせ「千夜ちゃん、先に帰っててもらえる? 夜までには帰るから」

千夜「しかしお嬢さま、それでは誰がお嬢さまを自宅に……」

ちとせ「それは、……ねえ?」チラッ

千夜「え?」

P「……」

P「わかった、俺が責任を持ってちとせを送り届ける」

ちとせ「ってことになったわ♪ ごめんね、ここまで来てくれたのに」

千夜「いえ……それは気にしていませんが」

千夜「じゃあ、お前、細心の注意を払ってお嬢さまを送り届けてくださいね」

P「……ああ」

千夜「では、失礼します」

ガラガラガラ

ピシャッ
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/30(木) 01:07:02.98 ID:CL4P18aI0
P「……なあ、ここに残ってどうするんだ? することないだろうに」

ちとせ「なかったけど作ったの。あなたとおしゃべりするって用事をね」

ちとせ「今日あなたが忙しくないってことはもう知ってるから、逃げないでね?」

P「逃げも隠れもしないさ……」

ちとせ「……ありがと」

ちとせ「……」

ちとせ「ねえ」

P「なんだ?」

ちとせ「私が倒れる理由、ただの貧血だと思ってる?」

P「……」

ちとせ「Yes or noで答えて」

P「……No」

ちとせ「そう、それがあなたの答えなのね」

ちとせ「残念ながら……それが正解。私の体は原因不明の病におかされてる」

ちとせ「私ね、長くないと思うの。だから、今が楽しければいい。たぶんアイドルとしても、ハードなお仕事はできないでしょ?」

P「……」

ちとせ「私は知ってる。あなたが、私の体調を完璧に考慮してスケジュールを組んでくれていたこと」

ちとせ「むしろ、こうしてレッスンとかをしてるときに発症しちゃうほうがイレギュラーだもの」

ちとせ「どこで知ったか、あなたは私の病気の傾向を把握していた」

ちとせ「さすがだね♪ やっぱ勉強できる人の考え方だ」

P「……」

ちとせ「そんな暗い顔しないで。私はあなたに感謝してるんだから。こうしてワガママな私をプロデュースしてくれて、千夜ちゃんを一人の女の子として扱ってくれて」

ちとせ「あなたには、もっと胸を張っていてほしいな」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/30(木) 01:26:02.44 ID:CL4P18aI0
ちとせ「私ね、悪い女なの」

ちとせ「千夜ちゃんを私の僕ちゃんから解放したいとか言っておいて手許において可愛がりたいと思ってるし――」

ちとせ「――こんな体で未来なんてないのに、私は私という存在であなたをこれからも束縛しようとしてる」

ちとせ「有り体にいえば、もっと私といてほしいと、そう願ってる」

ちとせ「そんなことしたら、あなたはきっと応えてくれる――いいえ、応えてくれようとしてしまうのにね」

P「ちとせ、それ以上は……」

ちとせ「さっき言ったよね。私、今が楽しければいいって」

ちとせ「だからね、今だけは、あなたのそばに……」

ちとせ「……あなたの女で、いさせてほしい、な」スッ

チュッ

P「……っ」

ちとせ「避けないんだね。嬉しい♪」

P「避けられるわけ、ない……」

ちとせ「それは、私のことが好きだから? 私が圧をかけてるように感じたから? 私の存在に対して義務感を覚えているから?」

ちとせ「それとも、何か別に理由があったり?」

P「……深い理由(わけ)なんて、ないさ」

ちとせ「そ、まあ、いいけどね」

ちとせ「でも、駄目だね。私、もっと欲しくなっちゃってる」

ちとせ「ねえ、私、もっとあなたを感じたいな」ギュッ

ちとせ「これも、今だけ、今だけなんだよ」

ちとせ「だから――」

「プロデューサーさん? いらっしゃいますか?」

ちとせ「――この声は、ちひろさんね」

P「……ちょっと話してくる」

ちとせ「うん」


P「どうかしたのか?」

ちひろ「いいえ、ちとせちゃんの様子が気になって。ほら、体、弱いみたいですし」

P「まあ、今のところは落ち着いてきてるよ。今日は絶対安静だな」

ちひろ「そう、……ですか。あ、大丈夫そうですね、ちとせちゃん」

P「あいつと話していくか?」

ちひろ「あっ、いいえ! 無事がこの目で確認できたので、大丈夫です」

ちひろ「それでは、私は仕事に戻りますね」


P「どうやらちとせの無事を確認しに来ただけだったみたいだ」

ちとせ「そうなの」

ちとせ「私の無事を確認しに来たのに、最初に口に出したのは「“プロデューサーさん”? いらっしゃいますか」なんだね」ボソッ

ちとせ「あーあ、なんだか興が冷めちゃった」ギュゥッ

P「お、おい、なに抱きついてるんだよ」

ちとせ「別に? そういう気分なだけー」

P「どういう気分だよ……」

ちとせ「……ね、一つ、お願いしてもいい?」

P「なんだ?」

ちとせ「私が元気なうちに、私の初めて、貰ってね?」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/30(木) 01:26:46.96 ID:CL4P18aI0
とりあえずここまで。
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 18:38:19.72 ID:cjI1PaeA0
――たまに見る夢は、炎が荒れ狂う夢だった。


たいせつなものが、燃えていく夢。


私の全てを焦がして、焼き尽くす。


だから、私はなにも求めない。


いつか燃えてしまうなら。 ――



千夜「……」

千夜「……お嬢さま」

千夜「私は、どうすればよいのでしょう」

千夜「何も求めないと、そう決めていたのに」

千夜「気づかぬうちに、私は、多くのものを求めてしまっていたようです」

千夜「それに、大切なものも……」

千夜「……」

千夜「ばーか」

千夜「そうやって自分に言い放って、無責任になれたらどれだけ楽なことか……」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 18:49:54.90 ID:cjI1PaeA0
11年前


千夜「ねぇ、おとーさんってなんのおしごとしてるの」

千夜父「気になるのか?」

千夜「うんっ、小学校でね、お父さんとかお母さんがどんなおしごとをしてるかしらべましょって言われたの」

千夜父「そうか。そういえば、千夜には今まで説明したことがなかったな」

千夜父「子どもには難しいかもしれないが、ちょうどいい機会だし話しておくか……」

千夜父「今度、千夜をお父さんの仕事場に連れて行ってやろう。そこで、どんなお仕事をしてるか教えるよ」

千夜「わぁっ、ほんと? たのしみにしてるね!」

千夜父「ああ、きっと驚くぞ……なんてな。ははっ」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 19:12:46.34 ID:cjI1PaeA0
数日後、某研究所兼医療機関

千夜父「ここが、お父さんの仕事場だよ」

千夜「なんだか、まっ白なばしょだね」

千夜父「そうだな」

千夜父「お父さんはな、ここで、病気に苦しむ人を救うために毎日研究をしてるんだよ」

千夜「けんきゅー?! すごい! おとーさん偉い人なんだ!」

千夜父「はは、別に偉いわけじゃないさ。ただ、困ってる人を助けたいだけだよ」

千夜「うーん。あっ、でも、せんせーがゆってたもん、こまってる人をみすてないでたすけてあげられる人は少ないんだって。だから、たすけてあげられる人はえらいんだって」

千夜父「そうか、じゃあ、ちょっとは偉いかも、な?」

千夜「うんっ!」

研究員1「あれ、白雪さん、今日はお子さん連れてきたんですか」

千夜父「ああ。なんでも、小学校の課題で親の仕事を調べるように言われたらしくてな」

研究員1「あーありますよねそういう課題。懐かしいなぁ」

研究員1「あ、自己紹介がまだだったね。僕は君のお父さんの部下で、一緒に仕事をしている――というんだ。よろしくね」

千夜「白ゆき千よ、6さいです! おべんきょうが大好きですっ。だから、お父さんにあこがれています」

研究員1「親に似て賢そうなお子さんですね」

千夜父「子どもを使って俺を褒めても何も出ないからな」

研究員1「別にごまを擂ろうだなんて思っちゃいませんって」

千夜父「まあ、自慢の可愛い娘であることには変わりないがな」ナデナデ

千夜「えへへ」

千夜「ちよはね、おかーさんににて、びじんさん、なんだってー」

千夜父「っ……」

研究員1「……そう、だね。本当に美人さんだ」ナデナデ

千夜「あっ、あとあと、おとーさんはすっごく頭がいいんだけどね、かじだけはだめなの。かじだけは、ちよがやってあげたりするんだよ」

研究員1「白雪さん……」

千夜父「その目はなんだその目は。ちゃんと掃除だって料理だって……やっているからな」

千夜「でも、おとーさんのおりょうりすっごくまずいもん」

研究員1「ブフォッ」

千夜父「こらっ、それを言うんじゃない……」

研究員1「あははっ、ほんと良い娘さんをお持ちですよ、白雪さんは」

千夜父「からかわないでくれ……」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 19:15:06.29 ID:cjI1PaeA0
>>31の訂正:
千夜「うんっ、小学校でね、お父さんとかお母さんがどんなおしごとをしてるかしらべましょって言われたの」
→千夜「うんっ、小学校でね、おとーさんとかおかーさんがどんなおしごとをしてるかしらべましょって言われたの」

>>32の訂正:
千夜「白ゆき千よ、6さいです! おべんきょうが大好きですっ。だから、お父さんにあこがれています」
→千夜「白ゆき千よ、6さいです! おべんきょうが大好きですっ。だから、おとーさんにあこがれています」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 19:16:46.78 ID:cjI1PaeA0
>>32の訂正:
千夜「けんきゅー?! すごい! おとーさん偉い人なんだ!」
→千夜「けんきゅー?! すごい! おとーさんえらい人なんだ!」

たびたびすみません。極力、年齢にあわせた漢字を使おうと思います。
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 19:27:24.96 ID:cjI1PaeA0
千夜父「よし、もう少し研究所を歩いて回ろうか。千夜を連れて行けない場所もあるから、全体ではないが」

千夜「うんっ」

研究員1「それじゃあ、僕は研究室に戻りますね」

研究員1「千夜ちゃんも、お父さんと楽しんで」

千夜「うん、ばいばい」


千夜父「……これで大体は見回ったかな」

千夜「なんか、大人の人しかいないね」

千夜父「まあ、研究所だからなぁ」

千夜父「あ、でも……」

千夜「あっ、あそこ! 見て! おとーさん!」

千夜「あそこに女の子がいるよ!」

千夜父「ああ、彼女か」

千夜父「これからお父さんが言うことは、あまり大きな声で言っちゃだめだからな?」

千夜父「あの子はね、原因不明の病気を抱えているんだ。だから、この研究所で診てあげてるんだよ」

千夜「そ、そうなんだ……」

千夜父「ああ、ここには病院もついてるからね。患者さんがよく来るんだ」

千夜「あの子、しんじゃうの?」

千夜父「……あの子が死なないように頑張るのが、お父さんの仕事なんだ」

千夜「……たすけてあげてね」

千夜父「もちろんだ。諦めるもんか」

千夜「あの子、元気ないね」

千夜父「もう随分病院から出れていないな……さぞ退屈だろう」

千夜「ちよ、あの子とお話したい! だめ、かな……?」

千夜「あの子とお話して、元気にしてあげたいの」

千夜父「ああ、いいぞ」

千夜父「あの子は患者さんだから、綺麗な状態で接してあげなさい。ほら、そこで洗っておいで」

千夜「うんっ」パタパタパタ

千夜父「……」

千夜父「……お前に似て、千夜は優しい子に育っているみたいだよ」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 20:10:28.23 ID:cjI1PaeA0
千夜「あらってきた!」

千夜父「よし、じゃあ行ってきなさい。あんまり驚かせちゃ、だめだからね」

千夜「うんっ」テテテテテ


???「……」ポチポチ

???「……」

???「……」ポイッ

???「……」

???「……ゲーム、飽きちゃったな」

千夜「それじゃ、ちよとお話しない?」

???「わあっ?! え、だ、誰?!」

千夜「あっ……おとーさんにおどろかせちゃだめって言われてたのに、やぶっちゃった」

千夜「おどろかせちゃったらごめんなさい、わたし、ちよっていうの。あなた、つまんなそうにしてるから、はなしかけてみたの」

???「そ、そう……」

千夜「その、よかったら、ちよと……」モジモジ

???「……あははっ、かわいいっ」ナデナデ

千夜「わわっ」

???「いいよ。じゃあ、お話しよっか――」

ちとせ「――私の名前は黒埼ちとせ。8歳よ」

千夜「白ゆき千よ、6さいですっ」

ちとせ「千夜ちゃん、ね。うん、覚えた」

千夜「ちとせさん! ちよも覚えたよ」

ちとせ「さんづけはしなくてもいいって」

千夜「でも、おねーさんだし……」

ちとせ「じゃあ、ちーちゃん、とかは?」

千夜「ちよだってちーちゃんになっちゃうもん」

ちとせ「あっ、そうか。ふふっ」

千夜「じゃあ、じゃあ、ちとせお姉ちゃんっていうのは?」

ちとせ「あ、それいいかも。決定」

千夜「よろしくね! ちとせお姉ちゃん」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 20:27:17.93 ID:cjI1PaeA0
千夜「なんか、ちとせおねーちゃんってかっこいいね。8さいって言ってたけど、もっとおねーさんに見える!」

ちとせ「ほとんど外に出られないから、本読んだり調べものしたりゲームしたり、知ってることだけはとにかく増えたよ」

ちとせ「あたまでっかちになっちゃって、いやだね、こういうのってさ」

千夜「? ちとせおねーちゃんはこがおだよ? かわいいもん!」

ちとせ「ふふ、可愛いね、千夜ちゃんも」ナデナデ

千夜「あうあう」

ちとせ「あっ、そうだ。千夜ちゃん、恋バナって知ってる?」

千夜「こいばな?」

ちとせ「うん。恋バナっていうのはね、好きな男の子の話をしたりだとか、どんな子が好きだとか、そういう話をすることを言うの」

千夜「ちとせおねーちゃんには好きな人がいるの?」

ちとせ「ううん、いないよ。ずっとここにいるから、できようにもできないっていうかね」

ちとせ「あ、でも、そういえばここの研究員さんにね――」

千夜「うん――」


……


ちとせ「あ、やば。もう病室に戻らなきゃ」

千夜「もうばいばいなの?」

ちとせ「うん、今日のところは、ね」

ちとせ「ねえ、千夜ちゃん。また、ここに来てくれる?」

千夜「おとーさんにおねがいしてみる」

ちとせ「やった。楽しみにしてるね」

千夜「ちよも、またちとせおねーちゃんとお話したい」

看護師「あっ、黒埼さん、こんなところに……」

看護師「探しましたよ。もう時間過ぎてるじゃないですか」

ちとせ「ごめんって。ちょっと天使を見つけちゃって、可愛がってたらこんな時間になっちゃった♪」

看護師「あら、あなた、どうやってここに?」

千夜「白ゆき千よですっ。おとーさんにつれてきてもらいました」

看護師「白雪……あ、白雪先生の娘さんかな?」

千夜「はいっ」

看護師「それじゃあ、内線でお父さん呼んであげるね、ちょっと待ってて――」


……


千夜父「す、すみません! 共同研究者が急にやってきてしまって、相手をしていたらついこんな時間に……」

看護師「今度から娘さんを連れてくるときには、来訪者用のカードを持たせてください。誰だかわからないと、色々と面倒なので……」

千夜父「今度から気をつけます……」

看護師「それじゃあ、黒埼さん。行きましょう」

ちとせ「うん。それじゃあ、千夜ちゃん、またね」

千夜「またね」フリフリ

千夜「……」

千夜父「お友だちになれたかい?」

千夜「うん! ちよ、ちとせおねーちゃん好き!」

千夜父「そうか、それは良かった……」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 20:47:36.42 ID:cjI1PaeA0
その4年後(7年前)


千夜「ちとせちゃん、この問題がわからないんだけど……」

ちとせ「どれどれ……って、これ中学生の内容じゃないの」

千夜「勉強は、好きだから」

ちとせ「頑張るねぇ、偉い偉い」ナデナデ

千夜「ちょっ、はずかしいって……もう」

ちとせ「あはっ、なでてあげたときは、やっぱり「ちよちゃん」って感じだね♪」

千夜「そういうのいいから、教えて」

ちとせ「はいはい……っと。これは……2元1次連立方程式、か」

千夜「解が求まるときはわかるの。でも、不能とか不定とか、そういうのがよくわからなくて」

千夜「イメージが、できないの」

ちとせ「なるほど、ね」

ちとせ「千夜ちゃんは、1次関数は知ってる?」

千夜「うん、比例のときにちょっと勉強した」

ちとせ「そのグラフってどうなるんだっけ」

千夜「直線になる」

ちとせ「そうだよね。そこで、この連立されてる式をそれぞれy=の形に書き換えてみると……」

千夜「直線の式が、2つ……」

ちとせ「その通り♪ だから、連立方程式の解っていうのは、幾何学的に考えれば2直線の交点の座標なわけ」

ちとせ「けど、それが求まらないときがある。どういうときか、千夜ちゃん、わかる?」

千夜「直線の交点が求まらないとき……」

ちとせ「そういうのって、どういうときかな」

千夜「あっ、平行なときだ」

ちとせ「大正解。2つの直線が平行なとき、交点はない。ちゃんと言えば、“相異なる”2直線を考えている場合ね」

ちとせ「こういうとき、連立方程式の解は存在しないから、不能と言うの」

千夜「それじゃあ、不定は……」

ちとせ「さっき、わざわざ“相異なる”って言ったでしょ? でも、2つの直線が実は同じものだったら……」

千夜「……交点は無数に、ある」

ちとせ「そうそう。というか、共有点が無数にあるってことだね」

ちとせ「そういうのが、不定」

千夜「理解できた。ありがとう、ちとせちゃん」

ちとせ「いやぁ千夜ちゃんは理解が早いね、すごいすごい♪」

千夜「私にはセンスはないから……努力でカバーしないといけないってだけだよ」

ちとせ「それでも、ここまで飲み込みが早いのはすごいことだって」

千夜「ちとせちゃんの方すごいもん――ん゛ん゛っ、すごい、よ。だって、ちとせちゃんだって小6なのに、私にこんなの教えちゃうし」

ちとせ「私は他にすることがないだけだって。千夜ちゃんが来てくれなかったら、病気より先に退屈で死んじゃうかも」

千夜「……! だ、駄目ッ」ギュッ

ちとせ「わわっ、な、なに?」

千夜「死んじゃうなんて、言っちゃ、駄目」

千夜「駄目、だよ……」グスッ
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 20:59:19.35 ID:cjI1PaeA0
ちとせ「やだなぁ千夜ちゃん……冗談だよ」

ちとせ「ほら、よく言うじゃない。退屈は人を殺すって」

千夜「最近、考えるの」

千夜「明日生きてないかもしれないって、どんなことだろうって」

千夜「死んじゃうって、どういうことなんだろうって」

ちとせ「……」

千夜「いままで考えたことなんてなかった……でも、だからこそ、考えたらすごく怖くなった」

千夜「ちとせちゃんは、ずっとその恐怖と隣あわせだと思うと、私……」

ちとせ「大丈夫、私なら、大丈夫だから」ギュッ

ちとせ「千夜ちゃんは優しいね。ほんと、千夜ちゃんと出会えてなかったらって思うと、ぞっとしちゃう」

ちとせ「千夜ちゃんがいるから、私は退屈してないよ」

ちとせ「……」

ちとせ「私もね。怖いの」

ちとせ「一生付き合わなきゃいけないかもしれない病気だから、いつか慣れるんだと思ってた」

ちとせ「でも、そんなことないの。怖いものは、ずっと怖い」

ちとせ「……運命って残酷だよね。お父さんとお母さんは長生きするようにって名前をつけてくれたのに」

ちとせ「私は、こんな体だもの」

ちとせ「だからね、今でも、自分の名前を漢字じゃかけないの。怖くて、悲しくて、悔しくて……」

千夜「……私、ちとせちゃんを救いたい。ううん、救ってみせる」

ちとせ「千夜、ちゃん?」

千夜「たくさん勉強して、研究者になって、ちとせちゃんを救ってみせるから……!」

千夜「待ってて、千夜ちゃん」

千夜「必ず、私が助けるよ……」
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:16:50.04 ID:cjI1PaeA0
同じ頃、研究所

千夜父「くそっ……やっぱり違う。この仮説は間違いだ」

研究員1「途中まではあってると思っていたんですがね……やはり見当違いだったんでしょうか」

研究員2「他に有力な説の先行研究を行っている海外チームに相談してみますか?」

千夜父「とりあえずそうするか……悔しい限りだ」

研究員1「この仮説の検証に1年かけましたからね……。しかし、気にしてばかりじゃいられませんし、先へ進む方法を模索していきましょう!」

研究員2「そうですよ。それに、白雪さんが悪いわけじゃないんですもの」

千夜父「……」

研究員1「あっ、まずい……明日娘の運動会があるんだった。明日朝1で起きないと!」

研究員1「すみません! 定時過ぎてますし、僕はこれで失礼します!」

千夜父「ああ……お疲れ」

研究員1「また飲みにいきましょう! 嫌なことは忘れて、ぱーっと」

千夜父「ははっ、そうだな」

研究員1「それじゃ、お先に失礼します」

ウィーン

ガチャ

研究員2「……」

研究員2「ふたりきり、ですね」

千夜父「……」

研究員2「ねえ、白雪さん……」

千夜父「……」

研究員2「ちょっとこっち向いてください」

千夜父 クルッ

研究員2 チュッ

研究員2「……」

千夜父「……やめないか、こんなところで」

研究員2「ここじゃなければ、いいんですか?」

千夜父「何を言って……」

研究員2「奥様を、思い出すから?」

千夜父「……」

研究員2「私の気持ち、気づきませんか?」

研究員2「もう、あれからだいぶ経つじゃないですか。それに、白雪ちゃんだって親に甘えたいはずですっ」

千夜父「あの子は、大人すぎるほどに大人だ。もう、親を必要とはしてこないだろう……」

千夜父「いや、そんな言い方はしてはいけない、か。研究に没頭して家に帰らない生活を繰り返していた俺が悪いんだからな」

研究員2「わ、私には、白雪さんが必要です! それじゃいけませんか……」

研究員2「それに、白雪さんだって、もう長い間“お一人”じゃないですか……」ムギュッ

研究員2「私じゃ、奥様の代わりには、なれませんか?」ギュウッ

千夜父「あたってる」

研究員2「あててるんです。い、言わせないでください」

千夜父「……」
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:34:31.65 ID:cjI1PaeA0
さらに2年後(5年前)


ちとせ「千夜ちゃんも小学校6年生かぁ。早いね、時間が経つのって」

ちとせ「あの頃のただ可愛い可愛い千夜ちゃんは、もういないのね……」

千夜「なにいってるの、まったく」

千夜「……でも、そうだね。早いよね」

千夜「私から見たちとせちゃんは、いつでもお姉さんで、大人で、かっこよかった」

ちとせ「それって、過去形?」

千夜「……現在完了形」

ちとせ「うんっ、よろしい♪」

ちとせ「お勉強は、順調なの?」

千夜「まあまあ、かな。早く大学生になって専門の勉強がしたいよ」

ちとせ「千夜ちゃんなら、アメリカにいけば大学入れちゃうんじゃない?」

千夜「英語がちょっと……でも、今度お父さんに相談してみる」

ちとせ「ああ、白雪先生ね」

ちとせ「研究は順調なのかな? 白雪先生は」

千夜「どうなんだろう……あんまり、話さないから」

ちとせ「研究の話を?」

千夜「ううん、会話自体があんまりない。あの人は、研究に没頭して家に帰ってこないから」

ちとせ「そうなんだ」

ちとせ「白雪先生が私の病気を解明してくれたら、千夜ちゃんも好きなことできるのにね」

千夜「べ、勉強は私がやりたくてやってるからいいの。 ちとせちゃんを救いたいのは私の気持ちだし、ちとせちゃんのためであり、私のためでもあるから」

ちとせ「それじゃあ問題です。私が寝ている間にこの個室でアイドルみたいに歌って躍ってたのは誰でしょう?」

千夜「!」

ちとせ「正解は〜」

千夜「ちょ、ちょっと! なんでそれを……」

千夜「小さい声で、そんなに踊ってたわけでもないのに……」

ちとせ「だって、そのとき私起きてたし」

ちとせ「なんか面白いものが見れるかなーって思ったら、本当にその通りになっちゃった」

千夜「〜〜〜///」

ちとせ「本当は千夜ちゃん、アイドルになりたかったりして」

千夜「あ、あれはただ単に曲にはまってただけだから! そういうんじゃ、ないし……」

ちとせ「千夜ちゃんがアイドルやったら可愛いと思うけどなー」

ちとせ「それに、歌も良かったよ?」

千夜「ほんと、そういうんじゃないからっ」

千夜「それに、ちとせちゃんの方が可愛いし綺麗だよ。歌も上手だし……」

ちとせ「拗ねる千夜ちゃんかーわいいっ」ナデナデ

千夜「ああっ、もうっ……」

ちとせ「♪」
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:45:50.91 ID:cjI1PaeA0
ちとせ「あ、あれ白雪先生じゃない?」

千夜「お父さん?」

ちとせ「ほら、中庭あるいてる人」

千夜「うん、お父さんだ」

ちとせ「なんだか、難しい顔してるね」

千夜「研究のこと考えてるんだよ、きっと」

ちとせ「大変なお仕事……だもんね。そのおかげで、私はこうして生きていられるわけだけど」

ちとせ「千夜ちゃんのお父さんは優秀だね」

千夜「私もそう思う。小さい頃からお父さんにあこがれてた」

千夜「私がお父さんを褒めると、かならずお父さんは謙遜するんだ」

千夜「自分は偉くなんかない。自分より優秀な人がいるからこそこうして食べていけてるって」

ちとせ「白雪先生よりも優秀な人?」

千夜「お父さんの研究の土台は、お父さんよりもずっと若い人が作ったって聞いた。お父さんも、その人は天才だ、ギフテッドなんだ……って」

ちとせ「へぇ、世の中上には上がいるんだね」

千夜「うん……でも、お父さんの謙遜する姿勢は好きだけど、そのときの複雑そうな表情は、あんまり好きじゃないかな」

ちとせ「プライドってのがあるんだろうね」

千夜「……」

ちとせ「あの研究所のなかでは、多くの人が努力してるんだよね」

ちとせ「その努力があり、私のいのちが続いて、こうして千夜ちゃんとお話できてる」

ちとせ「不思議な縁ね」

千夜「……あれ、ちとせちゃん、今日って検査の日じゃなかったっけ」

ちとせ「あっ、そうだ。忘れるところだった」

千夜「また研究所の人に怒られちゃうよ……」

ちとせ「そうだね、今から行けば、セーフかな」

千夜「いってらっしゃい。ここで少し勉強したら、今日は帰るね」

ちとせ「うん、それじゃ、またね」
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:51:38.97 ID:cjI1PaeA0
千夜 カキカキ

千夜 ウーン

千夜 !

千夜 カキカキ

……

数十分後

千夜「よし、今日のノルマ達成」

千夜「じゃ、帰ろうかな」

千夜「ばいばい、ちとせちゃん。また、来るから」

ガラガラ

ピシャン


千夜 スタスタ

ガヤガヤ

千夜「? なんか騒がしい……」

「研究所のほうでなにがあったんだ?!」

「火災か? いや、事故じゃなく事件の可能性が……」

千夜「す、すみません! 通してください!」グイグイ

千夜「失礼します。通りますね」

千夜「…………そんな」

千夜「研究所から、火……」
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:59:47.51 ID:cjI1PaeA0
千夜「はぁっ……はぁっ……」タッタッタッ

千夜「えいっ」つカード

フォン

ニュウカンヲキョカシマス

千夜「はぁっ……はぁっ……」タッタッタッ

千夜「ちとせ……ちゃんっ……」タッタッタッ


千夜 タッタッタッ

研究員1「くっ……まずい、どうすれば」

研究員1「ん? って、ち、千夜ちゃん?!」

千夜「はぁっ……はぁっ……くっ……」ゼェゼェ

研究員1「どうしてこんなところに……って、そうか。白雪さんがカードを持たせてたんだった」

研究員1「千夜ちゃん、これより先にいっちゃいけない。危険すぎる」

千夜「ちとせちゃんっ……が、あそこ、に……」

研究員1「ちとせちゃん……あっ! 今日の被験者の名前!」

千夜「友だち、だからっ……助けないと……」

千夜「ちとせちゃんは、私が、助ける、から」

研究員1「君がいったって巻き込まれるだけだ! おとなしく救助を待とう」

研究員1「それに、君は見ちゃいけない――」

千夜 ダッ

研究員1「――あっ、おい!! 待て……」

千夜 タッタッタッ
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 22:08:06.04 ID:cjI1PaeA0
千夜「確か、ちとせちゃんの言ってた部屋って……ここだ!」

千夜「鍵はかかってない……よし、それっ」

ギギギギギ

千夜「んぐぐぐぐ」

ギギギギギ

ガシャッウィーン

千夜「はぁっ、はぁっ」

千夜「ん゛っ、ゴホッゴホッ……煙?!」

千夜「火も……」

千夜 スタスタ


ちとせ「……」


千夜「! ち、ちとせちゃん!!」

ちとせ「……」

千夜「だ、駄目……そんな、駄目だよ……」

ちとせ「……」

千夜「ちとせちゃん!! しっかりして!!」

千夜「こんなところで死んじゃ駄目!! 起きて!!」

千夜「目を……覚ましてよ……」

ちとせ「……」

千夜「そんな……嫌」

千夜「ちとせちゃん……」

「彼女は死んじゃいないよ」

千夜「え?」

「気絶してるだけだ。外に連れて行ってしかるべき処置をすれば助かるだろう」

千夜「よ、良かった……」

千夜「あ、あなたは?」

「はは、煙でよく顔が見えていないのかな? 俺だよ、俺――」


千夜父「――お父さんだよ、千夜」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 22:34:17.50 ID:cjI1PaeA0
千夜「お父さん……良かった、ちとせちゃんを助けて! お願い!」

千夜父「そうだなぁ、助けてあげたいなぁ」

千夜「? ……何を言ってるの、お父さん」

千夜「ちとせちゃんを助けるのが、お父さんの仕事でしょ」

千夜父「そうだよ? その通りだ」

千夜父「でもなぁ、お父さん、ちょっと疲れちゃったみたいでさ」

千夜父「さっきも、ついかっとなって、ほら――」

ドサッ

研究員2「」

千夜父「こんなにしてしまったよ。まったく、疲れると怒りっぽくなっていけないな」

千夜「――ッ!!」

千夜父「ああ、“それ”は死んでるよ。もう助からない。そこにいる彼女とは違うんだ」

千夜父「でも、結局、今助からないか、これから助からないか、それだけの違いだなぁ」

千夜「ねえ、お父さん。この火の手は何」

千夜父「何って、お父さんが撒いた火の粉さ。もうね、疲れてしまったんだよ」

千夜父「俺にできることなんて、何にもなかったんだ。すまないな、こんな父親で」

千夜父「んんんんんん、くくくっ、あはははは!!」

千夜「そんな……」

千夜父「ああ、そういえば、気づいているかい? 千夜」

千夜父「俺は、そこにいる彼女が死んではいないと言ったが、でも助かるとも言ってないということを」

千夜父「もう俺はおしまいだ。俺の研究も、何もかも」

千夜父「お前もだよ、千夜」

千夜父「お前、その子を助けようと研究者目指して勉強してるそうじゃないか」

千夜父「いやぁ結構なことだ! さすがは俺の娘だ」

千夜父「でもな、もう駄目だ。こんなやつの娘と学界に知られた暁には、白い目で見られることだろう」

千夜父「何もかも終わり。もう救えるものなんてなにもない!!」ガンッ

千夜「きゃっ」ビクッ

千夜父「お前も、その子も、そして俺も、この世から消える運命なのさ……」

千夜父「これが、なんだかわかるかい?」スッ

千夜「……わからない」

千夜父「だろうねぇ!! ……これは医療用ナイフ――ようはメスのことさ」

千夜父「俺は医者だから、これをどう使えば人が死ぬのかよーくわかってる」

千夜父「そこにある“それ”だって、こいつのいけにえだよ」タッ タッ

千夜「嫌……こないで」

47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 22:34:55.95 ID:cjI1PaeA0
千夜父「そんな顔されたら悲しくなってしまうよ、久しぶりの親子の会話だっていうのに」

千夜「こないで!!!!!」

千夜父「もうその子は助からないって言ってんだろうが!!! ……まあ、俺が殺すからなんだけど」

千夜「ッ!! このッ」ブォン

千夜父「うおっ、危ないな」

千夜父「かばんを振り回すんじゃありませんっ……ってな。ほら、少しは父親らしくできてるだろ?」

千夜「こっちに、来るな。ちとせちゃんに触れたら――」

千夜「――私が、お前を殺す」

千夜父「父親にそういう口をきくだなんて……」

千夜父「しつけが、必要だな!!」ブン

千夜「くっ」サッ

千夜「うおらぁっ!」ブォン

千夜父「ぐぁっ……いたたた……」

千夜父「おらっ」シュッ

千夜「きゃっ」

千夜「ふ、服が……」

千夜父「腹をねらったはずだったんだが……こりゃ失敬」

千夜父「しかし……“成長した”んだねぇ、千夜ッ!!」バッ

千夜「っ!」

千夜「……ぐぅっ」ポタポタ

千夜父「おお、よく避けたねぇ。首をねらったはずだったんだが、鎖骨のあたりを掠めたか」

千夜「くっ……はぁ、はぁ……」

ドォン

ガラガラガラ

千夜父「もうじき、ここもおしまいか」

千夜父「千夜、もう何をやっても無駄だ。諦めなさい」

千夜「くっ……」

千夜(窓からなら……)

千夜(っ……高い……4階、か……)
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 22:53:54.86 ID:cjI1PaeA0
千夜「……」

ガラガラ

千夜父「窓から逃げようっていうのかい? ここは4階だよ? 落ちれば大怪我はまぬがれない。死ぬかもしれない」

千夜父「ましてや、その子も救うなんて、無謀ってものだよ」

千夜「……」

千夜父「……そうだ。いい子だ。そこでおとなしくしていなさい」

千夜父「いますぐ、お父さんが終わらせてやるから、なっ」ダダダッ

千夜 スッ

千夜父「うおっとっとっとっと……危ない、勢い余って落ちそうに……」

千夜 グイッ

千夜父「え?」

千夜「最期に、私とちとせちゃんを救いなさい――」

千夜父「や、やめろ、このままだと落ち……」

千夜「――さあ、ちとせちゃん、ここを出よう」

千夜父「うわぁぁぁぁっ」

千夜(この下には木がある。この人をクッションにして落ちれば……)


ガサガサガサ

ドンッ
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 23:05:09.35 ID:cjI1PaeA0
数十分後

ちとせ「……んんっ」

千夜「!」

救急隊員1「き、気づきましたか!」

ちとせ「……ここ、は……」

千夜「よかった……! 目、覚めた……」

ちとせ「千夜、ちゃん……帰ったんじゃ、なかったの」

千夜「よかった……よかった……」

救急隊員2「白雪千夜さん」

救急隊員2「お父様が、たった今亡くなられました。腹部に刺さった枝で、傷口から血を流しすぎており、失血多量によるものでした」

救急隊員2「お悔やみ申し上げます」

千夜「……」

ちとせ「え……千夜ちゃんのお父さん……白雪先生が……」

千夜「……」

千夜「……ごめんね」

ちとせ「……え?」

千夜「……ごめん、ほんとうに、ごめんね……」ポロポロ

千夜「……千夜ちゃんの病気の研究所も、研究を牽引するあの人も、なくなっちゃった」ポロポロ

千夜「ごめんなさい、ごめんなさい……」ポロポロ

ちとせ「……よしよし、大丈夫だからね」

ちとせ「きっと、千夜ちゃんは私を助けてくれたんだね」

千夜「違う……私は……」

千夜「私は……ッ!!」

千夜「うわぁぁぁぁああぁぁぁあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 23:05:51.34 ID:cjI1PaeA0
>>49訂正:
千夜「……千夜ちゃんの病気の研究所も、研究を牽引するあの人も、なくなっちゃった」ポロポロ
→千夜「……ちとせちゃんの病気の研究所も、研究を牽引するあの人も、なくなっちゃった」ポロポロ
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 23:15:41.88 ID:cjI1PaeA0
1週間後、黒埼邸


ちとせ「ただいまー……って言っても、ここに来たのなんて随分前だし、なんか変な感じ」

ちとせ「あれ? 誰もいないの?」スタスタ

ちとせ「あ。あの後姿は……千夜ちゃんだ♪」

千夜「! お帰り、なさい……」

ちとせ「ただいま。最近少し症状も軽くなってきてたし、家に帰ってもいいってさ」

ちとせ「あそこも、あんなことになっちゃったしね」

千夜「……」

ちとせ「あっ、もうパパやママから聞いてる? しばらくは――ううん、ずっと、うちに住んでいいからね」

千夜「はい。そのつもりです。よろしくお願いします」

ちとせ「うん♪ よろしく……って、もう、そんな改まった話し方なんてやめてってば」

千夜「いえ、私は使用人の身、出すぎた真似はいたしません」

ちとせ「ちょっと……どういうつもり。別に、私は千夜ちゃんを使用人として招き入れたわけじゃ……」

千夜「私がそうさせてほしいと、ご両親にお願いしたのです」

千夜「私は、私にできる限りのことをし、あなたに尽くします」

千夜「私は、あなたに忠誠を誓い、あなたの思うがままに動く僕となります」

千夜「どうぞ、よろしくお願いいたします――」


千夜「――お嬢さま」
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 23:21:37.92 ID:cjI1PaeA0
現在、事務所、Pの部屋


千夜「……お嬢さま……」

千夜「……」

ガチャッ

P「すまない、待たせたな、千夜」

千夜「いえ、待ってなどいません。つい先程、ここに来ましたから」

P「そうか、それならいいんだが」

P「でも、ずっと立ってることないんだぞ? そこに来客時に出す椅子が置いてあるだろう、ほら、その窓際のところ……」

千夜「っ……大丈夫、ですから」

千夜「それよりも、お前、打ち合わせをしますよ」

P「あ、ああ、そうだったな……」
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 23:36:21.44 ID:cjI1PaeA0
P「――という感じなんだが、どうだ?」

千夜「学園ドラマに出てくる無口な不思議ちゃん、ですか。これを演じればいいのですね?」

P「ああ、やってくれるか?」

千夜「お前がそうしろといえば、そうするまでです」

P「自分の意思でやってみようとは、思わないか?」

千夜「……まあ、無口というのはあっていますから。人形のような私にぴったりでしょう。不思議ちゃん、というのはよくわかりませんが」

千夜「一つ懸念材料があるとすれば、それはこのドラマが恋愛物語だということです。この企画書とシナリオ案では、私が演じる女の子は主人公の男の子に片思いをするようですが……」

P「そうだ。無口で内向的なクラスの女の子が、徐々に主人公に心を開いていき、いつの間にか恋に落ちていたという流れだ。ありがちと言われれば、ありがちかもしれないが」

千夜「恋愛、ですか」

千夜「お嬢さまのことばかり考えてきた私にとって、異性を好きになるという感覚はよくわかりません。その点から、私にこの役が務まるか、という懸念があります」

千夜「でも、お前のことだから――」

千夜「――私ならできる、そう思ってこの仕事をとってきたんでしょう」

P「……その通りだ」

千夜「……」

千夜「わかりました。やりましょう」

P「! そうか、それなら、その方向性で進めていこう」

千夜「ええ、頼みましたよ」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 23:46:28.74 ID:cjI1PaeA0
千夜「あ、学園もの、ということは、制服があるはず」

P「ああ、そうだが――って、そうか」

千夜「個人的な事情で申し訳ないとは思いますが……いつも通り、鎖骨の辺りが隠れるように衣装を考えてもらいたい」

千夜「この傷も、さっさと消えればいいものを」

千夜「……」

P「……」

千夜「……そういえば、お前」

千夜「その……例のドラマには、主人公とデートをするシーンがあったと思うのですが」

千夜「残念ながら、私は未だそのような経験がないので」

千夜「デートをしてくれませんか、私と」
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 23:47:11.78 ID:cjI1PaeA0
とりあえずここまで。
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/01(土) 21:34:33.82 ID:QmJOHCQd0
その週末、ショッピングモール


P「悪い、待たせたか?」

千夜「いいえ。1時間ばかり早くついてしまいましたから。お前は悪くない」

P「その1時間の間でも一人で見て回ってて良かったんだぞ?」

千夜「別に。お前がいない買い物なんて意味がありませんから」

P「なんだ、急にその……デレたな」

千夜「? 何を言って――ッ?!?!」

千夜「そういうことではなく!! お前が持ってきた恋愛ドラマの仕事のために私がお前とのデートをお願いしたのだから、お前がいなくては練習として意味がないというだけで、お前と買い物をしたかっただとかそういうことじゃない!!」

P「わかった、わかったから。そこまで熱くなるな」

千夜「ふんっ、お前がからかうのが悪い」

千夜「……時間がもったいない。さっそく見て回りましょう」スッ

P「なんだ? その手は」

千夜「何って、デートなら手をつなぐものでしょう」

P「そうなのか?」

千夜「そうです」

P「……なら、仕方ないな。変装もしているし、まあ、大丈夫か……」

P「じゃあ、行こうか」

千夜「はい」
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/01(土) 21:45:08.93 ID:QmJOHCQd0
P「千夜は何か買いたいものとかあるのか?」

千夜「いえ、ありませんね」

P「買い物とは一体……」

千夜「私は、何も求めませんから。求められたらそれに応える、ということはしますが」

P「それは、ちとせのことか?」

千夜「以前ならば即答していたところですが、いまはアイドルという仕事がある。アイドルとして求められたことにも応えたいとは思います」

千夜「もちろん、“仕事として”ですが」

千夜「私が一番に考え、もっとも重要と位置づけているのがお嬢さまであることには変わりありません」

P「そう、か……」

千夜「しかし、デートをしている以上、私が何も欲さないのでは、この企画も円滑に進まないことでしょうし」

P「企画と言うな。どことなく危険な感じがするから」

千夜「最近、下着が少しばかり窮屈になってきたので、ランジェリーショップに行ってみても、いいですか?」

P「……いいだろう」

千夜「……」
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/01(土) 22:01:55.63 ID:QmJOHCQd0
〜回想〜

前日夜、ちとせの家


ちとせ「千夜ちゃん、あの人とデート、するんだって?」

千夜「お嬢さま……あの男が持ってきた仕事のために、そういう経験も必要と判断したまでです」

ちとせ「ふーん、それだけ?」

千夜「それだけ、とは?」

ちとせ「千夜ちゃんはそのデート、行きたくて行くんじゃないの?」

千夜「先ほども申し上げましたが、仕事のため、ですから」

千夜「私は恋愛など全くの無縁でしたし、こういうのは本を読むだけではわからないかな、と」

千夜「机に向かって勉強をするだけではどうにもならないこともあります」

千夜「……」

ちとせ「こらこら、思い出さなくていいことを思い出さないの」

ちとせ「わかったって。とにかく千夜ちゃんは、明日デートに行くんだね」

ちとせ「どこに行くの?」

千夜「色々な施設があるショッピングモールに行こうかと。ある程度何でもできますし、デートをよくわかっていない私には今後の参考になると思います」

ちとせ「今後の参考、ね。それはプロデューサーさんとのデート?」

千夜「ドラマの話です! もう、からかわないでください」

ちとせ「あははっ、ごめんごめん。だって千夜ちゃん、今日はいつも以上に可愛いんだもの」

ちとせ「あっ、そうだ。せっかくのデートなんだし、明日はどびきりお洒落していかないとね♪」ワキワキ

千夜「お、お嬢さま?」

ちとせ「今夜は私が、千夜ちゃんのプロデューサーだよ」

〜回想終わり〜
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/01(土) 22:25:09.39 ID:QmJOHCQd0
千夜「服装については何も言われない、か……」ボソッ

P「ん? 何か言ったか?」

千夜「何でもありません」

P「その、なんだ、こういうところは男の俺がいづらい場所だから……」

P「……いや、せっかく千夜が役作りのために頑張ろうとしてくれているんだ……」

千夜「さっきから何を一人でぶつぶつと言っているんです?」

P「なんでもない、忘れてくれ」

P「今日は金のことは気にしなくていい。好きなものを、選ぶといい」

千夜「わかりました」

10分後

千夜「……」

P「決まらないか?」

千夜「いえ。下着に関して、私は特にこだわりとかがないので、何を選んで良いのかがよくわからない」

千夜「お前が私に着けて欲しい下着はありますか?」

P「俺に聞いてどうするんだ」

千夜「お前に聞くしかないから聞いている」

P「そうだな、いきなり言われても……っ!!!!」

P「……千夜、隠れよう」

千夜「え?」

P「俺たちが2人でここにいるのがばれるとまずいだろう、つまり、そういう状況だってことだ」

P「ほら、あそこ……」


響子「あ、そういえば下着買おうと思ってたんだ。ちょっと見ていってもいい?」

颯「いいよ〜……って、はーもそろそろ新しいの買おうかな」


千夜「あれは……」

P「五十嵐響子と久川颯だ。変装しているが、俺にはわかる。間違いない」

P「まずいな……あの二人と俺は面識があるし、変装しているとは言え同じアイドル同士なら千夜だってばれるのも時間の問題だ」

P「駄目だ、こっちに来る……!」

P「仕方ない、来い、千夜」

千夜「え、ちょっと……」
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/01(土) 22:47:08.09 ID:QmJOHCQd0
千夜「ここ、試着室ですよ」

P「店員も見ていなかったしセーフだ」

千夜「アウトでしょう……大体、出て行くときはどうするんだか」

P「今は考えるな。時々様子を伺って、いなくなったのを見計らったら出よう」

千夜「……」

千夜「その、近い」

P「あ、すまない。少し離れるよ」

千夜「別に、嫌というわけではありませんが」ボソッ

P「?」

千夜「何でもありません」

P「すまないな、こんな真似させて」

千夜「デートにはハプニングがあると良いらしいので、これはこれでいいのではないかと」

P「そう言ってもらえると助かる」

千夜「しかし、あの二人が店を出るまでというと、どれくらい待てば良いかわかりませんね」

P「そうだな……この中で何もしない状態に耐えるしかないか」

千夜「……」

千夜「実は、昨日の夜、お嬢さまに今日着ていく服のコーディネートをしていただきました。――下着も含めて」

千夜「なので、男のお前に感想を聞きたい」

千夜「もし反応がよければ、今後はこれをベースに着る服を選びますから」

P「千夜、お前自分が何言ってるのかわかってるのか?」

P「この狭い部屋の中で、しかも俺の前で、服を脱ぐと言っているんだぞ?」

千夜「その通りですが」

P「俺が千夜に欲情するという可能性は考えないのか?」

千夜「……ばーか。あくまでも、異性であるという理由だけでお前に感想を求めている」

千夜「見てもらいたいとか、そういうのでは……ない」
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/01(土) 23:08:38.78 ID:QmJOHCQd0
一旦ここまで。
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/02(日) 15:07:46.93 ID:30F3RvzvO
【デレマス】半熟娘。うっとりと快楽に溺れる幼い肉体――性奴隷に堕ちるまで
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1559439906/
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/04(火) 21:26:37.57 ID:0ekdikZx0
パチッパチッ

シュル

千夜「ん……」

P「……」

パサッ

千夜「まずは、下着の感想から。どうです、お前から見た私の姿は」

P「あ、ああ。綺麗だよ。黒のレースが妖艶さを引き立てている。胸は――」

千夜「くっ」

P「――あ、いや、その」

千夜「構いません。気にしては、いませんので」

P「……胸は控えめだが、しかし全体としてバランスが取れていて、とても美しいと思う」

P「下着の妖艶さが、ボディラインをより美しく見せている」

千夜「そう、ですか」

千夜「案外冷静なコメントをするので面食らってしまいました。私の体は、欲情するに値しませんか?」

P「そんなことはない。ただ、ここで欲情するのは正しい判断ではないし、正しい行いでもない」

P「しかし……」

千夜「?」

P「そうだな。本音を言えというなら」

P「この狭い空間、自分の本能に身を任せていいというなら、お前を襲いたいかもしれない」

千夜「!」

P「……いや、忘れてくれ。プロデューサーとして、それ以前に一人の大人としてあるまじきことを言った」

千夜「……いい、ですよ。別に」

P「なあ、千夜……」

千夜 ダキッ

P「!」

千夜「駄目」

千夜「お前は、いま、私の顔をみてはいけない」

千夜「いけません」

P「千夜……」

千夜「すみません。自分勝手なのは、わかっているのですが」

千夜「もう少しだけ、こうさせてください」
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/04(火) 21:33:23.89 ID:0ekdikZx0
千夜「……」

千夜 パッ

千夜 フクヲキル

千夜「……」

P「あ……服の感想、だったか」

千夜「それはもういいです」

P「そう、なのか?」

千夜「ええ」

千夜「聞きたいことは、聞けましたから」

P「そうか」

P「そろそろ、あの二人も出て行った頃かな」

P キョロキョロ

P「うむ、大丈夫そうだ」

P「移動しよう」

千夜「はい」
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/04(火) 21:46:00.96 ID:0ekdikZx0
千夜「お前。映画館に行きたいのですが」

P「映画か。デートとしては定番だし、良いな」

P「何か見たいのはあるか?」

千夜「いえ……私は流行りに興味がないので」

P「それでも疎くはないもんな」

千夜「知っておくといろいろ便利ですから」

P「……まあ、適当に選べば良いか」

千夜「あ、お前。こんなものがありますが」

P「これは……恋愛映画のカップル割引か、なるほど」

千夜「今日の私たちはデートをしている。デートをしている二人はカップルと見なされる。だから、特に見たい映画がないならこれを選ぶのが合理的」

千夜「私であれば、そう判断します」

P「じゃあ、この映画にしよう」

千夜「……その、選んでおいてなんですが、私がこんな理由で選んだ映画でお前は良いのですか?」

千夜「お前は私に全然意見しないように思いますが」

P「別に構わん」

P「千夜と過ごせれば場所は関係ないからな」

千夜「……ばーか」

P「?」

千夜「なんでもありません。さあ、もうすぐ始まるようですし、行きましょう」

P「あ、ああ」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/04(火) 21:52:28.92 ID:0ekdikZx0
映画終了後

P「……割と、面白かったな」

千夜「ええ、存外」

P「しかし、なんだ、その……」

千夜「アダルティではありましたね」

千夜「しかし、あの描写はこの物語には欠かせないものなので、必要悪でしょう」

P「そうだな、確かに、あれがないと物足りない話になってしまう」

千夜「……」

P「どうしたんだ?」

千夜「ば、ばか、今の私の顔をのぞかないでください」

P「まあ、あれを思い出せば小恥ずかしい気分になるよな」

千夜「うるさいですね。さ、次は――」
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/04(火) 22:03:57.02 ID:0ekdikZx0
帰り道、車の中

千夜「……今日は、ありがとうございました。私のワガママに、付き合ってくれて」

P「なに、礼を言われるようなことは何もしていない。むしろ、こちらこそ礼を言うべきだろう」

P「その……楽しかったよ。年甲斐もなく、久々に、出かけて楽しんだよ」

千夜「それなら……良かったです」

千夜「内心、思っていました。私のようなつまらない人間と一日過ごさせてしまって、お前には申し訳ないことをした、と」

P「まだ言ってるのか。千夜はつまらない人間なんかじゃない。俺がよくわかっていることだ」

千夜「私は……まだその励ましにうなづくことができません」

千夜「私は、自我を持たず、価値を認められることを求めず、ただお嬢さまに尽くすことのみを考えていきている人間ですから」

千夜「もう、そうでない生き方をする方法が、わからないのかもしれません」

千夜「いえ、違う。自分が自分として人生を謳歌するということを認めることを恐れているのです、私は」

千夜「だから、私は――」ウトウト

千夜「――」コクッ

千夜「――っ、その」

P「構わん。今日はいろいろと動き回ったからな。休めばいいさ」

千夜「お前……は、……」

千夜「……」zzz

P「……」

P「ありがとう、千夜」
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/04(火) 22:16:52.84 ID:0ekdikZx0
数日後、事務所、Pの部屋


P「――というわけだ、よろしく頼むぞ」

ちとせ「VelvetRoseでのお仕事も久しぶりだね。千夜ちゃんとのお仕事、楽しみだな」

千夜「私も、待ち望んでいました」

ちとせ「あら、ありがと♪」

P「そろそろ、昼休みか。さて、飯にでも……」ガタッ

パサリ

千夜「……なにか、落としましたよ」

P「ん? あ、それはっ……」

ちとせ「え、何々?」

千夜「健康診断結果……」

ちとせ「わお、引っかかってる項目があるじゃない」

P「……」

P「もう30代半ばだ、気にしなきゃいけないことが多い。いろいろとな」

ちとせ「デスクワークに不規則な生活、そりゃ不健康にもなる、か」

P「放っておけ。お前たちには関係のないことだ」

ちとせ「関係ないだなんて失礼しちゃう。あなたが倒れたら泣いちゃうわよ?――千夜ちゃんが」

千夜「……は?」

ちとせ「もう、照れないの」

千夜「照れていませんが」

ちとせ「これからどこに食べに行くつもりだったの?」

P「……弁当を買うか、ラーメン屋」

ちとせ「そりゃ健康診断にも引っかかるでしょ」

ちとせ「んー、そうね。あ、ひらめいたかも」

ちとせ「千夜ちゃんがお弁当作ってあげれば良いのよ。ほら、千夜ちゃん料理上手だし、頭もいいから栄養バランスも考えられるでしょ?」

千夜「私が……」

P「アイドルがプロデューサーのためにそこまでしてどうするんだ。俺がお前たちをケアすることはあっても、その逆はアイドルの負担だろう」

ちとせ「負担かどうかは、この可愛い僕ちゃんに聞いてみたらいいんじゃないかしら」

ちとせ「ね?」

千夜「……」
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/04(火) 22:17:29.92 ID:0ekdikZx0
今日はここまで。
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/14(金) 19:33:57.91 ID:ECL9X9Yi0
>>1です。忙しいのが落ち着いたら更新を再開します。
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